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三章
六、いざ、出発ー虹色隊ー
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「みんな、もう準備できた?」
もうすぐ約束の時間だ。
ユメは、カイが収納していたし準備は万端。
リクは、イカさんを持って行くか行かないか、迷ってるんだろうな。
神様、人間に転生させるって言ってた。こういう風にしてくださいって見せるモデルの写真も用意しておこうかな。
パラパラと今月号の雑誌を捲りながら、パンは馴染みのある白髪にするか、思い切って金髪にするか頭を悩ませる。
「あたちはきっとなんでも似合っちゃうのよねぇ。シェルはどんなのにしてもらうの?」
「わたし、一度くるんくるんにしてみたかったの!茶髪のパーマがいい!」
次のページを指差しながらシェルが目を輝かせていると…………やっぱり飛んできた。
「えー?!それじゃあカイと見分けがつかなくなるじゃない!……ちなみに、私はねぇ」
「ちょっと!見分けがつかないってどういう意味よ!性別がまず違うじゃない!」
――またやってる。
この二人、生前は気が合わなくて顔を合わさないようにしていた位なんだから、一度気の済むまで喧嘩してみるのも良いのかもしれない。
もう怪我をする心配もないしね。
やれやれ、とため息をいて隣を見ると、リクが首を傾げている。
「イカさんの事、まだ迷ってるの?」
「いやぁ。この前の神様、名前はなんて言ったっけ?」
「ポ?ポ……ポ……。ねぇカイ、覚えてる?」
カイは、さっきから無限の収納スペースでのユメの様子が気になって、魔法を発動させては中を覗き、また閉じて……と、ソワソワしている。
「えっと……ポイドン?」
「ぶっっ!ポセイドンでしょ?それじゃ、おいどん見たいじゃない!ぶっっ!」
一文字違うだけだが余程、シェルの笑いのツボに入ったらしい。ひっくり返って笑い転げている。
「あぁ、そうだ。ポセイドン。……うーん」
「どうしたの?イカさんじゃないなら、何が気になるの?」
「どこかで聞いたことあるような……ないような。見たことあるような、ないような……?うーん」
「気のせいじゃない?」
転がっているシェルをぴょんっと飛び越えて、マリンが駆け寄ってきた。
「それより、もう時間でしょ?パンもリクも、忘れ物はない?」
「「「ない!ばっちり!」」」
「ない!……ぶぶぶぶぶ!」
まだツボから抜け出せないでいるようだ。
「じゃあ待ち合わせ場所に向かいましょ!」
早くに支度を終わらせて、ゆっくりお茶を飲みながら待っていたマリンが、立ち上がっていそいそと先頭を歩き始めた。
「マリン、足速い!あたち追いつけない!」
「ごめんごめん、ついワクワクしちゃって」
「気を取り直して、レッツゴー!」
歩き始めた皆に気付いたシェルも慌てて後を付いてきた。
「ああ!!!」
「なんだい、リク。オイラびっくりしたよ」
「そうだ…やっぱり…………」
「ポイドンの事、何か思い出したの?」
「やっぱり…………イカさん持って行く!」
踵を返し猛ダッシュするリクの背中を皆が振り返った。
――だから、イカさんどうするのってさっき確かめたのに。
いつも通りに二人は喧嘩するし、リクはなんだかこの前からボケっとしている時があるし……これは先が思いやられるなと、パンとカイは肩を竦めて笑い合った。
もうすぐ約束の時間だ。
ユメは、カイが収納していたし準備は万端。
リクは、イカさんを持って行くか行かないか、迷ってるんだろうな。
神様、人間に転生させるって言ってた。こういう風にしてくださいって見せるモデルの写真も用意しておこうかな。
パラパラと今月号の雑誌を捲りながら、パンは馴染みのある白髪にするか、思い切って金髪にするか頭を悩ませる。
「あたちはきっとなんでも似合っちゃうのよねぇ。シェルはどんなのにしてもらうの?」
「わたし、一度くるんくるんにしてみたかったの!茶髪のパーマがいい!」
次のページを指差しながらシェルが目を輝かせていると…………やっぱり飛んできた。
「えー?!それじゃあカイと見分けがつかなくなるじゃない!……ちなみに、私はねぇ」
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――またやってる。
この二人、生前は気が合わなくて顔を合わさないようにしていた位なんだから、一度気の済むまで喧嘩してみるのも良いのかもしれない。
もう怪我をする心配もないしね。
やれやれ、とため息をいて隣を見ると、リクが首を傾げている。
「イカさんの事、まだ迷ってるの?」
「いやぁ。この前の神様、名前はなんて言ったっけ?」
「ポ?ポ……ポ……。ねぇカイ、覚えてる?」
カイは、さっきから無限の収納スペースでのユメの様子が気になって、魔法を発動させては中を覗き、また閉じて……と、ソワソワしている。
「えっと……ポイドン?」
「ぶっっ!ポセイドンでしょ?それじゃ、おいどん見たいじゃない!ぶっっ!」
一文字違うだけだが余程、シェルの笑いのツボに入ったらしい。ひっくり返って笑い転げている。
「あぁ、そうだ。ポセイドン。……うーん」
「どうしたの?イカさんじゃないなら、何が気になるの?」
「どこかで聞いたことあるような……ないような。見たことあるような、ないような……?うーん」
「気のせいじゃない?」
転がっているシェルをぴょんっと飛び越えて、マリンが駆け寄ってきた。
「それより、もう時間でしょ?パンもリクも、忘れ物はない?」
「「「ない!ばっちり!」」」
「ない!……ぶぶぶぶぶ!」
まだツボから抜け出せないでいるようだ。
「じゃあ待ち合わせ場所に向かいましょ!」
早くに支度を終わらせて、ゆっくりお茶を飲みながら待っていたマリンが、立ち上がっていそいそと先頭を歩き始めた。
「マリン、足速い!あたち追いつけない!」
「ごめんごめん、ついワクワクしちゃって」
「気を取り直して、レッツゴー!」
歩き始めた皆に気付いたシェルも慌てて後を付いてきた。
「ああ!!!」
「なんだい、リク。オイラびっくりしたよ」
「そうだ…やっぱり…………」
「ポイドンの事、何か思い出したの?」
「やっぱり…………イカさん持って行く!」
踵を返し猛ダッシュするリクの背中を皆が振り返った。
――だから、イカさんどうするのってさっき確かめたのに。
いつも通りに二人は喧嘩するし、リクはなんだかこの前からボケっとしている時があるし……これは先が思いやられるなと、パンとカイは肩を竦めて笑い合った。
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