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三章

一、虹色隊 結成 後編

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向こうでは二人がまた何か騒いでいるようだ。

耳をよく澄ませてみれば、何と、貝殻シェルレンジャーとマリン戦隊のどちらを名乗るかで揉めている。
 
 二人とも自己主張が強すぎるのではないか。
お互いに一歩も譲らないのでいつまで経っても決まる気配がない。



 さて、時間が無いようだから、そろそろ持って行く荷物を準備しなくてはいけないな。


「おーい、ユメ。ちょっとこっちに来てごらん」

 知らない人がいなくなった事にやっと気がつき、のそのそとい出してこっちにやって来た。

こんなにビビっていてこの先大丈夫なのか、やっぱり収納魔法でしまってやるべきか。
 
 そんなことを考えていると、「わー!」と大きな声がした。今度は空耳ではなさそうだ。

ーーユメは……見当たらない。もうすっかりどこかに隠れたようだ。やっぱりしまって行こう。今決めた。


お互いの足を踏みつけ合っていた二人も、驚いて駆け寄ってきた。

「「何事!!?」」
たまには息も合うらしい。


ガサゴソ……ガサゴソ……

「へへっ驚いた?」

「「あーーーっ」」
二人は声を揃えて同時にひっくり返った。


物陰からぴょんと飛び出して来たのは、オイラが直前まで同じひと時を過ごし、急にしばしの別れがおとずれ……て……いたはずの、パンだった。

「カイがいなくなった後、実は割とすぐに着いていたんだよね。みんなカイのことでまだ慌ててたから、出るに出られなくって」

「ずっと隠れてたの?オレには顔見せてくれたって良かったのに」

「リク、元気なかったし……」

「見てたんだ?」

「イカさん見つかってよかったね!ずっと前からのお気に入りだもんね!あたちも嬉しい!」


 やっとみんなと合流出来たと満面の笑みでニカッと笑うパンの背中越しに、虹がかっているのが見えた。

ーーいつもより綺麗だなあ…………
 
「そうだ、虹色隊なんていいんじゃないか」

 後ろでは「虹は七色だから、ひとつ足りてなくない?」「やっぱり……」と、まため始めているが、気にしないでおこう。


 強すぎる自己主張は良くないが、思いをつらぬく事もまた、大切なはずだ。





うんうん、とうなづき、ユメを再度呼び寄せると、慎重に慎重に抱き上げた。

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