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三章

一、虹色隊 結成 中編

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「皆んながそれぞれの特技を活かして戦えば、きっと世界の平和も、我が天界の家の平和も取り戻せるさ!それぞれに合った魔力と加護も授けよう」


「本当か!!かっこいい……オレ、闇魔法がいい!厨二心をくすぐられるぜ……」

「おお、君は永遠の厨二病ってやつなのかい?」
珍しいものを発見したような顔で、こちらに目配めくばせをしてきたが、オイラに聞かれても困る。
  
「残念だが、闇魔法は魔族にしか使えないんだ……代わりに、攻撃力と防御力をMAXにしておくから、地属性でどうかな?土魔法は何かと便利だからね」

「おっけー!チートって憧れてたんだ」
チャームポイントの少し短い足をバタバタさせて喜ぶ。
 
 本人はコンプレックスらしいが、それは秘密だ。男と男の約束なのだ。

「そこでいつまでももぐってる怖がりな君は後方支援を頼むよ。回復魔法が使えるように、光属性が良さそうだね」

「…………まだあたしは行くって言ってないわよー!」

ポセイドンが手をかざすと、分厚い雲越しにユメがキラキラと光るのが見えた。 


「面倒見の良さそうな君は……土魔法と相性の良さそうな風属性と、臨機応変に対応出来るよう無属性もつけておこう。美味しいお茶をありがとう」
笑みを浮かべながら、お腹の辺りをしきりにさすっている。マリンが、どうぞどうぞとお代わりをすすめ続けていたから……タプタプなのだろう。

「負けん気は強いが優しい君には、火属性と水属性。人間界は寒かったり暑かったりする。攻撃の為だけではなく、暖を取ったり、水を飲んだり、野営やえいにきっと役に立つだろう。上手く使ってくれ」

優しいとおだてられたので、慌ててマリンをにらむのを止め、「あらぁ……」と照れて体をくねらせている。鼻に寄せたしわも完全に消えた。

「最後に、冷静で穏やかで、周りが良く見えている君にには、強力な結界を張って皆を守れる氷魔法と石魔法を。……それから」
煌々こうこうと光る足元を指さすと
「収納魔法もつけておくから、いざとなったらしまっておくといい。彼女は自分だけの落ち着けるスペースがないと辛いんだろうな」と、笑った。オイラも同感どうかんだ。

「出発は明後日にしよう。あまり時間が無く申し訳ないが、準備しておいてくれ」

「オレら、どこへ行けばいいんだ?かっこいいし、飼い主に褒められて、ついでに創造神のゲーム中毒が治るならって、二つ返事でおっけーしちゃったけど」

いそいそと、ぬいぐるみをカバンにしまっているがーー

――マリンがあきれ顔で見ているぞ。

肝心かんじんな事がまだだったな。君たちを一度、転生させることになる。人間界にも降りてもらわないといけないからな。詳しいことはまた、明後日に」

「じゃあ、頼んだよ。」

バサッ……バサッ……

大きく羽ばたく姿はたくましく、数いる神の中でも流石さすが、創造神の弟だ。
  

「わーお!いいなぁ!私も飛べるようにしてもらえば良かった!」
 
「風魔法で吹っ飛ばしてあげましょうか?」


――りない二人だ。     

  
「……異世界転生…………チート…………」
ますます厨二心をくすぐられ、振り回したしっぽで今にも宙に浮きそうだ。ちなみに魔法は使えるようになったらしいが、異世界ではない。明後日行くのは人間界だ。

…………嬉しそうなので黙っておこう。

正論が必ずしも正解とは限らない。



空気とは、目には見えないのに、吸ったり吐いたり、匂ったり読んだり……色々と大事なモノなのだ。



 
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