17 / 24
三章
一、虹色隊 結成 中編
しおりを挟む「皆んながそれぞれの特技を活かして戦えば、きっと世界の平和も、我が天界の家の平和も取り戻せるさ!それぞれに合った魔力と加護も授けよう」
「本当か!!かっこいい……オレ、闇魔法がいい!厨二心をくすぐられるぜ……」
「おお、君は永遠の厨二病ってやつなのかい?」
珍しいものを発見したような顔で、こちらに目配せをしてきたが、オイラに聞かれても困る。
「残念だが、闇魔法は魔族にしか使えないんだ……代わりに、攻撃力と防御力をMAXにしておくから、地属性でどうかな?土魔法は何かと便利だからね」
「おっけー!チートって憧れてたんだ」
チャームポイントの少し短い足をバタバタさせて喜ぶ。
本人はコンプレックスらしいが、それは秘密だ。男と男の約束なのだ。
「そこでいつまでも潜ってる怖がりな君は後方支援を頼むよ。回復魔法が使えるように、光属性が良さそうだね」
「…………まだあたしは行くって言ってないわよー!」
ポセイドンが手をかざすと、分厚い雲越しにユメがキラキラと光るのが見えた。
「面倒見の良さそうな君は……土魔法と相性の良さそうな風属性と、臨機応変に対応出来るよう無属性もつけておこう。美味しいお茶をありがとう」
笑みを浮かべながら、お腹の辺りをしきりに擦っている。マリンが、どうぞどうぞとお代わりを勧め続けていたから……タプタプなのだろう。
「負けん気は強いが優しい君には、火属性と水属性。人間界は寒かったり暑かったりする。攻撃の為だけではなく、暖を取ったり、水を飲んだり、野営にきっと役に立つだろう。上手く使ってくれ」
優しいとおだてられたので、慌ててマリンを睨むのを止め、「あらぁ……」と照れて体をくねらせている。鼻に寄せた皺も完全に消えた。
「最後に、冷静で穏やかで、周りが良く見えている君にには、強力な結界を張って皆を守れる氷魔法と石魔法を。……それから」
煌々と光る足元を指さすと
「収納魔法もつけておくから、いざとなったらしまっておくといい。彼女は自分だけの落ち着けるスペースがないと辛いんだろうな」と、笑った。オイラも同感だ。
「出発は明後日にしよう。あまり時間が無く申し訳ないが、準備しておいてくれ」
「オレら、どこへ行けばいいんだ?かっこいいし、飼い主に褒められて、ついでに創造神のゲーム中毒が治るならって、二つ返事でおっけーしちゃったけど」
いそいそと、ぬいぐるみを鞄にしまっているがーー
――マリンが呆れ顔で見ているぞ。
「肝心な事がまだだったな。君たちを一度、転生させることになる。人間界にも降りてもらわないといけないからな。詳しいことはまた、明後日に」
「じゃあ、頼んだよ。」
バサッ……バサッ……
大きく羽ばたく姿は逞しく、数いる神の中でも流石、創造神の弟だ。
「わーお!いいなぁ!私も飛べるようにしてもらえば良かった!」
「風魔法で吹っ飛ばしてあげましょうか?」
――懲りない二人だ。
「……異世界転生…………チート…………」
ますます厨二心をくすぐられ、振り回したしっぽで今にも宙に浮きそうだ。ちなみに魔法は使えるようになったらしいが、異世界ではない。明後日行くのは人間界だ。
…………嬉しそうなので黙っておこう。
正論が必ずしも正解とは限らない。
空気とは、目には見えないのに、吸ったり吐いたり、匂ったり読んだり……色々と大事なモノなのだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
8
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる