2 / 24
一章
一、天界
しおりを挟む
「よし!今日のは超大作だぜ。」
このところ、奴はゲームに夢中なのだ。
マイ……何て言ったかな。画面の中で小さなブロックを積み上げては、理想の家だのなんだのとはしゃいでいる。
十年程前、人間界に降りた時に手に入れたらしい、このパソコンとかいう物体と一日中向かい合っているのだから、私や仲間達が呆れるのも無理はなかった。
「ゼウスはまたあれか」
仕事を終えたポセイドンは溜息をつきながら一瞥した。
「見回りはちゃんとしてるんだろうな?」
「あぁ」
えらく気の抜けた返事が返ってきたが、それも、もう慣れた。
「海は異常なかったぜ。もうすぐ定例会議の時間だ。本来ゼウスが来ないと始められないんだからな。いい加減、自分のやるべき事をちゃんとやったらどうなんだ」
「あぁ」
四角い物体から目を離そうとしない姿に腹が立ったが、奴は俺の兄というだけではなく、この世界の創造神なのだ。陰で反発する声はあっても、面と向かって文句を言える者は少ない。
以前はもっとこの世界の事を考えていたし、人間界の様子にも気を配って善悪のバランスが崩れないように監視していたのに、最近はこの有り様で、もっぱら仮想の世界を創るばかりだ。
あのゲームを手に入れてから、すっかり変わってしまった。
立ち上がる様子のないゼウスを尻目に、ポセイドンは大きな翼をバサバサと鳴らし上空へと羽ばたいていった。
このところ、奴はゲームに夢中なのだ。
マイ……何て言ったかな。画面の中で小さなブロックを積み上げては、理想の家だのなんだのとはしゃいでいる。
十年程前、人間界に降りた時に手に入れたらしい、このパソコンとかいう物体と一日中向かい合っているのだから、私や仲間達が呆れるのも無理はなかった。
「ゼウスはまたあれか」
仕事を終えたポセイドンは溜息をつきながら一瞥した。
「見回りはちゃんとしてるんだろうな?」
「あぁ」
えらく気の抜けた返事が返ってきたが、それも、もう慣れた。
「海は異常なかったぜ。もうすぐ定例会議の時間だ。本来ゼウスが来ないと始められないんだからな。いい加減、自分のやるべき事をちゃんとやったらどうなんだ」
「あぁ」
四角い物体から目を離そうとしない姿に腹が立ったが、奴は俺の兄というだけではなく、この世界の創造神なのだ。陰で反発する声はあっても、面と向かって文句を言える者は少ない。
以前はもっとこの世界の事を考えていたし、人間界の様子にも気を配って善悪のバランスが崩れないように監視していたのに、最近はこの有り様で、もっぱら仮想の世界を創るばかりだ。
あのゲームを手に入れてから、すっかり変わってしまった。
立ち上がる様子のないゼウスを尻目に、ポセイドンは大きな翼をバサバサと鳴らし上空へと羽ばたいていった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
8
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる