雨の公国

紫蘭

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プロローグ

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 1年中、雨が降り続ける国がある。
 この国では“晴れ”というものは存在しない。
 時に強く人々を脅かし、時に優しく人々を包む“雨”しか存在しない。
 国民300人程度が住むこの小さな国は正式な国名が存在しなかった。外部との接触が一切ないため、国名をつける必要がなかった。
 だから僅かに伝承としてこの国を知る者はみなこう呼んだ。“雨の公国”と。
 雨に閉ざされた雨の公国。
 その中で人々は夢を見る。
 物語の中にある、真っ青な空と白い雲を、そしてキラキラと太陽というものををいつか見てみたいと。
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