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レイナとリスト7

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「そんなこと言われたの、初めてです」

 顔が赤くなっているのを実感して、レイナは下を向く。

「あ、なんか、すみません」

 リストも自分が何気なく言った言葉の意味に気づいたようで恥ずかしそうにナイフを動かし始めた。

「リスト様には、とても大切なものをいただいている気がします。レッスンも予定より増やしていただいて、何も返せないのが申し訳なくなります。」

「いえ、レイナ様に言うのは、あるかもしれませんが、私もここに通うのが楽しいのです」

「そうなのですか?」

「はい。アイリス様は、あの方は音楽を愛し、音楽に愛されていらっしゃいます。お2人ともそっくりなお顔立ちをされているのに、演奏を始めると全く違う魅力を発揮される。それを見るのが楽しいのです」

「私も、アイリスがあんなに楽しそうにしているのは初めてみます。ずっとずっと、喋よ花よと、大切に、大切に育てられたのです。だからこそ、我慢することも多かったはずです。無邪気に笑っていてくれていると嬉しいのです」

「本当に仲がよろしいのですね」

「はい!」

 それから、2人はアイリスの話、アイドクレース領の話で盛り上がった。

「それでは、レイナ様はよく外に遊びに行かれるのですか?」

「えぇ、抜け出すことも、堂々と遊びに行くこともあります。最近は行けていないのですけど」

 遊びに行く暇もないぐらいに社交界デビューの準備が忙しいのと、抜け出して怪我でもしたら今までの苦労が無駄になる。

 おかげで最近は息抜きの訓練も、なんなら秘密のお茶会の暇すらない。

「そうなのですね。私はアイドクレース領に来たばかりなので、まだまだこの街のことを知らないのです。どこかオススメはありますか?」

「それでしたら、今度ご案内しましょうか?」

 頭の中でこの街の好きなところをレイナはいくつか浮かべる。

「あ、もちろん侯爵令嬢としてではありませんよ?お忍びで町娘としてでしたら」

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