私が唯一愛した人は、双子の姉を愛していたので、友情と仕事に生きることを決めました

紫蘭

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レイナとリスト5

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 広いダイニング、大きなテーブルの真ん中にレイナは腰掛ける。

 向かい側にはリスト。

 あとは給仕のメイドと執事のみ。

 侯爵が留守にしているのでと気軽に誘ったリストとの夕食は何故か1対1という構図になってレイナの目の前に拡がっていた。

「申し訳ありません。アイリスの体調が悪いようで、母もそれに付きっきりで……」

「仕方の無いことです。侯爵夫人にもお会いしてみたかったですが、よろしくお伝えください。それからアイリス様にどうかお大事にと」

「ありがとうございます」

 気まずい沈黙が場を支配する。



 あの後、リストを応接室へ案内しようとしたところ、レッスン室にいさせて欲しいと言われ、レイナは一旦自室に戻った。

 そして、アイリスの所へ伝言に行かせたフレナは困った顔をして直ぐにレイナの部屋へやってきた。

 いつもの事ではあるがアイリスの体調が良くないと。

 熱は無いものの軽い咳があるため、ベッドで休んでいる状態だった。
 もちろん、アイリスがその状態でルナリアが傍を離れるはずは無い。

 図らずしも2人きりとなってしまった夕食にレイナは頭を抱えた。
 ついでに、後でこのことを知ったアイリスに「ずるい!」と言われるところまで想像する。

 2人きりと言っても侯爵家のダイニング、使用人の目も多く、問題になるほどでは無い。

 これが私室やガーデンと言った人目を避けるような場所や、逆に人目の多いレストランなどだと社交界デビュー前とはいえ、侯爵令嬢が密会という噂がすぐさま広まる。

 今回はアイリスの体調不良という理由を侯爵家に仕える人間が知っているため、その点については大丈夫だろう。

 どちらかと言うと問題は、今この空間をどうするかだった。


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