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レッスン再開1

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 コンコンコン

「レイナ!今日はピアノの日ね!」

 朝、早めに目を覚ましたレイナが自室でストレッチをしていると、フレナとスミカを連れたアイリスが飛び込んできた。

「アイリス。今日は元気そうね。こんなに早くにどうしたの?」

 時刻は朝7時。朝食もまだの時間にアイリスが訪ねてくることなど今まで無かった。
 それに、こんな時間から活動することをルナリアが許すとも思えない。

「あのね。今日、リスト様が来るでしょう?だからどのお洋服を着ようかと思って。レイナに相談しに来たの」

 見ると、アイリスはまだ寝巻きのネグリジェ姿だ。

 対してレイナは動きやすいパンツスタイル。
 朝食の為にダイニングに行く時は、ドレスに着替えなければいけないが、朝から身体を動かすにはパンツスタイルの方が動きやすい。

「そう。ならアイリスのお部屋で決めようか。ちょっと待ってて、着替えてくるから」

「レイナのお洋服、アイリスも見ていい?」

「いいよ」

 隣にある衣装部屋へ移動し、レイナは適当に自分の服を選ぶ。

 レイナのドレスは紺やブルー、グレーといった落ち着いた色が多く、レースやフリルも少ない。

「アイリス、いつも思うの。レイナのお用具のお部屋は、アイリスのお洋服のお部屋と全然違う」

「そうね。せっかくだし、アイリスが選んでくれる?」

「いいの?」

 ぱぁっと笑顔になったアイリスが嬉しそうにドレスを選び始める。

 フレナがその姿を見てそっと横で手伝いを始めた。

「これにする!」

 アイリスが選んだのはグレーのスカートに濃いブルーの刺繍が美しいドレス。
 レイナの服にしては珍しく、レースの多い可愛らしいドレスだ。

「じゃあ着替えてくるわね。その間に髪飾り選んでてくれる?」

「うん!」

 横に控えていたスミカを連れ、レイナはドレスに着替えに行く。

 後ろではたくさんの華やかな髪飾りを見て声をアイリスが楽しそうにフレナと会話していた。


「レイナ様、いいの?アイリス様が選ぶと、多分リボンかレースになるよ?」

「まぁ、たまにはね。それに、趣味は違うかもしれないけど、アイリスのセンスは確かだし」

 アイリスはレイナの好みとは真逆に近い、フリルやレース、ピンクなど、とにかく可愛らしいものを好んでいた。

 基本的に部屋の中で過ごすアイリスにも楽しんでもらおうと、ルナリアがたくさんのドレスやアクセサリーを買い与えていることもあって、小さい頃から可愛いものに囲まれて育ったアイリスのセンスは周りが思うより良い。
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