私が唯一愛した人は、双子の姉を愛していたので、友情と仕事に生きることを決めました

紫蘭

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手合わせ1

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 屋敷の裏庭、普段はたまに庭師が手入れに来る以外誰も寄り付かない場所。
 そこをラエルは自主練場所にしていた。

「久々じゃない?ラエルと手合わせするの」

「レイナ様最近忙しそうだからな」

「そう、だから身体がなまっててさ、。ラエルにも汗をかかせられるぐらいには動けたらいいんだけど」

「いくら運動神経がずば抜けてるからって、現役の騎士見習いなめんなよ。まぁ、レイナ様が騎士見習いで俺と同じぐらい訓練してたら正直勝てるか怪しいけど」

 幼い頃、剣術を始めたばかりの時、レイナは何度かラエルをボコボコにしたことがある。
 まだ、年齢の差や男女の差が大きく関与しない頃は持ち前の運動神経とセンスだけがものをいうのだ。

 ただ、現在は全くと言っていいほど歯が立たない。
 男女の差、そして2歳年上というのは、この年頃になると剣術においてどうにもならない壁である。

 レイナが女性騎士を目指す騎士見習いであったら、また何か違ったのかもしれないが、あくまでレイナの拳銃はいざと言う時に自分の身を守るためのものだ。

 最近は昔のように騎士団の訓練に忍び込む暇もなくなり、たまにラエルとここで手合わせをするのが関の山だ。

 レイナが久しぶりに木刀を手に取ると、それは意外な程にすっと手に馴染んだ。

「身体って意外と忘れないんだね」

 レイナは何度か素振りを繰り返して言う。

「騎士団長がたった数ヶ月で忘れるような生ぬるい訓練するわけないだろ」

「確かに」

 騎士団長の訓練は泣いて逃げ出したくなるほどにスパルタだった。

 ぐるぐるとレイナは腕を回す。

 今日は何だか身体が軽い。
 特にいつもと異なることをした訳では無い。
 原因は多分精神的なものだろう。
 ラエルたちの専属の話に、思っていた何倍も楽しかったピアノのレッスン。

 今日はいい日だ。とレイナは心の中で呟く。
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