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秘密のお茶会2

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 レイナの部屋に入ると、4人は流れるような手つきでお茶会の準備を始める。
 ラエルが机と椅子を動かし、リアンは今日のお菓子にあった茶葉を取り出す。
 スミカはテーブルセット、フレナは茶器の準備と何年も行っているからこその、阿吽の呼吸。
 レイナは楽譜を仕舞いながら、その姿を眺めた。

「あ、スミカ。アイリスの様子どうだった?」

「あ~、あれは確実に熱を出すと思う。お部屋に着くまでもだいぶ興奮した様子だったし、頬も真っ赤だった。お部屋の中で奥様がアイリス様を待っていらして、興奮して帰ってきたアイリス様に驚いて、すぐさま看病を始めていたから、今頃はベッドの中だじゃないかな?」

 持っていたバスケットからレーズンバターサンドを取り出しながらスミカは言う。

「スミカに任せちゃってごめんね。本当は私が送るべきだったんだろうけど、リスト様を1人にするわけには行かなくて……」

「大丈夫!それにレイナ様が送って行ったら「あなたが付いていながら、なんでアイリスが熱を出すの!」って怒られるでしょ。私が行った方がスムーズだもの」

「しょうがないよ。どうしても私と行動しているとアイリスが興奮する機会が多いもん。お母様的にはアイリスにはお部屋で大人しくしていて欲しいのよ。でも、私は経験できることはさせてあげたくて、連れ出しているんだから、お小言ぐらい甘んじて聞き流すわ」

「聞くんじゃなくて、聞き流すのね」

 スミカが突っ込み、部屋中に笑い声が広がる。

「では、レイナ様どうぞ」

 お茶会の準備が終わると、リアンのエスコートでレイナは席に着き、そこからは他愛もない話が始まる。

 最近王都で流行っているドレスのこと。
 新しく隣国から入荷した茶葉のこと。
 ラエルの最近の稽古であった話。
 レイナの社交界デビューのドレスをどうするか。
 それから、先程終わったばかりのピアノのレッスンについて。

「で、で、ピアノの貴公子はどんな方だったの?」

 興味津々といった様子でフレナはレイナに問いかける。
 同じく真剣な瞳でレイナを見つめるスミカとその後ろで少々呆れ顔のラエル。
 リアンはいつもと変わらぬ表情でティーカップを口元へと運んでいる。

 紅茶に目がないリアンはこの秘密のお茶会でだけ味わえる高級茶の茶葉が毎回楽しみらしい。
 レイナへのアドバイスと称して、行商人への注文へ口出しし、自分が飲みたくても手が出ない茶葉をレイナの部屋にストックしている。

「リスト様ね。噂に違えない素敵な方だったわ。特に演奏している姿、あれはピアノを奏でる姿そのものが芸術だった」

「レイナ様がそんなふうに言うなんて珍しい。もしかして好きになっちゃった?」

 スミカがレイナを茶化す。

「そういうのじゃないって、ただ、毛嫌いしていたけど音楽も悪くないって思っただけ」

「レイナ様が音楽に興味を示すなんて初めてじゃない?音楽や刺繍といった女性らしいことはとことん避けていたのに」

 フレナも物珍しそうにレイナのことを見つめていた。
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