上 下
14 / 25

14

しおりを挟む
しばらくするとイリスとミアの声が聞こえてきた。


「私がマリア様に塗りますわ!」


「なに言ってるのにゃ!!!

イリスは背中流したのにゃ!!!

だから塗るのはミアがするのにゃ!」


「それとこれとは話が別ですの!!!」


「一緒だにゃ!!!」



「お姉様を待たせるわけにはいきませんわ! 勝負で決めますわよ!」


「わかったにゃ!!ミア絶対に負けないにゃ!」



巫杜《みこと》はベッドに横になりながら2人の喧嘩を聞いていた。


(またあの2人喧嘩してるわね。マリアわぁ?気にしてないみたいね。

塗るとか言ってるし。マッサージしてくれるのかしら。

てか!!!私の名前が出てこないんだけど!!!・・・・・・

はぁ気にしちゃダメよね。
マリアが相手だもの仕方ないわよね!)



二人の姿は見えなくて、何をしているかわからなかったが。すぐに決着した。



「にゃーー! ミアの勝ちだにゃ!」
ミアは両手を上げ飛び跳ねて喜んだ。


「クゥン。負けましたわ。悔しいですのぉ!!!」
イリスは腰をガクッと落としひざまずいた。

「マリア様!ミアがお塗りしますのにゃ」

「頼むわね」



イリスは巫杜《みこと》に近づいた。

「はぁ巫杜様。私がお塗りいたしますの」(はぁ、マリアお姉さまぁ)


「よろしくね」
(うわぁぁぁ! 凄い不機嫌そう。
ん? あれはなにかしら?)


「ねぇイリスそれはなに?」



イリスは緑色の液体が入ったビンを持っていた。
「これはヒーリングオイルですの。

塗るとお肌ツルツルになりますし
傷が治りますの。
それに、汚れや、多少の痛みや傷でしたら防いでくれますの!」



「え!!そんなのあるの!!!」



キャン!!!
「何ですの!!突然大きな声を出したら驚くじゃありませんの!!!」



「あ、ごめん」
(今キャン!って言った。驚くとあんな反応するのね)



イリスはキョトンとしていた。
「そんなに驚く事ですの?」



「あ、ううん違うの」



「は?」


「傷を治す物があるのに喜んだだけなの。
大声出してごめんね」


「はぁ。そうですか」



(まぁ傷が治るなら何でも良いわ!
足の傷何日で治るかしら。

後でヒーリングオイル分けてもらわなきゃ。
けど効能の痛みや傷を防ぐって何かしら?)



「でわ。塗りますわよ」
イリスは自身の手に緑色のドロっとした液体をつけ巫杜《みこと》の背中に塗り始めた。ペチャ。


「ひゃん!!!!冷たい!」



「なんて声出してますの!」



「ごめん。続けて」
(うぅ。恥ずかしい!!!
あんな声出すなんて、
はぁぁぁぁでも気持ちいい)


ペチャペチャぬりゅぬりゅ



「あら? 巫杜様
足の裏、細かい傷がかなりありますわよ」
(さっきは仕返しに夢中で気づきませんでしたわ)



「うん、もう痛くはないんだけどね」



「でしたらしっかり、塗りませんと」



ぬりゅぬりゅペチャペチャキュキュ

 イリスは、足の指と指の間にまで丁寧に塗りだした!



(な、なんか、恥ずかしい。
でも私の為にしてくれてるんだから、我慢しないと)



「ふぅ。傷一つ残さず綺麗になりましたの」



「へ?傷一つ残さず?」



「ですの」



「うそ!!!」
ガバ!!!

巫杜はベッドから飛び起きると足の傷を確認していた。



「キャン!!!何ですのさっきからぁ?」
(突然起きたと思ったら何を自分の足の裏をマジマジと見てますの?まったくわかりませんの)




(何これ、ありえない。20は傷があったのに1つも残ってないじゃない!!!
傷が治るにしても早すぎでしょ!!!!!)



「コホン! 巫杜様そろそろ続きをしたいのですが」


「あ!ごめんなさい。続けて」
(ふぅ。一瞬であの傷が治るなんて不思議だけど、まぁ良いわよね。
あの傷と何日も付き合うよりは)



「では。続けますの」

ペチャ!

「ひゃん! ちょ! そこはやさしくぅぅぅ!」


「あら?強かったですの?」


「大丈夫なんだけど。私、脇腹とか首、弱いから優しくってぇ?

最近、同じことあったような?」



イリスは全身を硬直しシッポの全ての毛をピンと逆立てていた。
(はうぁ! まずいですわ! 風呂場での事を思い出されて、お姉様に話されでもしたら!!!
私終わりですのぉぉぉぉ!!!!!


仕方ありませんわ!!!お姉様にだけ使うテクを使い! 思い出すスキを与えませんの!!!!!)



「うーーん、なんだっ! けぇぇぇ!!!

ひゃ! ちょダメ! ひゃぅ!!
そこ!よわい!てばぁぁぁ」

(絶対思い出させませんのぉぉぉぉ!!!!)

キュキュキュキュ!!!!



「何か向こうは楽しそうね」


「でわマリア様こちらもやりますのにゃ!」


「あぁ! ミアいいわぁ!そこよ!そこ」

「足ですにゃ! しっかりもみますのにゃ!」

「ふぅ、生きかるわぁ」



「巫杜様。終わりましたわ。あら? 巫杜様!」


「はひゃ! あ! ありがとうイリス」


「いえ、大したことありませんの」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。 突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。 貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。 意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。 貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!? そんな感じの話です。  のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。 ※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。

気がついたら異世界に転生していた。

みみっく
ファンタジー
社畜として会社に愛されこき使われ日々のストレスとムリが原因で深夜の休憩中に死んでしまい。 気がついたら異世界に転生していた。 普通に愛情を受けて育てられ、普通に育ち屋敷を抜け出して子供達が集まる広場へ遊びに行くと自分の異常な身体能力に気が付き始めた・・・ 冒険がメインでは無く、冒険とほのぼのとした感じの日常と恋愛を書いていけたらと思って書いています。 戦闘もありますが少しだけです。

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

捨てられた転生幼女は無自重無双する

紅 蓮也
ファンタジー
スクラルド王国の筆頭公爵家の次女として生を受けた三歳になるアイリス・フォン・アリステラは、次期当主である年の離れた兄以外の家族と兄がつけたアイリスの専属メイドとアイリスに拾われ恩義のある専属騎士以外の使用人から疎まれていた。 アイリスを疎ましく思っている者たちや一部の者以外は知らないがアイリスは転生者でもあった。 ある日、寝ているとアイリスの部屋に誰かが入ってきて、アイリスは連れ去られた。 アイリスは、肌寒さを感じ目を覚ますと近くにその場から去ろうとしている人の声が聞こえた。 去ろうとしている人物は父と母だった。 ここで声を出し、起きていることがバレると最悪、殺されてしまう可能性があるので、寝たふりをして二人が去るのを待っていたが、そのまま本当に寝てしまい二人が去った後に近づいて来た者に気づくことが出来ず、また何処かに連れていかれた。 朝になり起こしに来た専属メイドが、アイリスがいない事を当主に報告し、疎ましく思っていたくせに当主と夫人は騒ぎたて、当主はアイリスを探そうともせずに、その場でアイリスが誘拐された責任として、専属メイドと専属騎士にクビを言い渡した。 クビを言い渡された専属メイドと専属騎士は、何も言わず食堂を出て行き身支度をして、公爵家から出ていった。 しばらく歩いていると、次期当主であるカイルが後を追ってきて、カイルの腕にはいなくなったはずのアイリスが抱かれていた。 アイリスの無事に安心した二人は、カイルの話を聞き、三人は王城に向かった。 王城で、カイルから話を聞いた国王から広大なアイリス公爵家の領地の端にあり、昔の公爵家本邸があった場所の管理と魔の森の開拓をカイルは、国王から命られる。 アイリスは、公爵家の目がなくなったので、無自重でチートし続け管理と開拓を命じられた兄カイルに協力し、辺境の村々の発展や魔の森の開拓をしていった。 ※諸事情によりしばらく連載休止致します。 ※小説家になろう様、カクヨム様でも掲載しております。

【完結】転生少女は異世界でお店を始めたい

梅丸
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。

処理中です...