上 下
4 / 25

4

しおりを挟む
マリアは巫杜の返事を聞くと安心した口調で話し始めた。


「わかったわ。それで巫杜の力を見込んで頼みがあるのだけど。

私達は町を奪い返す作戦中なの。それでね巫杜にも協力してほしいのよ」



(え? 町を奪い返す作戦? 私が協力! マリアは何を言ってるの)


「それでね。巫杜には熊を退治してほしいの」


(熊退治! 町にいたし熊って熊耳の人だよね。見た目人だから殴るとか嫌だなぁ

けど!!!

やっと出会えた! まともな人だし嫌われるわけにいかない!)

巫杜は拳を強く握りしめてマリアの目を見て言った。


「私にできることならやります!」


「ありがとう。巫杜の力なら大丈夫よ! じゃあ、壺と首輪を渡しておくわね」

「え? 壺と首輪? マリアこれで何をすればいいの?」


「あら?知らないの? 首輪は最近完成した物だから、知らない人がいても不思議ではないけど、熊が蜂蜜好きなのは有名よね?」


(重いから何か入ってるとは思ってたけど。この壺、蜂蜜入ってたんだぁ。

まぁ確かに熊は蜂蜜好きって言うよね。
私の好きなクマさんも、よく蜂蜜食べながら歩いてたし)

巫杜は小さく4回うなずき動きを止めた。


(・・・!!ってぇ! そんなわけないじゃん! 熊耳確かにあったけど!
見た目人でしょ!! どうなってんのよ!)

巫杜が考えているとマリアが説明を始めた。


「まぁ町でやり方が違うのかもしれないわね。知らないと何もできないから、
私が教えるわ。

まず蜂蜜壺の蓋を外して地面に置くのよ。

そして蜂蜜によってきた、熊の後ろから首輪をつけるの簡単でしょ」


「確かに簡単そうだけど、私の力必要あるの? それに首輪つけて何になるの」


「そうだったわね。肝心なことを話してなかったわ。
首輪の説明するわよ。我が国ミドガルズフィールの科学班が完成させた首輪は!
つけられた動物達が人間に逆らえなくなるのよ! どう凄いでしょ!」

マリアは首輪を両手で持ち胸を張って巫杜に見せた。


「そんなに凄い物あるんなら、やっぱり私必要ないんじゃない?」


「問題はつける時なのよ。いくら油断してるとはいえ、動物達は力が強くてね。

何度かは成功したんだけど、つけようとすると暴れてね。大体は失敗するのよぉ」

「そうなんだ」

(やっぱりここは話を合わせるのが得策よね。ここがどこだかわかんないし1人になるよりマシよね。悩む必要なんかないわよね!)

巫杜はそう自分に言い聞かせて作戦協力を決めマリアに話しかけた。


「えぇとつまり蜂蜜で注意を引き付けて、そのすきに首輪をつけるんですよね」


「完璧よ! 協力に感謝よ巫杜!!」

マリアは巫杜の両肩に手を置き目を見て真剣な目で言った。


「巫杜くれぐれも熊達に噛まれないでね」

「へ?」

(なに?何でこんな真剣なわけ?
まさか!食べられたりしないわよね?
大丈夫よね。見た目はただの人なんだし! 

けど熊耳の女の子は噛んできたし。まさか!私を食べようとしてたわけ?ってそんなわけないない。
そうよカクニンカクニンすればいいのよね)


 マリアがあまりにも真剣に噛まれるなと言うので、気になり巫杜は恐る恐る聞いた。


「あの、噛まれると、何かあるんですか?」

私の言葉にマリアは凄く驚いているようだった。

「何を言っているのよ巫杜! 奴等に噛まれれば耳と尻尾が生えてきて!
動物になるんでしょ!! こんなの常識よ!」

巫杜は森の手前で待機するリザにも聞こえるほど大声で叫んだ。

「は? はぁぁぁぁぁ!!!」

(はぁ、作戦中だと言うのに何ですか。あれではまるでお猿さんですね。
熊たちが出てきたらどうするつもりなんでしょうか)

巫杜は両手を頭に乗せ慌てていた。


(いやいやまってまって動物に噛まれたら動物なるってなに!!!意味わかんないし!!!いったい何処の常識よ!ってここの常識かぁぁぁ!はうぅぅぅ)


マリアが心配そう話しかけた。

「どうしたの巫杜突然大きな声を出して」

「へっあえと。はは」

「ん?」

マリアは不思議そうに巫杜を見つめていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界でのんびり暮らしてみることにしました

松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

【完結】転生少女は異世界でお店を始めたい

梅丸
ファンタジー
せっかく40代目前にして夢だった喫茶店オープンに漕ぎ着けたと言うのに事故に遭い呆気なく命を落としてしまった私。女神様が管理する異世界に転生させてもらい夢を実現するために奮闘するのだが、この世界には無いものが多すぎる! 創造魔法と言う女神様から授かった恩寵と前世の料理レシピを駆使して色々作りながら頑張る私だった。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。 突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。 貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。 意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。 貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!? そんな感じの話です。  のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。 ※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。

公爵家三男に転生しましたが・・・

キルア犬
ファンタジー
前世は27歳の社会人でそこそこ恋愛なども経験済みの水嶋海が主人公ですが… 色々と本当に色々とありまして・・・ 転生しました。 前世は女性でしたが異世界では男! 記憶持ち葛藤をご覧下さい。 作者は初投稿で理系人間ですので誤字脱字には寛容頂きたいとお願いします。

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

処理中です...