妻の不倫と僕の葛藤

侘助

文字の大きさ
上 下
5 / 7

妻の不倫と僕の葛藤〜〜その5

しおりを挟む
~つづき~

自宅に戻り息子達に離婚する旨を伝えました。

「マジでぇ?マジかよ~!」と嘆いていましたが、半年間の妻の態度や僕に対する言動には、彼らも思う事があったのか渋々ながら理解してくれました。

「俺は君達の父親だから、離婚しても今まで通り、何も変わらない。
だけど、俺は君達の弁当や破れたユニホームや学校の事ができない、帰りも遅いから食事も満足に作れない。
情けない話だけど、君達と一緒に暮らしても、何一つしてあげる事ができない!」

「だから君達はお母さんと一緒に暮らせ!」

悔し涙を堪えながら、言葉にするのが精一杯でした。
家族の為に働いた仕打ちがこれだと思うと、悔しくて悔しくて堪らなかった。


その後、一ヶ月後に離婚しました。


15年の夫婦生活最後の夜は自宅で二人で食事しました。

妻の最後の手料理は僕の好きな鯛と蛸のカルパッチョとローストポークでした。

子供の成人式に乾杯しようと思って買った、誕生年の白と赤のワインを奥の食品庫から持ってきて、

「もう必要なくなったから飲んじゃおうか?」
と僕が言うと、目に涙を浮かべ、
「ごめんなさい」
と言って妻は頷きました。

・子供が独立してからの二人だけの生活が楽しみだった事
・孫の成長を一緒に喜ぶ事
・昔のアルバムを見ながら思い出を語り合う事

これらが全てできなくなった事が一番残念な事を伝えました。


「なぜ浮気してるのが判ったの?」

妻が聞いてきたので、

「僕は君が大好きだったんだよ」
「君を愛してるから、キスですぐに判ったさ!」

僕が苦笑いでこう答えると、妻は息ができないくらいに号泣していました。

妻は
「一生かけて償いたいので、離婚だけはしたくない」
「貴方の事が一番大事だし、一番愛しているの」
「お願いします。お願いします」と何度も頭を下げていました。

あの時、浮気相手を想い、ベッドで背を向け面倒臭そうにしてた事を思い出したら、到底元通りには戻れませんでした。


あの時、浮気はしてても、いつもと変わらず僕を愛してくれていたら、許す事が出来たのかもしれません。

あの時、キスが無機質なものでなく、愛情たっぷりのキスだったら、時間をかけてでも壊れた断片を修復できたかもしれません。

どんなに「今」僕を愛してると言っても、あの時の姿は僕の記憶からは消す事ができない。


~~つづく~~
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

パート先の店長に

Rollman
恋愛
パート先の店長に。

偶然PTAのママと

Rollman
恋愛
偶然PTAのママ友を見てしまった。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

淫らに、咲き乱れる

あるまん
恋愛
軽蔑してた、筈なのに。

お父さんのお嫁さんに私はなる

色部耀
恋愛
お父さんのお嫁さんになるという約束……。私は今夜それを叶える――。

処理中です...