123 / 135
アルバイト勧誘編
不意強襲⑤
しおりを挟む
宣戦布告をしたところで俺達は互いにすれ違った。
次に会うとすればそれはフィールド上でだ。
クラブの歴代最強にして現ユースチーム最強の東京ヴァリアブル。
俺は常に俺が一番のプレーヤーだと思ってはいるが、現時点で涼介一人にすら俺は到底敵わないだろう。
それほどまでに、1年間のブランクというのは大きい。
練習嫌いだった光ですら雑だったはずのクロスを正確に上げることができていたように、紗凪が空中戦のスペシャリストになったように、それぞれの成長率は著しいんだ。
同世代のアイツらをまとめて相手するのに俺だけじゃ足りない。
涼介、優夜、賢治、光、流星、龍二、郡司。
少なくともこいつらに対抗できるレベルのチームメイトを見つける必要がある。
「高坂っち」
「なんだよ」
少し離れてから桜川が声を掛けてきた。
「サッカー復帰するってマジ?」
「…………聞いての通りよ」
「一大ニュースじゃん! 私があれだけ誘ってもダメだったのに! てか梨音っちと前橋っちはなんでそんなローテンションでいられるの!?」
「なんでって…………」
「結構前から知ってたもん」
「あれ!? 知らなかったの私だけ!?」
生徒会の面々には配慮してもらう関係で一番最初に伝えてあったからな。
いまさら宣言繰り返したところでリアクション薄めなのは当たり前だわな。
「じゃあ部活入る!? サッカー部入る!?」
「いや生徒会入ってるし今は部活やらないよ。つーか桜川、お前また勧誘に力入れるなよな」
「血が騒ぐね……!」
「何者なんだよ」
またトイレまで付いて来られるのは勘弁して欲しい。
「にしても驚いたのはきいだよ。あんなに声を荒げてたの初めて見た。凄く格好良かったよね」
弥守に噛みついたやつな。
確かにあれは熱い場面だった。
「私も! いつもはもっとクールで落ち着いてるイメージあったのに、あんな一面があったんだねぇ。高坂っちのためだよね」
「ち、ちがっ……! 別に高坂のためとかじゃなく…………あれは、そう、尊敬してるプレーヤーを馬鹿にされたら誰だって怒るじゃん。同じ選手として、怒ったの」
「うんうん、その気持ち分かるよ。私も梨音っちもよく代弁してくれた! って思ったしね。それに対して高坂っちの反応は?」
「女神がいると思いました」
「~~~ッッ!!」
前橋の顔が照れからか赤くなっていくのが分かる。
その時々の感情を改めて思い返したりした時や指摘された時に恥ずかしくなること、あるよな。
「いよっ! 瑞都高校の女神っち!」
「女神っちってなんだよたまごっちかよ」
優夜に終わっている選手と言われた時、否定してくれたのは弥守だった。
そして今回、その弥守から終わっている選手と言われ、今度は前橋が否定してくれた。
ここで俺が結果を出せなければ前橋にも恥をかかせることになる。
「期待には応えたいよなぁ…………」
「ん? なに?」
「いや、飯食いに行こうぜ」
「おー! 行こう行こうー!」
ともあれ正式にサッカーができるようになるのはしばらく先の話だ。
今はまだ、一つ一つを大事にしていこう。
次に会うとすればそれはフィールド上でだ。
クラブの歴代最強にして現ユースチーム最強の東京ヴァリアブル。
俺は常に俺が一番のプレーヤーだと思ってはいるが、現時点で涼介一人にすら俺は到底敵わないだろう。
それほどまでに、1年間のブランクというのは大きい。
練習嫌いだった光ですら雑だったはずのクロスを正確に上げることができていたように、紗凪が空中戦のスペシャリストになったように、それぞれの成長率は著しいんだ。
同世代のアイツらをまとめて相手するのに俺だけじゃ足りない。
涼介、優夜、賢治、光、流星、龍二、郡司。
少なくともこいつらに対抗できるレベルのチームメイトを見つける必要がある。
「高坂っち」
「なんだよ」
少し離れてから桜川が声を掛けてきた。
「サッカー復帰するってマジ?」
「…………聞いての通りよ」
「一大ニュースじゃん! 私があれだけ誘ってもダメだったのに! てか梨音っちと前橋っちはなんでそんなローテンションでいられるの!?」
「なんでって…………」
「結構前から知ってたもん」
「あれ!? 知らなかったの私だけ!?」
生徒会の面々には配慮してもらう関係で一番最初に伝えてあったからな。
いまさら宣言繰り返したところでリアクション薄めなのは当たり前だわな。
「じゃあ部活入る!? サッカー部入る!?」
「いや生徒会入ってるし今は部活やらないよ。つーか桜川、お前また勧誘に力入れるなよな」
「血が騒ぐね……!」
「何者なんだよ」
またトイレまで付いて来られるのは勘弁して欲しい。
「にしても驚いたのはきいだよ。あんなに声を荒げてたの初めて見た。凄く格好良かったよね」
弥守に噛みついたやつな。
確かにあれは熱い場面だった。
「私も! いつもはもっとクールで落ち着いてるイメージあったのに、あんな一面があったんだねぇ。高坂っちのためだよね」
「ち、ちがっ……! 別に高坂のためとかじゃなく…………あれは、そう、尊敬してるプレーヤーを馬鹿にされたら誰だって怒るじゃん。同じ選手として、怒ったの」
「うんうん、その気持ち分かるよ。私も梨音っちもよく代弁してくれた! って思ったしね。それに対して高坂っちの反応は?」
「女神がいると思いました」
「~~~ッッ!!」
前橋の顔が照れからか赤くなっていくのが分かる。
その時々の感情を改めて思い返したりした時や指摘された時に恥ずかしくなること、あるよな。
「いよっ! 瑞都高校の女神っち!」
「女神っちってなんだよたまごっちかよ」
優夜に終わっている選手と言われた時、否定してくれたのは弥守だった。
そして今回、その弥守から終わっている選手と言われ、今度は前橋が否定してくれた。
ここで俺が結果を出せなければ前橋にも恥をかかせることになる。
「期待には応えたいよなぁ…………」
「ん? なに?」
「いや、飯食いに行こうぜ」
「おー! 行こう行こうー!」
ともあれ正式にサッカーができるようになるのはしばらく先の話だ。
今はまだ、一つ一つを大事にしていこう。
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説



隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。
主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。
ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。
しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。
その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。
「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」
これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。


可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

モブが公園で泣いていた少女にハンカチを渡したら、なぜか友達になりました~彼女の可愛いところを知っている男子はこの世で俺だけ~
くまたに
青春
冷姫と呼ばれる美少女と友達になった。
初めての異性の友達と、新しいことに沢山挑戦してみることに。
そんな中彼女が見せる幸せそうに笑う表情を知っている男子は、恐らくモブ一人。
冷姫とモブによる砂糖のように甘い日々は誰にもバレることなく隠し通すことができるのか!
カクヨム・小説家になろうでも記載しています!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる