怪我でサッカーを辞めた天才は、高校で熱狂的なファンから勧誘責めに遭う

もぐのすけ

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アルバイト勧誘編

偽物家族④

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 後日、授業参観の時ににのまえ家の両親が来ていたのは言うまでもない。
 忙しいと話していたのに両親とも来てくれているのは流石だ。時に牧村さんや藤原さんまで来ていたのには驚きというか、クラス全体がザワついていた。
 そりゃリアル執事とリアルメイドだ。ぶっちゃけ誰よりも目立っていた。
 ニノもまさか皆んなして来ると思っていたわけではなく、嬉しさ反面恥ずかしさ反面といったところだろう。
 いや…………どちらかというと恥ずかしさが勝ってるな。

 意外にもクラスの半数以上の親が授業参観に来ていたのには意外だった。
 俺の家はもちろん来れなかった(来なくて良かった)が、繁オジさんや梨音のお母さんはしっかり店を休んで来ていた。
 体育祭にも休んで来ていたし、娘のイベント事には必ず来るようにしているんだろう。

「新之助! あんた全然問題答えられてなかったじゃないの! 母ちゃん恥ずかしいよ!」

「うるせー! 現代文なんて出来なくても社会に出てから困らねーっつーの! ユキセンも普段当てたりしないくせにここぞとばかりに当てやがって!!」

「馬鹿言ってんじゃないわよ。あんた次の試験で赤点取ったらお小遣い無しだからね!」

「マジかよ!」

「マジよ!」

 授業参観終了後、新之助が母親と舌戦を繰り広げていたのが目に付いた。
 肝っ玉母ちゃんというか、新之助のメンタルの強さの理由の一端が見れた気がした。

 俺は帰る支度をしていたニノに声をかけた。

「ニノ」

「あ、コーサカ君」

「みんなで来てくれたみたいだな」

「そうなんだよ。僕もまさか牧村さん達まで来るなんて思ってなかったから小っ恥ずかしくて」

 でも笑顔だ。
 まだ中学生と見られてもおかしくはない幼さの残った顔立ちに、いつもの笑顔が戻っていた。

「少しづつだけど、僕もコーサカ君や若元さん達みたいに家族になっていけたら」

「ああ。だけど、同居の話はくれぐれも外では…………」

「もちろん。同棲のことは墓まで持っていくよ」

「いや別にそこまでじゃないんだが」

 秘密の守り方が重すぎる。
 しかも同棲に言い換えるなよ。関係がもっと深まってんじゃねーか。

「おおい修斗、ニノ、赤点対策頼む! 俺の懐事情がかかり始めた!」

 新之助が無様に泣きついてきた。
 どうせお小遣いのほとんどはゲームに消えているだろうに。とはいえ、勉強する気になったのであればそれはそれでいいことだ。

「そうだな、まずは新之助を全員でしごきあげないといけないな」

「僕の家ならいつでも大丈夫だよ。むしろ来てくれた方がお母さん達はなぜか喜ぶんだ」

「最高の親友だお前達は!」

「まだ会って2ヶ月だけどな」

「友情は時間じゃねぇ! 中身だ!」

 中身ではないんじゃね?
 言ってることはよく分からんけど、当面はみんなで集まって勉強会を決行する流れかな。
 梨音や八幡も誘えば来るだろう。



 数日後、女装した漆間大附属高校の生徒会長がウチの生徒会室にやってきた。
 インフルエンザに罹った時の俺と同じ顔色をしていた。
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