89 / 135
遅延新入生勧誘編
鷺宮=アーデルハイト=弥守③
しおりを挟む
「分かった? サッカーが出来なくとも修斗は色んな人に必要とされているのよ」
「鷺宮の言う通り、人の価値は一つだけじゃないぞ優夜」
「はっ、まぁええわ。悪いが修斗、俺達はもうあの頃とは違う。例えお前が今からサッカーに復帰しようが、もう間に合わへん。この試合でそれを証明させたる」
私の言ったことに納得はしていないものの、城ヶ崎は修斗に対して捨て台詞を吐くとグラウンドの方へ向かって行ってしまった。
ふん、まだまだ子供ね。
「修斗どうだった!? 私の援護射撃!」
「あ、ああ。助かったよ」
助かったと言いつつも修斗の顔が若干引きつっているのはどうしてだろう。
そんなに私の援護射撃に感動したのかしら。
「修斗、優夜のことは気にするな。アイツはライバル視していた修斗がサッカーを辞めて、そのまま勝ち逃げされたと思っているんだ。ああ見えて、当時修斗が怪我をさせられた時に誰よりも相手にキレていたのはアイツだからな」
「ある意味純粋なだけ、か……。試合、頑張れよ。俺も見てるからさ」
「ああ。お前にガッカリされないようにするよ」
神上と修斗が握手を交わしていた。
城ヶ崎はともかく、神上は修斗がサッカーを続けるのに協力的だから今後も使えるね。
修斗は神上と一番仲が良さそうに見えるし。
城ヶ崎に続いて神上もグラウンドに向かった後で、私はしれっと修斗に尋ねた。
「試合、見るの?」
「そのために来たからな」
私は心の中で一回転ジャンプをした。
どうやら修斗はここでヴァリアブルが試合をすることを誰かから既に聞いていたみたいだ。
どこかの誰か知らないけど伝えた人ナイス!
たぶん神上や城ヶ崎と会うつもりは無かったみたいだけど。
修斗と二人で試合を見れると思っていたが、グラウンド横のネット裏に着くと女の子が修斗を手招きしていた。
クラスでは見たことがないから違うクラスの女の子かな、生徒会にもいないはずだし……。
「あっ、高坂っちー…………と、どなた?」
「休学明けで昨日から学校に来た……」
「鷺宮=アーデルハイト=弥守よ」
どなたと聞きたいのはこちらの方だけど。
まったく、修斗は女の子とばかり知り合って、そんなことにうつつを抜ぐらいならサッカーのことをもっと考えて欲しいよ。
「桜川美月です! もしかしてハーフさん!? 宮っちって呼んでいい??」
「好きにすれば」
凄いグイグイ来る。
あんまりこういう子は得意じゃないけど……でもここで待っていたということは修斗に試合があることを伝えたのはこの子なのよね。
なら仕方ない。
ファインプレーに免じて、仲良くしといてあげる。
「ま~た高坂っちは綺麗な女の子連れて~、梨音っちが怒るよ~」
「別に何人も連れて歩いてねーよ。それに何で梨音の名前が出るんだ」
「何でって……そりゃあ、ねぇ?」
「梨音っちに前橋っちに宮っち、あと神奈月先輩とかもそうだよね。いやぁ可愛い女の子達からモテモテですなぁ」
「つーかその括くくりなら桜川も入ってんだろ」
「ええっ!? いやいやいや、私はほら、可愛いくはないから……」
「いや、側はたから見たら充分可愛いだろ」
「へぇ!?」
「サッカーやってたからか引き締まった体に、適度に焼けてる健康的な日焼け肌、ショートカットの髪型はいかにもスポーツやってますって感じで似合ってるしな」
「あわわわわ……! そ、それ以上は、ストップで!」
「はぁ? お前が話し始めたんだろ」
「いやもうホント……これ以上はお腹一杯というか…………恥ずかしすぎて気絶しそうというか……!」
何を見せられているんだろう。
や、別に修斗がこれでサッカーを続けるキッカケになるなら全然いちゃついていても構わないんだよ?
でもこれは関係ないよね。
ただいちゃついているだけよね。
今の修斗に価値はないから他の女の子と仲良くしてようが別に気にしないけど、でもここまで除け者にされるのもちょっと、ね?
「…………修斗」
「うわビックリした! 急に腰をつつくな弥守」
「あんまり見せつけられるのも癪だったから」
「何だそれ」
修斗はサッカーのことだけ考えていればいいのよ。
そこに私の存在が無くても構わない。
あの時の煌めきを修斗が取り戻してくれるのなら、私はあらゆる障害物を壊してみせる。
「鷺宮の言う通り、人の価値は一つだけじゃないぞ優夜」
「はっ、まぁええわ。悪いが修斗、俺達はもうあの頃とは違う。例えお前が今からサッカーに復帰しようが、もう間に合わへん。この試合でそれを証明させたる」
私の言ったことに納得はしていないものの、城ヶ崎は修斗に対して捨て台詞を吐くとグラウンドの方へ向かって行ってしまった。
ふん、まだまだ子供ね。
「修斗どうだった!? 私の援護射撃!」
「あ、ああ。助かったよ」
助かったと言いつつも修斗の顔が若干引きつっているのはどうしてだろう。
そんなに私の援護射撃に感動したのかしら。
「修斗、優夜のことは気にするな。アイツはライバル視していた修斗がサッカーを辞めて、そのまま勝ち逃げされたと思っているんだ。ああ見えて、当時修斗が怪我をさせられた時に誰よりも相手にキレていたのはアイツだからな」
「ある意味純粋なだけ、か……。試合、頑張れよ。俺も見てるからさ」
「ああ。お前にガッカリされないようにするよ」
神上と修斗が握手を交わしていた。
城ヶ崎はともかく、神上は修斗がサッカーを続けるのに協力的だから今後も使えるね。
修斗は神上と一番仲が良さそうに見えるし。
城ヶ崎に続いて神上もグラウンドに向かった後で、私はしれっと修斗に尋ねた。
「試合、見るの?」
「そのために来たからな」
私は心の中で一回転ジャンプをした。
どうやら修斗はここでヴァリアブルが試合をすることを誰かから既に聞いていたみたいだ。
どこかの誰か知らないけど伝えた人ナイス!
たぶん神上や城ヶ崎と会うつもりは無かったみたいだけど。
修斗と二人で試合を見れると思っていたが、グラウンド横のネット裏に着くと女の子が修斗を手招きしていた。
クラスでは見たことがないから違うクラスの女の子かな、生徒会にもいないはずだし……。
「あっ、高坂っちー…………と、どなた?」
「休学明けで昨日から学校に来た……」
「鷺宮=アーデルハイト=弥守よ」
どなたと聞きたいのはこちらの方だけど。
まったく、修斗は女の子とばかり知り合って、そんなことにうつつを抜ぐらいならサッカーのことをもっと考えて欲しいよ。
「桜川美月です! もしかしてハーフさん!? 宮っちって呼んでいい??」
「好きにすれば」
凄いグイグイ来る。
あんまりこういう子は得意じゃないけど……でもここで待っていたということは修斗に試合があることを伝えたのはこの子なのよね。
なら仕方ない。
ファインプレーに免じて、仲良くしといてあげる。
「ま~た高坂っちは綺麗な女の子連れて~、梨音っちが怒るよ~」
「別に何人も連れて歩いてねーよ。それに何で梨音の名前が出るんだ」
「何でって……そりゃあ、ねぇ?」
「梨音っちに前橋っちに宮っち、あと神奈月先輩とかもそうだよね。いやぁ可愛い女の子達からモテモテですなぁ」
「つーかその括くくりなら桜川も入ってんだろ」
「ええっ!? いやいやいや、私はほら、可愛いくはないから……」
「いや、側はたから見たら充分可愛いだろ」
「へぇ!?」
「サッカーやってたからか引き締まった体に、適度に焼けてる健康的な日焼け肌、ショートカットの髪型はいかにもスポーツやってますって感じで似合ってるしな」
「あわわわわ……! そ、それ以上は、ストップで!」
「はぁ? お前が話し始めたんだろ」
「いやもうホント……これ以上はお腹一杯というか…………恥ずかしすぎて気絶しそうというか……!」
何を見せられているんだろう。
や、別に修斗がこれでサッカーを続けるキッカケになるなら全然いちゃついていても構わないんだよ?
でもこれは関係ないよね。
ただいちゃついているだけよね。
今の修斗に価値はないから他の女の子と仲良くしてようが別に気にしないけど、でもここまで除け者にされるのもちょっと、ね?
「…………修斗」
「うわビックリした! 急に腰をつつくな弥守」
「あんまり見せつけられるのも癪だったから」
「何だそれ」
修斗はサッカーのことだけ考えていればいいのよ。
そこに私の存在が無くても構わない。
あの時の煌めきを修斗が取り戻してくれるのなら、私はあらゆる障害物を壊してみせる。
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説



隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。
主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。
ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。
しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。
その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。
「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」
これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。


可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

モブが公園で泣いていた少女にハンカチを渡したら、なぜか友達になりました~彼女の可愛いところを知っている男子はこの世で俺だけ~
くまたに
青春
冷姫と呼ばれる美少女と友達になった。
初めての異性の友達と、新しいことに沢山挑戦してみることに。
そんな中彼女が見せる幸せそうに笑う表情を知っている男子は、恐らくモブ一人。
冷姫とモブによる砂糖のように甘い日々は誰にもバレることなく隠し通すことができるのか!
カクヨム・小説家になろうでも記載しています!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる