74 / 135
遅延新入生勧誘編
強者蹂躙③
しおりを挟む
敵の動きを予測して仕掛けたタイミングに合わせてボールを奪取する。
その力に長けている賢治は幾度となくカウンターを一人で潰してきた。
俺でさえも当時の単純な1対1での勝率は5割程度だろう。
賢治に勝ち越せるのはそれこそ涼介だけだった。
アイツが最後尾で守っているからこそ、前線からのハイプレスが成り立っているんだ。
ボールは逆サイドに展開され、光へと渡る。
そして光と流星のワンツーだが、かなり深めのスルーパスが出された。
「あれはパスミスだよ」
ラッキーと言わんばかりに桜川が言葉を漏らしたが、まるで足に加速装置でも付いているのかと疑いたくなる光のダッシュ。
サイドバックを置き去りにし、タッチラインギリギリで間に合い、中へクロスを上げた。
思わず周りから驚きの声が上がる。
そしてさらに驚くべきはそのクロスの精度。
バランスの悪い状態で上げたにも関わらず、クロスはドンピシャで優夜の頭へ。
瑞都のセンターバック二人が挟んで競るが、優夜が頭一つ抜けてヘディングシュートを撃った。
シュートは運良くキーパーの目の前に飛んだためゴールとはならなかった。
「あ、あぶな……!」
「あの人、前から足が速かったのは知ってるけどクロスもあんなに上手かった?」
「いや…………光は足の速さ以外はユースレベルだと並の印象しかなかった。本人もプライベートで練習するほど熱心という感じじゃなかったために代表でも控えが多かったが…………」
唯一無二の足の速さに加えて正確無比なクロスをあげられるようになったら、相手のディフェンダーは手が付けられなくなるだろうな。
にしても未だ無失点。
押されてはいるが、ヴァリアブルの攻撃を凌ぎ切っている内に瑞都は一点欲しいだろうな。
「抑えてる抑えてる! 落ち着いて行くぞ!」
前橋兄が喝を入れるように選手を鼓舞した。
瑞都の選手がパスを受けたところを龍二が寄せてインターセプトし、左サイドの涼介にパスが渡った。
涼介はダブルタッチでディフェンダーの股を通して一人かわし、続けて寄せてきたディフェンスに対し高速シザースからのエラシコでバランスを崩して転ばせた。
一瞬の出来事で周りの観客から再びどよめきの声があがった。
ペナルティエリアに入ったところで正面に前橋兄、後ろから股を抜かれたディフェンダーが涼介を挟みにかかった。
涼介は右中にカットインをし、二人のディフェンダーを右に釣っておきながら、マルセイユルーレットで即座に縦へと抜けた。
ゴールから左角度30度の位置、キーパーと1対1になり左足を振りかぶる。
キーパーが角度を消してシュートを防ぐために、前に飛び出て手足を伸ばした。
それを嘲笑うかのように涼介のシュートはキーパーの股をゴロで抜けていった。
そのままボールはゴールへと吸い込まれていき、ゴールネットを揺らした。
「「「うおおおおおお!?」」」
大きな歓声がグラウンドを包んだ。
まさに圧巻。
ディフェンダーをいとも簡単に2枚抜き、2人に挟まれたところをあっさりと引き剥がし、キーパーの股を通してゴールを決める。
サッカーに詳しくない人が見ても一発でスーパープレイだと分かるゴール。
アウェイの空気をたったワンプレーでホームに変えてしまった。
「…………やっぱ凄いね神上涼介……。足に磁石でも付いてるのかってぐらいボールが離れなかったよ……」
「涼介はもうプロにいても遜色無いほど十分に戦えるはずだ。つまり瑞都高校が相手にしているのはプロと言っても過言じゃない」
涼介だけじゃない、優夜も賢治もレベルは既にプロと変わらず、将来的に海外の強豪チームに入り、日本代表を背負うプレーヤーになるはずだ。
光と流星は後もう一歩ステップが上がれば涼介達に追いつける。
龍二と郡司もこのまま成長を続ければ日本代表も目指せるだろう。
俺から見たヴァリアブル世代と呼ばれるメンバーの力関係はこんな感じだ。
他にもFC横浜レグノスの大城国紗凪や、川崎ディルマーレの熊埜御堂将太朗がヴァリアブル世代として呼ばれている。
そう言った点から見た時、瑞都の狩野隼人の実力は恐らく流星と同じくらいだと俺は思う。
足元の技術、ポジション取り、足の速さは確かに一級品だが、特級品である涼介や優夜や賢治には及ばない。
下手をすればAチームより強い今のBチームを倒す手段が瑞都高校には、無い。
1点を決められた後、瑞都高校の守備は完全に崩壊した。
再び光からのクロスが上げられ、優夜が今度はしっかりとゴールに流し込む。
涼介が左からディフェンダーをかわし、ファウル覚悟で来た相手もかわした後、中にグラウンダーのパスを出し、流星がダイレクトで決めた。
繰り広げられているのは、ただただ蹂躙されていく瑞都高校の選手達。
パスカットをし、カウンターから狩野が仕掛けるが再び賢治に封殺され、転がされた。
次第に選手達から声がなくなり、試合を見ていた生徒達は一人、また一人とグラウンドから帰っていった。
結果、前半終了時には6ー0という大差になっており、瑞都高校の選手達の心は折れてしまっていた。
その力に長けている賢治は幾度となくカウンターを一人で潰してきた。
俺でさえも当時の単純な1対1での勝率は5割程度だろう。
賢治に勝ち越せるのはそれこそ涼介だけだった。
アイツが最後尾で守っているからこそ、前線からのハイプレスが成り立っているんだ。
ボールは逆サイドに展開され、光へと渡る。
そして光と流星のワンツーだが、かなり深めのスルーパスが出された。
「あれはパスミスだよ」
ラッキーと言わんばかりに桜川が言葉を漏らしたが、まるで足に加速装置でも付いているのかと疑いたくなる光のダッシュ。
サイドバックを置き去りにし、タッチラインギリギリで間に合い、中へクロスを上げた。
思わず周りから驚きの声が上がる。
そしてさらに驚くべきはそのクロスの精度。
バランスの悪い状態で上げたにも関わらず、クロスはドンピシャで優夜の頭へ。
瑞都のセンターバック二人が挟んで競るが、優夜が頭一つ抜けてヘディングシュートを撃った。
シュートは運良くキーパーの目の前に飛んだためゴールとはならなかった。
「あ、あぶな……!」
「あの人、前から足が速かったのは知ってるけどクロスもあんなに上手かった?」
「いや…………光は足の速さ以外はユースレベルだと並の印象しかなかった。本人もプライベートで練習するほど熱心という感じじゃなかったために代表でも控えが多かったが…………」
唯一無二の足の速さに加えて正確無比なクロスをあげられるようになったら、相手のディフェンダーは手が付けられなくなるだろうな。
にしても未だ無失点。
押されてはいるが、ヴァリアブルの攻撃を凌ぎ切っている内に瑞都は一点欲しいだろうな。
「抑えてる抑えてる! 落ち着いて行くぞ!」
前橋兄が喝を入れるように選手を鼓舞した。
瑞都の選手がパスを受けたところを龍二が寄せてインターセプトし、左サイドの涼介にパスが渡った。
涼介はダブルタッチでディフェンダーの股を通して一人かわし、続けて寄せてきたディフェンスに対し高速シザースからのエラシコでバランスを崩して転ばせた。
一瞬の出来事で周りの観客から再びどよめきの声があがった。
ペナルティエリアに入ったところで正面に前橋兄、後ろから股を抜かれたディフェンダーが涼介を挟みにかかった。
涼介は右中にカットインをし、二人のディフェンダーを右に釣っておきながら、マルセイユルーレットで即座に縦へと抜けた。
ゴールから左角度30度の位置、キーパーと1対1になり左足を振りかぶる。
キーパーが角度を消してシュートを防ぐために、前に飛び出て手足を伸ばした。
それを嘲笑うかのように涼介のシュートはキーパーの股をゴロで抜けていった。
そのままボールはゴールへと吸い込まれていき、ゴールネットを揺らした。
「「「うおおおおおお!?」」」
大きな歓声がグラウンドを包んだ。
まさに圧巻。
ディフェンダーをいとも簡単に2枚抜き、2人に挟まれたところをあっさりと引き剥がし、キーパーの股を通してゴールを決める。
サッカーに詳しくない人が見ても一発でスーパープレイだと分かるゴール。
アウェイの空気をたったワンプレーでホームに変えてしまった。
「…………やっぱ凄いね神上涼介……。足に磁石でも付いてるのかってぐらいボールが離れなかったよ……」
「涼介はもうプロにいても遜色無いほど十分に戦えるはずだ。つまり瑞都高校が相手にしているのはプロと言っても過言じゃない」
涼介だけじゃない、優夜も賢治もレベルは既にプロと変わらず、将来的に海外の強豪チームに入り、日本代表を背負うプレーヤーになるはずだ。
光と流星は後もう一歩ステップが上がれば涼介達に追いつける。
龍二と郡司もこのまま成長を続ければ日本代表も目指せるだろう。
俺から見たヴァリアブル世代と呼ばれるメンバーの力関係はこんな感じだ。
他にもFC横浜レグノスの大城国紗凪や、川崎ディルマーレの熊埜御堂将太朗がヴァリアブル世代として呼ばれている。
そう言った点から見た時、瑞都の狩野隼人の実力は恐らく流星と同じくらいだと俺は思う。
足元の技術、ポジション取り、足の速さは確かに一級品だが、特級品である涼介や優夜や賢治には及ばない。
下手をすればAチームより強い今のBチームを倒す手段が瑞都高校には、無い。
1点を決められた後、瑞都高校の守備は完全に崩壊した。
再び光からのクロスが上げられ、優夜が今度はしっかりとゴールに流し込む。
涼介が左からディフェンダーをかわし、ファウル覚悟で来た相手もかわした後、中にグラウンダーのパスを出し、流星がダイレクトで決めた。
繰り広げられているのは、ただただ蹂躙されていく瑞都高校の選手達。
パスカットをし、カウンターから狩野が仕掛けるが再び賢治に封殺され、転がされた。
次第に選手達から声がなくなり、試合を見ていた生徒達は一人、また一人とグラウンドから帰っていった。
結果、前半終了時には6ー0という大差になっており、瑞都高校の選手達の心は折れてしまっていた。
0
お気に入りに追加
25
あなたにおすすめの小説
俺にはロシア人ハーフの許嫁がいるらしい。
夜兎ましろ
青春
高校入学から約半年が経ったある日。
俺たちのクラスに転入生がやってきたのだが、その転入生は俺――雪村翔(ゆきむら しょう)が幼い頃に結婚を誓い合ったロシア人ハーフの美少女だった……!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
俺の家には学校一の美少女がいる!
ながしょー
青春
※少しですが改稿したものを新しく公開しました。主人公の名前や所々変えています。今後たぶん話が変わっていきます。
今年、入学したばかりの4月。
両親は海外出張のため何年か家を空けることになった。
そのさい、親父からは「同僚にも同い年の女の子がいて、家で一人で留守番させるのは危ないから」ということで一人の女の子と一緒に住むことになった。
その美少女は学校一のモテる女の子。
この先、どうなってしまうのか!?
可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
脅され彼女~可愛い女子の弱みを握ったので脅して彼女にしてみたが、健気すぎて幸せにしたいと思った~
みずがめ
青春
陰キャ男子が後輩の女子の弱みを握ってしまった。彼女いない歴=年齢の彼は後輩少女に彼女になってくれとお願いする。脅迫から生まれた恋人関係ではあったが、彼女はとても健気な女の子だった。
ゲス男子×健気女子のコンプレックスにまみれた、もしかしたら純愛になるかもしれないお話。
※この作品は別サイトにも掲載しています。
※表紙イラストは、あっきコタロウさんに描いていただきました。
先輩に振られた。でも、いとこと幼馴染が結婚したいという想いを伝えてくる。俺を振った先輩は、間に合わない。恋、デレデレ、甘々でラブラブな青春。
のんびりとゆっくり
青春
俺、海春夢海(うみはるゆめうみ)。俺は高校一年生の時、先輩に振られた。高校二年生の始業式の日、俺は、いとこの春島紗緒里(はるしまさおり)ちゃんと再会を果たす。彼女は、幼い頃もかわいかったが、より一層かわいくなっていた。彼女は、俺に恋している。そして、婚約して結婚したい、と言ってきている。戸惑いながらも、彼女の熱い想いに、次第に彼女に傾いていく俺の心。そして、かわいい子で幼馴染の夏森寿々子(なつもりすずこ)ちゃんも、俺と婚約して結婚してほしい、という気持ちを伝えてきた。先輩は、その後、付き合ってほしいと言ってきたが、間に合わない。俺のデレデレ、甘々でラブラブな青春が、今始まろうとしている。この作品は、「小説家になろう」様「カクヨム」様にも投稿しています。「小説家になろう」様「カクヨム」様への投稿は、「先輩に振られた俺。でも、その後、いとこと幼馴染が婚約して結婚したい、という想いを一生懸命伝えてくる。俺を振った先輩が付き合ってほしいと言ってきても、間に合わない。恋、デレデレ、甘々でラブラブな青春。」という題名でしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる