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遅延新入生勧誘編
再会微毒②
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「なんやクシャスラのところのお嬢やないか。こんなところで何してんねん」
クシャスラとは弥守の父親が経営しているドイツのプロサッカーチーム、クシャスラFCのことだ。
「制服見て分からないかしら? 私もここの生徒なの。そんなことより、さっきの城ヶ崎の発言は聞き捨てならないわね。修斗を誰も必要としていない? ここに一人、必要としている人がいるわ」
「アンタはサッカーしていた時の修斗にホの字だったんちゃうんか。修斗がサッカー出来ないことは知っとるやろ」
「もちろん知ってるわよ。でも修斗の価値はサッカーだけじゃないことを城ヶ崎は知らないみたいね。彼がこの高校に来て、今何をしているのかを」
そこから始まった弥守の話はある意味で衝撃的な内容だった。
俺が高校に入学してからの一連の出来事。
新之助やニノと遊ぶようになり、生徒会に勧誘されてフットサルをやったり、生徒会役員として今も多くの人から必要とされているか、など。
第三者目線で聞いていれば俺のことを良く知ってくれている素晴らしいアピールトークになると思われるが、何が恐ろしいって、弥守が高校に来て俺と再会したのが昨日というところだ。
まるで入学初日から隣で見てましたかのように堂々と話す弥守の姿に、俺の内心では恐怖心のほうがギリギリ勝っていた。
「分かった? サッカーが出来なくとも修斗は色んな人に必要とされているのよ」
得意気に話し終えた弥守を見て、俺は頼りになるとかそういう感情はなくて、なんというか……引いた。
「鷺宮の言う通り、人の価値は一つだけじゃないぞ優夜」
「はっ、まぁええわ。悪いが修斗、俺達はもうあの頃とは違う。例えお前が今からサッカーに復帰しようが、もう間に合わへん。この試合でそれを証明させたる」
そう言って優夜は去って行ってしまった。
弥守は勝ち誇ったようにフンと鼻を鳴らした。
「修斗どうだった!? 私の援護射撃!」
「あ、ああ。助かったよ」
多くの弾がこちらに被弾していたように感じたけど、褒めてと言わんばかりに目をキラキラと輝かせている弥守を見て素直にお礼を伝えた。
悪気があるわけじゃなかったからな、きっと。
「修斗、優夜のことは気にするな。アイツはライバル視していた修斗がサッカーを辞めて、そのまま勝ち逃げされたと思っているんだ。ああ見えて、当時修斗が怪我をさせられた時に誰よりも相手にキレていたのはアイツだからな」
「ある意味純粋なだけ、か……。試合、頑張れよ。俺も見てるからさ」
「ああ。お前にガッカリされないようにするよ」
軽く握手を交わし、涼介もこの場を後にした。
優夜とは少し揉めてしまったが、涼介と会えたのは結果的に良かったのかもしれない。
心の奥に突っ掛かっていたものが払拭された気分だ。
「試合、見るの?」
弥守が聞いてきた。
「そのために来たからな」
「じゃあ私もー」
「別にいいけど……つーかお前、どうやって俺の今までの高校生活調べたんだよ」
「そんな法に触れるようなこと口に出せないよ」
「法に触れるようなことやっちゃったの!?」
いやいやーと笑って誤魔化す弥守。
ストーカーレベルに拍車が掛かってきたなコイツ……! もしかして反省する気ゼロ?
グラウンド横のネット裏に着いたところ、既に桜川が待っていた。
他にも見に来ている人達は多く、場所取りみたいになっている。
ちょうど瑞都高校側のベンチ裏になるから人気高いポジか?
「あっ、高坂っちー…………と、どなた?」
「休学明けで昨日から学校に来た……」
「鷺宮=アーデルハイト=弥守よ」
「桜川美月です! もしかしてハーフさん!? 宮っちって呼んでいい??」
「好きにすれば」
グイグイ食いつく桜川に対して、相変わらず他の人には塩対応の弥守。
足して2で割ったら丁度いいんじゃないか?
「ま~た高坂っちは綺麗な女の子連れて~、梨音っちが怒るよ~」
「別に何人も連れて歩いてねーよ。それに何で梨音の名前が出るんだ」
「何でって……そりゃあ、ねぇ?」
ニヤニヤとしながら桜川が聞いてくる。
変な邪推はしないでもらいたいな。
「梨音っちに前橋っちに宮っち、あと神奈月先輩とかもそうだよね。いやぁ可愛い女の子達からモテモテですなぁ」
ちっちちっちうるさいな。
特別仲が良いだけで、誰一人としてそういう仲じゃねーよ。
神奈月先輩に至っては上司みたいなもんだぞ。
「つーかその括りなら桜川も入ってんだろ」
「ええっ!? いやいやいや、私はほら、可愛いくはないから……」
「いや、側から見たら充分可愛いだろ」
「へぇ!?」
「サッカーやってたからか引き締まった体に、適度に焼けてる健康的な日焼け肌、ショートカットの髪型はいかにもスポーツやってますって感じで似合ってるしな」
「あわわわわ……! そ、それ以上は、ストップで!」
「はぁ? お前が話し始めたんだろ」
「いやもうホント……これ以上はお腹一杯というか…………恥ずかしすぎて気絶しそうというか……!」
なんだよ俺のことはよく褒めちぎるくせに。
褒められ慣れてないタイプか?
「…………修斗」
「うわビックリした! 急に腰をつつくな弥守」
ちょうど脇腹の部分の弱いところを突かれて、思わずビクリと体が震えた。
「あんまり見せつけられるのも癪だったから」
「何だそれ」
つーかやべぇ、今気付いた。
桜川と弥守の間にいるわけだけどコレ、見方を変えると旧ストーカーと現ストーカーに挟まれてるよどうしよう。
クシャスラとは弥守の父親が経営しているドイツのプロサッカーチーム、クシャスラFCのことだ。
「制服見て分からないかしら? 私もここの生徒なの。そんなことより、さっきの城ヶ崎の発言は聞き捨てならないわね。修斗を誰も必要としていない? ここに一人、必要としている人がいるわ」
「アンタはサッカーしていた時の修斗にホの字だったんちゃうんか。修斗がサッカー出来ないことは知っとるやろ」
「もちろん知ってるわよ。でも修斗の価値はサッカーだけじゃないことを城ヶ崎は知らないみたいね。彼がこの高校に来て、今何をしているのかを」
そこから始まった弥守の話はある意味で衝撃的な内容だった。
俺が高校に入学してからの一連の出来事。
新之助やニノと遊ぶようになり、生徒会に勧誘されてフットサルをやったり、生徒会役員として今も多くの人から必要とされているか、など。
第三者目線で聞いていれば俺のことを良く知ってくれている素晴らしいアピールトークになると思われるが、何が恐ろしいって、弥守が高校に来て俺と再会したのが昨日というところだ。
まるで入学初日から隣で見てましたかのように堂々と話す弥守の姿に、俺の内心では恐怖心のほうがギリギリ勝っていた。
「分かった? サッカーが出来なくとも修斗は色んな人に必要とされているのよ」
得意気に話し終えた弥守を見て、俺は頼りになるとかそういう感情はなくて、なんというか……引いた。
「鷺宮の言う通り、人の価値は一つだけじゃないぞ優夜」
「はっ、まぁええわ。悪いが修斗、俺達はもうあの頃とは違う。例えお前が今からサッカーに復帰しようが、もう間に合わへん。この試合でそれを証明させたる」
そう言って優夜は去って行ってしまった。
弥守は勝ち誇ったようにフンと鼻を鳴らした。
「修斗どうだった!? 私の援護射撃!」
「あ、ああ。助かったよ」
多くの弾がこちらに被弾していたように感じたけど、褒めてと言わんばかりに目をキラキラと輝かせている弥守を見て素直にお礼を伝えた。
悪気があるわけじゃなかったからな、きっと。
「修斗、優夜のことは気にするな。アイツはライバル視していた修斗がサッカーを辞めて、そのまま勝ち逃げされたと思っているんだ。ああ見えて、当時修斗が怪我をさせられた時に誰よりも相手にキレていたのはアイツだからな」
「ある意味純粋なだけ、か……。試合、頑張れよ。俺も見てるからさ」
「ああ。お前にガッカリされないようにするよ」
軽く握手を交わし、涼介もこの場を後にした。
優夜とは少し揉めてしまったが、涼介と会えたのは結果的に良かったのかもしれない。
心の奥に突っ掛かっていたものが払拭された気分だ。
「試合、見るの?」
弥守が聞いてきた。
「そのために来たからな」
「じゃあ私もー」
「別にいいけど……つーかお前、どうやって俺の今までの高校生活調べたんだよ」
「そんな法に触れるようなこと口に出せないよ」
「法に触れるようなことやっちゃったの!?」
いやいやーと笑って誤魔化す弥守。
ストーカーレベルに拍車が掛かってきたなコイツ……! もしかして反省する気ゼロ?
グラウンド横のネット裏に着いたところ、既に桜川が待っていた。
他にも見に来ている人達は多く、場所取りみたいになっている。
ちょうど瑞都高校側のベンチ裏になるから人気高いポジか?
「あっ、高坂っちー…………と、どなた?」
「休学明けで昨日から学校に来た……」
「鷺宮=アーデルハイト=弥守よ」
「桜川美月です! もしかしてハーフさん!? 宮っちって呼んでいい??」
「好きにすれば」
グイグイ食いつく桜川に対して、相変わらず他の人には塩対応の弥守。
足して2で割ったら丁度いいんじゃないか?
「ま~た高坂っちは綺麗な女の子連れて~、梨音っちが怒るよ~」
「別に何人も連れて歩いてねーよ。それに何で梨音の名前が出るんだ」
「何でって……そりゃあ、ねぇ?」
ニヤニヤとしながら桜川が聞いてくる。
変な邪推はしないでもらいたいな。
「梨音っちに前橋っちに宮っち、あと神奈月先輩とかもそうだよね。いやぁ可愛い女の子達からモテモテですなぁ」
ちっちちっちうるさいな。
特別仲が良いだけで、誰一人としてそういう仲じゃねーよ。
神奈月先輩に至っては上司みたいなもんだぞ。
「つーかその括りなら桜川も入ってんだろ」
「ええっ!? いやいやいや、私はほら、可愛いくはないから……」
「いや、側から見たら充分可愛いだろ」
「へぇ!?」
「サッカーやってたからか引き締まった体に、適度に焼けてる健康的な日焼け肌、ショートカットの髪型はいかにもスポーツやってますって感じで似合ってるしな」
「あわわわわ……! そ、それ以上は、ストップで!」
「はぁ? お前が話し始めたんだろ」
「いやもうホント……これ以上はお腹一杯というか…………恥ずかしすぎて気絶しそうというか……!」
なんだよ俺のことはよく褒めちぎるくせに。
褒められ慣れてないタイプか?
「…………修斗」
「うわビックリした! 急に腰をつつくな弥守」
ちょうど脇腹の部分の弱いところを突かれて、思わずビクリと体が震えた。
「あんまり見せつけられるのも癪だったから」
「何だそれ」
つーかやべぇ、今気付いた。
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