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遅延新入生勧誘編
説明責任①
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そして現在に至るわけだが……。
「全員落ち着けー。静かにしろー」
「高坂、どういう関係なんだ!?」
「もしかして昔の恋人とか!?」
「修斗てめぇぇぇぇ!! 殺されても文句は言えねぇよなぁ!?」
「きゃーだいたーん!!」
「羨ましすぎる!」
…………新之助だけ殺意の衝動強すぎだろ。
というかそろそろ離れてもらわないと、周りの視線が痛すぎる。
見られることに慣れていると言っても、こんな見られ方に耐性はねーよ。
それにアイツも見てるのにこんなのなんて思われるか………………アイツ?
なんで俺は今、梨音のことを気にした?
「静かに」
「えーやばー!」
「とんでもねー!」
「盛り上がってきたー!!」
「…………私のチョークを喰らいたいか?」
ピタリとクラス内が静かになった。
騒がしかった雛鳥達は親鳥もとい、宇佐木先生の脅迫という名の注意によって口を紡いだ。
「鷺宮もそろそろ離れろ。お前の席は一番右後ろだ」
「はーい。また後でね、修斗」
そう言って弥守は俺から離れ、指定された席である梨音の後ろへと座った。
さて…………ともすればホームルームが終わった後、どんな状況になるかはだいたい予想がつく。
質問責めに合うのはもちろんのことだが、それよりも注意すべきなのは……!
「───以上でホームルームは終了にする。日直、号令」
「起立、礼」
「さらば!」
「待てや修斗ぉぉ!! 状況説明無しに逃すかよぉ!!」
頭を下げると同時に宇佐木先生よりも先に教室を飛び出す。
見てはいないが、背後からずっと歯軋りする音が聞こえていたので、新之助が俺の頭と胴体を切り離す妄想でもしていたのだろう。
殺られる前に逃げてしまえ。
─────────
そして中庭の木陰に隠れて身を潜めること5分。
「どこ行きやがった修斗ー!」
間もなく1限が始まるというのに新之助がしつこく探し回っていた。
「あのシスコン野郎……! 俺にだって意味が分からんのに全員が納得できる答えなんか言えるかよ……!」
「…………何してるの?」
「うぉあ!?」
突然、声をかけられて驚きのあまり口から五臓六腑が飛び出しそうになったが、声を掛けてきたのは前橋だった。
不思議そうに覗いてくる小さい女の子は、俺の驚いた声に逆にビクリとしていた。
「急に声を掛けるなよ焦るじゃん」
「…………じゃあなんて声掛けるのが正解?」
「それは………………『大変恐縮ですが、お声掛けさせて頂いても宜しいでしょうか』……とか?」
「馬鹿じゃないの」
おいおい、サッカーIQの高い俺を捕まえて馬鹿とは酷い言い草だが客観的に見たら確かに馬鹿っぽい発言なので今回の所は不問にしておいてやる。
「前橋こそ何してるんだよ」
「私は1限から体育だから……」
なるほど、手に持っているのは体操着か。
中庭の通路を抜けないと体育館には行けないからな。
ということは男子が校庭で女子が体育館か。
ここの体育は基本男子と女子で別れてることが多いんだよな。
「それで、一人で移動か」
「うっ…………べ、別に誰かと移動しないといけないわけじゃないし……」
「それはそうだが……。昨日の今日で一人なのを見ると役員仲間としては心配になるんだよな」
「……心配不要。見ての通り私、コミュ力高いし」
「どのあたりが!?」
どこから出てくるんだその謎自信は!
見た目からコミュ力低めなのが察せれるんだが!?
「無理はするな前橋……! お前にコミュ力というものは、無い」
「ある」
「無い」
「む~……」
膨れても可愛いだけだ。
絶対に譲らんぞ俺は。
「そんな膨れてばっかいないで、笑ってる時の方が前橋は可愛いんだから」
「ふぇっ!?」
「元々可愛いんだから笑ってりゃすぐに友達の一人や二人できんだろ。そしたらコミュ力あると認めてやるよ」
「~~~~!」
「聞いてるか? ほら、いーって笑ってみ? 笑って…………」
「随分楽しそうだね修斗くん」
「…………よぉミスターシスコン」
俺が前橋のコミュ力向上に夢中になっている隙に、いつの間にか背後には新之助がおり、俺の頭を鷲掴みにしていた。
元野球少年を彷彿とさせる素晴らしい握力だ。
「っ……!」
「あっ」
そして前橋もその隙に逃げるようにして去っていってしまった。
「鷺宮の事もまだ聞けていないというのに、君はまた俺の知らない可愛い子と楽しく談笑していたみたいだね」
「いやいや、談笑なんてとんでもない。あの子は俺と同じ生徒会役員だからさ、今のはそう、業務連絡ってやつよ」
「そっか。それなら君にはまだ教室に戻って説明責任を果たすという仕事が残ってるからね。さ、戻ろうか」
「そうだな親友」
「分かってくれたか知り合い」
友情ランクめっちゃ下がってる!!
「全員落ち着けー。静かにしろー」
「高坂、どういう関係なんだ!?」
「もしかして昔の恋人とか!?」
「修斗てめぇぇぇぇ!! 殺されても文句は言えねぇよなぁ!?」
「きゃーだいたーん!!」
「羨ましすぎる!」
…………新之助だけ殺意の衝動強すぎだろ。
というかそろそろ離れてもらわないと、周りの視線が痛すぎる。
見られることに慣れていると言っても、こんな見られ方に耐性はねーよ。
それにアイツも見てるのにこんなのなんて思われるか………………アイツ?
なんで俺は今、梨音のことを気にした?
「静かに」
「えーやばー!」
「とんでもねー!」
「盛り上がってきたー!!」
「…………私のチョークを喰らいたいか?」
ピタリとクラス内が静かになった。
騒がしかった雛鳥達は親鳥もとい、宇佐木先生の脅迫という名の注意によって口を紡いだ。
「鷺宮もそろそろ離れろ。お前の席は一番右後ろだ」
「はーい。また後でね、修斗」
そう言って弥守は俺から離れ、指定された席である梨音の後ろへと座った。
さて…………ともすればホームルームが終わった後、どんな状況になるかはだいたい予想がつく。
質問責めに合うのはもちろんのことだが、それよりも注意すべきなのは……!
「───以上でホームルームは終了にする。日直、号令」
「起立、礼」
「さらば!」
「待てや修斗ぉぉ!! 状況説明無しに逃すかよぉ!!」
頭を下げると同時に宇佐木先生よりも先に教室を飛び出す。
見てはいないが、背後からずっと歯軋りする音が聞こえていたので、新之助が俺の頭と胴体を切り離す妄想でもしていたのだろう。
殺られる前に逃げてしまえ。
─────────
そして中庭の木陰に隠れて身を潜めること5分。
「どこ行きやがった修斗ー!」
間もなく1限が始まるというのに新之助がしつこく探し回っていた。
「あのシスコン野郎……! 俺にだって意味が分からんのに全員が納得できる答えなんか言えるかよ……!」
「…………何してるの?」
「うぉあ!?」
突然、声をかけられて驚きのあまり口から五臓六腑が飛び出しそうになったが、声を掛けてきたのは前橋だった。
不思議そうに覗いてくる小さい女の子は、俺の驚いた声に逆にビクリとしていた。
「急に声を掛けるなよ焦るじゃん」
「…………じゃあなんて声掛けるのが正解?」
「それは………………『大変恐縮ですが、お声掛けさせて頂いても宜しいでしょうか』……とか?」
「馬鹿じゃないの」
おいおい、サッカーIQの高い俺を捕まえて馬鹿とは酷い言い草だが客観的に見たら確かに馬鹿っぽい発言なので今回の所は不問にしておいてやる。
「前橋こそ何してるんだよ」
「私は1限から体育だから……」
なるほど、手に持っているのは体操着か。
中庭の通路を抜けないと体育館には行けないからな。
ということは男子が校庭で女子が体育館か。
ここの体育は基本男子と女子で別れてることが多いんだよな。
「それで、一人で移動か」
「うっ…………べ、別に誰かと移動しないといけないわけじゃないし……」
「それはそうだが……。昨日の今日で一人なのを見ると役員仲間としては心配になるんだよな」
「……心配不要。見ての通り私、コミュ力高いし」
「どのあたりが!?」
どこから出てくるんだその謎自信は!
見た目からコミュ力低めなのが察せれるんだが!?
「無理はするな前橋……! お前にコミュ力というものは、無い」
「ある」
「無い」
「む~……」
膨れても可愛いだけだ。
絶対に譲らんぞ俺は。
「そんな膨れてばっかいないで、笑ってる時の方が前橋は可愛いんだから」
「ふぇっ!?」
「元々可愛いんだから笑ってりゃすぐに友達の一人や二人できんだろ。そしたらコミュ力あると認めてやるよ」
「~~~~!」
「聞いてるか? ほら、いーって笑ってみ? 笑って…………」
「随分楽しそうだね修斗くん」
「…………よぉミスターシスコン」
俺が前橋のコミュ力向上に夢中になっている隙に、いつの間にか背後には新之助がおり、俺の頭を鷲掴みにしていた。
元野球少年を彷彿とさせる素晴らしい握力だ。
「っ……!」
「あっ」
そして前橋もその隙に逃げるようにして去っていってしまった。
「鷺宮の事もまだ聞けていないというのに、君はまた俺の知らない可愛い子と楽しく談笑していたみたいだね」
「いやいや、談笑なんてとんでもない。あの子は俺と同じ生徒会役員だからさ、今のはそう、業務連絡ってやつよ」
「そっか。それなら君にはまだ教室に戻って説明責任を果たすという仕事が残ってるからね。さ、戻ろうか」
「そうだな親友」
「分かってくれたか知り合い」
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