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遅延新入生勧誘編
新生徒会①
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高校に入学してから一ヶ月が過ぎた。
クラス内でも見知った顔が増え、新之助やニノ以外にも話す相手ができたことから不便ない高校生活がおくれていると言えよう。
とはいえグループのようなものもできており、俺は相変わらず新之助やニノ、そして梨音と八幡と一緒にいるパターンが多い。
休みの日には新之助から連絡が飛んできて、梨音達を含めて少し遠出で買い物に出かけたり、飯を食べて帰ることもあった。
中学の頃もクラス内に仲の良い奴は数人いたが、基本的にはクラブチームの奴と一緒にいることが多く、放課後にどこかへ行ったり休みの日に遊びに行くことなど一度もなかった。
そんな暇があったらサッカーをしていたからな。
全ての空いた時間はサッカーの為だけにあり、それを当たり前のこととして過ごしてきた当時の俺が今を見たら、発狂して五臓六腑をぶちまけていただろう。
と、いうのはさすがに言い過ぎだが、当時の俺からは考えられないはずだ。
どちらの生活の方がいいかということではなく、どちらも俺にとって不満のない日々であるということが大事。
そして今日の放課後、俺は生徒会執行役員として正式に選出され、初めての活動を迎えることになった。
「それでは! 私の3年連続生徒会長就任を祝って……乾杯!」
「「「かんぱーい!」」」
生徒会長の神奈月未来先輩、副会長の大鳥周平先輩、書記の新波翼先輩、会計の前橋きい、広報の若元梨音、庶務の俺、そして顧問の宇佐木雪先生。
総勢7名が生徒会に一堂に会し、1階の自販機で買ってきた缶ジュースを片手に祝杯をあげた。
「本当はこういう時、酒がいいんだけどな」
「先生、ここは学校ですよ。聖職者としての自覚を持ってください」
「大鳥は堅いね~。神奈月ならこの気持ち分かるだろ?」
「未成年に何を理解しろと言うんですか」
チョークをカタパルト射出するほど厳しいかと思ったら、ずいぶんと頭のネジが緩んだ発言だな。
気持ちが分かると言ったらどうするつもりだったんだこの教師。
「本当に二人はよかったの?」
前橋が話しかけてきた。
「何が?」
「なし崩し的に生徒会に入った感じがするけど……」
「何も逃げ場が無くなったから入ったわけじゃないぞ」
「そうそう。きいもいるし、この人達と一緒だったら楽しそうだと思ったから入っただけ」
梨音が賛同した。
俺も概ね梨音と同じ意見だった。
確かにフットサルのようなお膳立てまでしてもらって入らない、という選択肢は無いように見えるが、学校を良くしようとする神奈月先輩の本質は知れたし、楽しそうだと思えた。
この人達と一緒に活動すれば、サッカーにも負けない刺激的な毎日がおくれるのではないかと。
「それに、修斗一人じゃ不安だしね」
「どう言う意味だこら」
「…………」
「いや黙るなよ」
「サッカー以外興味なかった修斗が、生徒のために活動する生徒会でまともに動けると思う?」
「やっぱ黙っててくれ」
「くすくす」
…………俺が攻撃されてる時に笑われるのは納得いかない。
「やーやー、1年生トリオは何を話してるんだい?」
神奈月先輩が俺の首に腕を回して寄ってきた。
シラフで酔ってるみたいな人だな。
「俺が生徒会で大活躍するという話です」
「してないよね?」
「……してない」
これからしていくんだよ。
「や、でも実際のところシュートとリオが生徒会に入ってくれたのは嬉しいよ。ほら、キイは元々生徒会に入る予定だったけれど、結構人見知りが激しいじゃない?」
「あー確かに」
「……そんなことない」
いやそんなことあるよ。
初対面の時、めちゃくちゃ不機嫌だったじゃねぇか。
まぁ俺のこと知ってたみたいだから緊張解いてくれたのも早かったけど。
「だから生徒会に入る前から既に仲良くなってるのを見て、キイのことを考えたらやっぱりこの2人しかいないなって。キイは昔から知ってる妹みたいなものだし、やっぱり気にするじゃないか。気難しい性格だけど学校生活上手くいってるかなーとかさ」
「……クラスでも良好だから。誰とも問題起こしてないし」
問題を起こしてないからといって、良好とはならなくね?
「じゃあシュートやリオ以外に話せる友達はいるかい?」
「…………………………桜川」
「他クラスじゃん」
それも俺達経由で仲良くなった奴じゃん。
待って、これ以上聞いたら悲しくなる気がする。
「自分のクラスで」
「………………栄口」
「へぇ、どんな人だい?」
「……大人びてる人」
「それ前橋の担任の先生だろ。他に栄口なんて生徒いないし」
宇佐木先生が横から口を挟んだ。
7クラス分、生徒全員の名前覚えてるのか? 凄いな。
というか前橋…………。
「教師を友達カウントは良くないなぁ」
「ま、まだ5月だし……」
「〝もう5月〟だよ。というわけだ二人とも。くれぐれもキイのこと頼んだよ」
「任されました」
「はい」
「…………不服」
前橋が少し頬を膨らませた。
見た目は小さくて可愛い美少女なのに初対面だとトゲがあるからな、男子も手を出しにくいのか?
にしても女子も前橋をグループに誘わないとは、存外冷たい所もあるもんだな。
話してみれば、こんなに良い奴は中々いないというのに。
クラス内でも見知った顔が増え、新之助やニノ以外にも話す相手ができたことから不便ない高校生活がおくれていると言えよう。
とはいえグループのようなものもできており、俺は相変わらず新之助やニノ、そして梨音と八幡と一緒にいるパターンが多い。
休みの日には新之助から連絡が飛んできて、梨音達を含めて少し遠出で買い物に出かけたり、飯を食べて帰ることもあった。
中学の頃もクラス内に仲の良い奴は数人いたが、基本的にはクラブチームの奴と一緒にいることが多く、放課後にどこかへ行ったり休みの日に遊びに行くことなど一度もなかった。
そんな暇があったらサッカーをしていたからな。
全ての空いた時間はサッカーの為だけにあり、それを当たり前のこととして過ごしてきた当時の俺が今を見たら、発狂して五臓六腑をぶちまけていただろう。
と、いうのはさすがに言い過ぎだが、当時の俺からは考えられないはずだ。
どちらの生活の方がいいかということではなく、どちらも俺にとって不満のない日々であるということが大事。
そして今日の放課後、俺は生徒会執行役員として正式に選出され、初めての活動を迎えることになった。
「それでは! 私の3年連続生徒会長就任を祝って……乾杯!」
「「「かんぱーい!」」」
生徒会長の神奈月未来先輩、副会長の大鳥周平先輩、書記の新波翼先輩、会計の前橋きい、広報の若元梨音、庶務の俺、そして顧問の宇佐木雪先生。
総勢7名が生徒会に一堂に会し、1階の自販機で買ってきた缶ジュースを片手に祝杯をあげた。
「本当はこういう時、酒がいいんだけどな」
「先生、ここは学校ですよ。聖職者としての自覚を持ってください」
「大鳥は堅いね~。神奈月ならこの気持ち分かるだろ?」
「未成年に何を理解しろと言うんですか」
チョークをカタパルト射出するほど厳しいかと思ったら、ずいぶんと頭のネジが緩んだ発言だな。
気持ちが分かると言ったらどうするつもりだったんだこの教師。
「本当に二人はよかったの?」
前橋が話しかけてきた。
「何が?」
「なし崩し的に生徒会に入った感じがするけど……」
「何も逃げ場が無くなったから入ったわけじゃないぞ」
「そうそう。きいもいるし、この人達と一緒だったら楽しそうだと思ったから入っただけ」
梨音が賛同した。
俺も概ね梨音と同じ意見だった。
確かにフットサルのようなお膳立てまでしてもらって入らない、という選択肢は無いように見えるが、学校を良くしようとする神奈月先輩の本質は知れたし、楽しそうだと思えた。
この人達と一緒に活動すれば、サッカーにも負けない刺激的な毎日がおくれるのではないかと。
「それに、修斗一人じゃ不安だしね」
「どう言う意味だこら」
「…………」
「いや黙るなよ」
「サッカー以外興味なかった修斗が、生徒のために活動する生徒会でまともに動けると思う?」
「やっぱ黙っててくれ」
「くすくす」
…………俺が攻撃されてる時に笑われるのは納得いかない。
「やーやー、1年生トリオは何を話してるんだい?」
神奈月先輩が俺の首に腕を回して寄ってきた。
シラフで酔ってるみたいな人だな。
「俺が生徒会で大活躍するという話です」
「してないよね?」
「……してない」
これからしていくんだよ。
「や、でも実際のところシュートとリオが生徒会に入ってくれたのは嬉しいよ。ほら、キイは元々生徒会に入る予定だったけれど、結構人見知りが激しいじゃない?」
「あー確かに」
「……そんなことない」
いやそんなことあるよ。
初対面の時、めちゃくちゃ不機嫌だったじゃねぇか。
まぁ俺のこと知ってたみたいだから緊張解いてくれたのも早かったけど。
「だから生徒会に入る前から既に仲良くなってるのを見て、キイのことを考えたらやっぱりこの2人しかいないなって。キイは昔から知ってる妹みたいなものだし、やっぱり気にするじゃないか。気難しい性格だけど学校生活上手くいってるかなーとかさ」
「……クラスでも良好だから。誰とも問題起こしてないし」
問題を起こしてないからといって、良好とはならなくね?
「じゃあシュートやリオ以外に話せる友達はいるかい?」
「…………………………桜川」
「他クラスじゃん」
それも俺達経由で仲良くなった奴じゃん。
待って、これ以上聞いたら悲しくなる気がする。
「自分のクラスで」
「………………栄口」
「へぇ、どんな人だい?」
「……大人びてる人」
「それ前橋の担任の先生だろ。他に栄口なんて生徒いないし」
宇佐木先生が横から口を挟んだ。
7クラス分、生徒全員の名前覚えてるのか? 凄いな。
というか前橋…………。
「教師を友達カウントは良くないなぁ」
「ま、まだ5月だし……」
「〝もう5月〟だよ。というわけだ二人とも。くれぐれもキイのこと頼んだよ」
「任されました」
「はい」
「…………不服」
前橋が少し頬を膨らませた。
見た目は小さくて可愛い美少女なのに初対面だとトゲがあるからな、男子も手を出しにくいのか?
にしても女子も前橋をグループに誘わないとは、存外冷たい所もあるもんだな。
話してみれば、こんなに良い奴は中々いないというのに。
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