7 / 135
部活勧誘編
部活紹介①
しおりを挟む
次の日の午後、俺達1年生は体育館に集められ、部活紹介の時間を設けられた。
それぞれ参加したい部活が各5分間ずつ時間を与えられ、どのような活動を行なっているのか紹介していく時間だ。
吹奏楽……軽音楽……ダンス部。
文化系の中でも人気の部活にはやはり部員が集中していた。
中には将棋部や料理部といったものもあるみたいだが、今回の部活紹介には参加していなかった。
部員数が少ないのか、あるいは積極的に部員を集めようとはしていないのだろう。
文化部の後はスポーツ。
やはりこちらが部活のメインと言ってもいいほどに紹介する部活が多かった。
バドミントン……バスケ……テニス……陸上。
どの学校にもあるであろう部活にはやはり部員も多い。
「次は野球部か」
新之助が後ろから声を掛けてきた。
「食い付きがいいな。新之助は野球やってたのか?」
「何を隠そう、俺は小学校の頃から野球をやってて中学ではシニアでやってたんだぜ」
「クラブチームってことか? 何で高校ではやらないんだよ」
新之助の身なりを見ても、高校で野球部に入ろうという風には見えない。
特に昨日の高校デビューを見た後じゃあな。
「だってよ、野球部ってダサいじゃん」
「……は?」
「他の部活はバッチリオシャレ決め込んでのによ、何で野球部は全員丸坊主なんだよ」
「絶対に甲子園行ってやろうっていう気概とかじゃないのか?」
「別に髪があろうがなかろうが関係ないだろ。坊主の奴でもヘタな奴はヘタだよ」
「お前怒られろ」
技術はともかく精神的に新之助が野球向いてないってことがよく分かった。
「だいたい坊主にしたらモテないじゃないか」
「中学時代に彼女は?」
「…………いませんが」
「坊主関係ねーじゃん」
「うるせぇ」
野球部が部員数や活動内容、今までの実績を軽く話したのち、一人の投手が3球投げて部活紹介は終わった。
どのくらい凄いかは分からないが、ピッチャーの球は速そうだった。
「今の何キロぐらいなんだ?」
「135ぐらいじゃないか。そこそこ早いと思うぜ。でもあれぐらいのストレートは結構打ちやすかったりするんだよな」
「昨年県立16位って言ってたよな。中堅って感じか」
「ここって意外とスポーツ関係の部活強いよな。確かサッカー部も過去に全国出てるらしいし」
新之助の言う通り、ここのサッカー部も強豪と呼ばれるほどには強いらしい。
全国に出たというのも10年以上前の話らしいが、今でも県予選決勝トーナメントまでは進出しているみたいだ。
「お、噂をすればなんとやらだな。次はサッカー部みたいだぞ」
野球部と入れ替わりでサッカー部が壇上に立った。
かなりの人数がいる。
今の2、3年生だけで50人は超えているだろう。
『高い所から失礼します。サッカー部キャプテンの前橋聖です』
キャプテンと自己紹介した人がサッカー部について説明していった。
概ね、俺が前情報で知っていた内容と同じだった。
説明が終えた後、5人ほど前に出てきてリフティングを行なった。
「…………あの人、上手いな」
5人の中の一人が安定させたリフティングを見せ、リフティングしながらボールを跨いだり首の上に乗せたりといった小技を見せていた。
ボールタッチの柔らかさから言っても、サッカー部のエース的存在であることが伺える。
「修斗は何やってたんだよ?」
「ん? 新之助が前に言った通り、サッカーだよ」
「俺そんなこと言ったか?」
言ったわ。
俺の名前聞いてサッカーやってそうとか言ってたわ。
「じゃあサッカー部入るのかよ」
「それは…………」
「ねぇねぇ、サッカー部入るってホント?」
突然、隣にいた女子に話しかけられた。
クラスごとに1列になっているため、この子は6組の生徒だろう。
ショートカットの髪型に八重歯がチラリと覗かせていた。
肌の色も褐色に近いことからいかにも体育会系のように見える。
「隣で聞こえたものだからつい声かけちゃって。ごめんね」
「それは構わないけど」
「6組の子だよね? サッカー興味あるの?」
新之助が聞いた。
「興味あるっていうか、中学まで女子サッカーやってて、高校ではサッカー部のマネージャーやろうと思ってるんだ。だからサッカーやってたって聞いて思わず声かけちゃった」
彼女はペロリと舌を出してえへへと笑った。
「いいじゃんサッカーやってたなら一緒に入れよ修斗。あ、俺佐川。ちな俺もサッカー部検討中」
おいこら。
適当な事言ってんじゃねぇよ元野球部。
「私、桜川美月。佐川っちもサッカー部入る?」
「うんうん、佐川っちもサッカー得意」
お前その生き方後悔するぞ。
「で、修斗っちは?」
「誰が修斗っちだ。俺は高坂修斗、よろしく」
「…………高坂…………修斗…………?」
……なんだその死んだはずの人が実は生きてたかのような反応。
「も、もしかして……東京Vにいた……?」
あー…………ジュニアユースに詳しい人か……。
それぞれ参加したい部活が各5分間ずつ時間を与えられ、どのような活動を行なっているのか紹介していく時間だ。
吹奏楽……軽音楽……ダンス部。
文化系の中でも人気の部活にはやはり部員が集中していた。
中には将棋部や料理部といったものもあるみたいだが、今回の部活紹介には参加していなかった。
部員数が少ないのか、あるいは積極的に部員を集めようとはしていないのだろう。
文化部の後はスポーツ。
やはりこちらが部活のメインと言ってもいいほどに紹介する部活が多かった。
バドミントン……バスケ……テニス……陸上。
どの学校にもあるであろう部活にはやはり部員も多い。
「次は野球部か」
新之助が後ろから声を掛けてきた。
「食い付きがいいな。新之助は野球やってたのか?」
「何を隠そう、俺は小学校の頃から野球をやってて中学ではシニアでやってたんだぜ」
「クラブチームってことか? 何で高校ではやらないんだよ」
新之助の身なりを見ても、高校で野球部に入ろうという風には見えない。
特に昨日の高校デビューを見た後じゃあな。
「だってよ、野球部ってダサいじゃん」
「……は?」
「他の部活はバッチリオシャレ決め込んでのによ、何で野球部は全員丸坊主なんだよ」
「絶対に甲子園行ってやろうっていう気概とかじゃないのか?」
「別に髪があろうがなかろうが関係ないだろ。坊主の奴でもヘタな奴はヘタだよ」
「お前怒られろ」
技術はともかく精神的に新之助が野球向いてないってことがよく分かった。
「だいたい坊主にしたらモテないじゃないか」
「中学時代に彼女は?」
「…………いませんが」
「坊主関係ねーじゃん」
「うるせぇ」
野球部が部員数や活動内容、今までの実績を軽く話したのち、一人の投手が3球投げて部活紹介は終わった。
どのくらい凄いかは分からないが、ピッチャーの球は速そうだった。
「今の何キロぐらいなんだ?」
「135ぐらいじゃないか。そこそこ早いと思うぜ。でもあれぐらいのストレートは結構打ちやすかったりするんだよな」
「昨年県立16位って言ってたよな。中堅って感じか」
「ここって意外とスポーツ関係の部活強いよな。確かサッカー部も過去に全国出てるらしいし」
新之助の言う通り、ここのサッカー部も強豪と呼ばれるほどには強いらしい。
全国に出たというのも10年以上前の話らしいが、今でも県予選決勝トーナメントまでは進出しているみたいだ。
「お、噂をすればなんとやらだな。次はサッカー部みたいだぞ」
野球部と入れ替わりでサッカー部が壇上に立った。
かなりの人数がいる。
今の2、3年生だけで50人は超えているだろう。
『高い所から失礼します。サッカー部キャプテンの前橋聖です』
キャプテンと自己紹介した人がサッカー部について説明していった。
概ね、俺が前情報で知っていた内容と同じだった。
説明が終えた後、5人ほど前に出てきてリフティングを行なった。
「…………あの人、上手いな」
5人の中の一人が安定させたリフティングを見せ、リフティングしながらボールを跨いだり首の上に乗せたりといった小技を見せていた。
ボールタッチの柔らかさから言っても、サッカー部のエース的存在であることが伺える。
「修斗は何やってたんだよ?」
「ん? 新之助が前に言った通り、サッカーだよ」
「俺そんなこと言ったか?」
言ったわ。
俺の名前聞いてサッカーやってそうとか言ってたわ。
「じゃあサッカー部入るのかよ」
「それは…………」
「ねぇねぇ、サッカー部入るってホント?」
突然、隣にいた女子に話しかけられた。
クラスごとに1列になっているため、この子は6組の生徒だろう。
ショートカットの髪型に八重歯がチラリと覗かせていた。
肌の色も褐色に近いことからいかにも体育会系のように見える。
「隣で聞こえたものだからつい声かけちゃって。ごめんね」
「それは構わないけど」
「6組の子だよね? サッカー興味あるの?」
新之助が聞いた。
「興味あるっていうか、中学まで女子サッカーやってて、高校ではサッカー部のマネージャーやろうと思ってるんだ。だからサッカーやってたって聞いて思わず声かけちゃった」
彼女はペロリと舌を出してえへへと笑った。
「いいじゃんサッカーやってたなら一緒に入れよ修斗。あ、俺佐川。ちな俺もサッカー部検討中」
おいこら。
適当な事言ってんじゃねぇよ元野球部。
「私、桜川美月。佐川っちもサッカー部入る?」
「うんうん、佐川っちもサッカー得意」
お前その生き方後悔するぞ。
「で、修斗っちは?」
「誰が修斗っちだ。俺は高坂修斗、よろしく」
「…………高坂…………修斗…………?」
……なんだその死んだはずの人が実は生きてたかのような反応。
「も、もしかして……東京Vにいた……?」
あー…………ジュニアユースに詳しい人か……。
0
お気に入りに追加
29
あなたにおすすめの小説



隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。
主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。
ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。
しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。
その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。
「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」
これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。


可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

モブが公園で泣いていた少女にハンカチを渡したら、なぜか友達になりました~彼女の可愛いところを知っている男子はこの世で俺だけ~
くまたに
青春
冷姫と呼ばれる美少女と友達になった。
初めての異性の友達と、新しいことに沢山挑戦してみることに。
そんな中彼女が見せる幸せそうに笑う表情を知っている男子は、恐らくモブ一人。
冷姫とモブによる砂糖のように甘い日々は誰にもバレることなく隠し通すことができるのか!
カクヨム・小説家になろうでも記載しています!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる