61 / 70
3章
②下剋上②ー1
しおりを挟む
急いで城の城門へと続く石橋のところまで来た。城の本丸っぽいところはさらに上に登ったところにある。今まで立ち入り禁止として近寄ることも許されていなかった場所だ。ここまで近くで見るとより迫力がある。
赤いバーベナが描かれた旗がいくつもなびき、豪華な印象とともに足がすくむほどの威圧感を放っていた。城壁には四角い穴が無数に空いている。おそらく一斉にあそこから魔法が放たれるのだろう。
「おう、ちゃんと来たな。」
そう言うとサキ先生は自分の顔を覗き込んできた。
「サキ先生、一体何ですか?」
「うんうん、いろいろ言いたいことが山ほどあるが、それは後だ」
露骨ににっこりしている。少し引く。
「タカ君、早いよ~」
そんなはずはない。自分はマラソンとかビリのレベルだったはずだが。
「マユリも来たな。よし急だがこれから下剋上戦というものが開かれる。そこでタカヒロが参加することになった。」
「下剋上戦ですが。えげつない名前ですね」
「いやこの催しは名前の通りで、結構重要なんだ。なんと優勝者には点数百点加点がされる」
「タカ君も合格者になれるってことだね!」
「そうだ。本当なら来週に開かれる予定だったのだが、校長が開催を急ぐよう指示したみたいで急遽クリスマスイブの夜とクリスマスに開かれることになった。何人かの幹部や研修生が進言したそうだ。ああ~この一週間、それに備えて特別授業を組む予定だったのだがな」
「私は出場しなくていいの?」
「名前の通りといったが、これは成績トップ五と成績ワースト五の魔法戦なんだ。たしかソードの班の人もやっていたはずだ。まあソードの方は成績下位のやつらがメタメタにやられて下剋上どころかリンチ状態だったけどな」
そういえばソードの班の人もいたな。かかわりが一切ないから存在自体忘れていた。つながりが消えれば人はすぐに忘れるものだ。ドラマや漫画で今生の別れの時「お前の事は一生忘れないよ」「私も」なんて、虫唾が走る。
「メタメタって……。タカ君なら大丈夫だよね」
「確実ってないからな。なんとも。しかも相手の事を全く知らない」
「なあに、成績下位なんていっても所詮計算上のものだ。大丈夫、私が直々に教えてやったんだ。目にもの見せてやれ」
「でもでも、こういう時ってなんかみんな強そうに見えるんだよね」
「そうそう、なんか久しぶりに受験の時の「みんなが賢そうに見える現象」を味わいそうだ」
「何を言っている。だいたいそういうのはあてにならん。ばしっといってこい!私はマユリと観客席でばっちり見てるからな。勝てばお祝いだ!」
「私もお祝いの料理、頑張って作るから。それに、終わったらパレードもあること忘れないでね」
「りょーかい。あっそうだ、」
「?」
「お酒の量はもう間違えんとってな」
「今それ言う!?」
マユリは笑って、サキ先生は自信たっぷりに見送ってくれた。
城門をくぐって、さらに上るのかと思いきや、会場はすぐだった。イタリアのコロッセオを思い出すかのような闘技場だ。城の敷地にこんなものがあるとは、どれだけの規模なのか想像がつかない。
まあいろいろ考えることはあるが全部後回しだ。今は目の前のことに集中。自分にとっては下剋上や点数、合格者どころの話ではない。
これはボッチの逆襲だ!
赤いバーベナが描かれた旗がいくつもなびき、豪華な印象とともに足がすくむほどの威圧感を放っていた。城壁には四角い穴が無数に空いている。おそらく一斉にあそこから魔法が放たれるのだろう。
「おう、ちゃんと来たな。」
そう言うとサキ先生は自分の顔を覗き込んできた。
「サキ先生、一体何ですか?」
「うんうん、いろいろ言いたいことが山ほどあるが、それは後だ」
露骨ににっこりしている。少し引く。
「タカ君、早いよ~」
そんなはずはない。自分はマラソンとかビリのレベルだったはずだが。
「マユリも来たな。よし急だがこれから下剋上戦というものが開かれる。そこでタカヒロが参加することになった。」
「下剋上戦ですが。えげつない名前ですね」
「いやこの催しは名前の通りで、結構重要なんだ。なんと優勝者には点数百点加点がされる」
「タカ君も合格者になれるってことだね!」
「そうだ。本当なら来週に開かれる予定だったのだが、校長が開催を急ぐよう指示したみたいで急遽クリスマスイブの夜とクリスマスに開かれることになった。何人かの幹部や研修生が進言したそうだ。ああ~この一週間、それに備えて特別授業を組む予定だったのだがな」
「私は出場しなくていいの?」
「名前の通りといったが、これは成績トップ五と成績ワースト五の魔法戦なんだ。たしかソードの班の人もやっていたはずだ。まあソードの方は成績下位のやつらがメタメタにやられて下剋上どころかリンチ状態だったけどな」
そういえばソードの班の人もいたな。かかわりが一切ないから存在自体忘れていた。つながりが消えれば人はすぐに忘れるものだ。ドラマや漫画で今生の別れの時「お前の事は一生忘れないよ」「私も」なんて、虫唾が走る。
「メタメタって……。タカ君なら大丈夫だよね」
「確実ってないからな。なんとも。しかも相手の事を全く知らない」
「なあに、成績下位なんていっても所詮計算上のものだ。大丈夫、私が直々に教えてやったんだ。目にもの見せてやれ」
「でもでも、こういう時ってなんかみんな強そうに見えるんだよね」
「そうそう、なんか久しぶりに受験の時の「みんなが賢そうに見える現象」を味わいそうだ」
「何を言っている。だいたいそういうのはあてにならん。ばしっといってこい!私はマユリと観客席でばっちり見てるからな。勝てばお祝いだ!」
「私もお祝いの料理、頑張って作るから。それに、終わったらパレードもあること忘れないでね」
「りょーかい。あっそうだ、」
「?」
「お酒の量はもう間違えんとってな」
「今それ言う!?」
マユリは笑って、サキ先生は自信たっぷりに見送ってくれた。
城門をくぐって、さらに上るのかと思いきや、会場はすぐだった。イタリアのコロッセオを思い出すかのような闘技場だ。城の敷地にこんなものがあるとは、どれだけの規模なのか想像がつかない。
まあいろいろ考えることはあるが全部後回しだ。今は目の前のことに集中。自分にとっては下剋上や点数、合格者どころの話ではない。
これはボッチの逆襲だ!
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ。
緑谷めい
恋愛
「むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ」
そう、むしゃくしゃしてやった。後悔はしていない。
私は、カトリーヌ・ナルセー。17歳。
ナルセー公爵家の長女であり、第2王子ハロルド殿下の婚約者である。父のナルセー公爵は、この国の宰相だ。
その父は、今、私の目の前で、顔面蒼白になっている。
「カトリーヌ、もう一度言ってくれ。私の聞き間違いかもしれぬから」
お父様、お気の毒ですけれど、お聞き間違いではございませんわ。では、もう一度言いますわよ。
「今日、王宮で、ハロルド様に往復ビンタを浴びせ、更に足で蹴りつけましたの」
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる