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2章
⑩カラオケ(2)
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誰かとカラオケなど中学以来(卒業の記念とのことで数合わせに無理やり連れて行かされた)だが、その久しぶりの誰かとのカラオケがこんな異世界で、しかも女の子と一緒とは・・・・・・まったく、人生とはわからないものだ。
こうなっては仕方ない。
僕は一人でいる、僕は一人でいる、マユリは空気、マユリは空気っと。よし完璧だ。熱唱タイムといこうか。
私はアニソンっぽくないアニソンが好きだ。しかもノリノリで明るいもの。
『点数は・・・・・・九十一点!!音程はばっちり!もう少し抑揚をつけるとよいでしょう』
「ほわータカ君、いつもなら考えられないくらいノリノリだったね。しかも地味に歌もうまいし。意外と音痴なタカ君っていうお茶目なところも見たかったのになー」
急に恥ずかしくなる。無理だ、やっぱり。とても空気に思えない。確かな存在、私の一人カラオケタイムを返してくれ。
「いつもこんな曲を歌っているの?」
「ん?・・・・・・ああそうやけど」
「なんか、明日、未来とか勇気、希望とかこっちが照れちゃうくらい前向きな曲ばかりだなーって思って」
「いや、人生がこんなに苦いのに、歌まで失恋ソングやら別れの歌とか歌う人の気が知れへんのやけどなー」
「なんか、チラッとタカ君の重い過去が見えた気がする」
重い過去か。はたして重いのだろうか。他人から見れば鼻で笑われるくらいのしょうもなくてくだらないものなのだろうか。
私はボッチという現状に満足しているはずだ。なのにどうして苦しい?モヤモヤする?好転反応?いや違うそんなんじゃない・・・・・・はずだ。
考えるのはよそう。やっぱり疲れてるんだ。うじうじ考えていても仕方ない。
「そんなことはええから。それよりマユリはどうして町まで来たん?」
「え!?いや、ちょっと野暮用で・・・・・ってそれこそそんなことはいいよ。次私歌うね!」
一曲目。
『点数は・・・・・・二十七点!!独特の音程ですね』
明るい機会音声でしっかり物申してくる。悪いのではなくあくまで「独特」なのだ。そう個性的、ユニーク、オンリーワンだ。
「あれ?おかしいな、私がタカ君に負けるはずないんだけどな。よし再チャレンジ!」
二曲目。
『点数は・・・・・・二十五点!!まずは自分の歌を自分で聞いて見ましょう』
若干婉曲ぎみな表現だが悪気はないのが余計に怖い。ただ独自の計算式で表示しているだけなんだ。恐る恐るマユリを見るが落ち込むどころか点数に不満げだ。
「えー?最高の歌声だと思うんだけどなぁ。よしこれで最後!」
三曲目。
『点数は・・・・・・おめでとうございます!あなたは本日ベストオブカラオケ者です!』
「やったー、ほらみてタカ君、これが私の本気だよ!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
その日マユリは大量ののど飴セットを景品としてもらった。
「わたし、別に喉悪くないんだけどなぁ。まあ気分もいいしい、最高の日だったね、タカ君!」
「ふふ・・・・・・まぁ楽しめたのなら、よかったよ・・・・・」
「どうしたの?そんなにげっそりしちゃって。楽しすぎて疲れちゃったのかな?」
やはり、私は一人のほうが良い。
こうなっては仕方ない。
僕は一人でいる、僕は一人でいる、マユリは空気、マユリは空気っと。よし完璧だ。熱唱タイムといこうか。
私はアニソンっぽくないアニソンが好きだ。しかもノリノリで明るいもの。
『点数は・・・・・・九十一点!!音程はばっちり!もう少し抑揚をつけるとよいでしょう』
「ほわータカ君、いつもなら考えられないくらいノリノリだったね。しかも地味に歌もうまいし。意外と音痴なタカ君っていうお茶目なところも見たかったのになー」
急に恥ずかしくなる。無理だ、やっぱり。とても空気に思えない。確かな存在、私の一人カラオケタイムを返してくれ。
「いつもこんな曲を歌っているの?」
「ん?・・・・・・ああそうやけど」
「なんか、明日、未来とか勇気、希望とかこっちが照れちゃうくらい前向きな曲ばかりだなーって思って」
「いや、人生がこんなに苦いのに、歌まで失恋ソングやら別れの歌とか歌う人の気が知れへんのやけどなー」
「なんか、チラッとタカ君の重い過去が見えた気がする」
重い過去か。はたして重いのだろうか。他人から見れば鼻で笑われるくらいのしょうもなくてくだらないものなのだろうか。
私はボッチという現状に満足しているはずだ。なのにどうして苦しい?モヤモヤする?好転反応?いや違うそんなんじゃない・・・・・・はずだ。
考えるのはよそう。やっぱり疲れてるんだ。うじうじ考えていても仕方ない。
「そんなことはええから。それよりマユリはどうして町まで来たん?」
「え!?いや、ちょっと野暮用で・・・・・ってそれこそそんなことはいいよ。次私歌うね!」
一曲目。
『点数は・・・・・・二十七点!!独特の音程ですね』
明るい機会音声でしっかり物申してくる。悪いのではなくあくまで「独特」なのだ。そう個性的、ユニーク、オンリーワンだ。
「あれ?おかしいな、私がタカ君に負けるはずないんだけどな。よし再チャレンジ!」
二曲目。
『点数は・・・・・・二十五点!!まずは自分の歌を自分で聞いて見ましょう』
若干婉曲ぎみな表現だが悪気はないのが余計に怖い。ただ独自の計算式で表示しているだけなんだ。恐る恐るマユリを見るが落ち込むどころか点数に不満げだ。
「えー?最高の歌声だと思うんだけどなぁ。よしこれで最後!」
三曲目。
『点数は・・・・・・おめでとうございます!あなたは本日ベストオブカラオケ者です!』
「やったー、ほらみてタカ君、これが私の本気だよ!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
その日マユリは大量ののど飴セットを景品としてもらった。
「わたし、別に喉悪くないんだけどなぁ。まあ気分もいいしい、最高の日だったね、タカ君!」
「ふふ・・・・・・まぁ楽しめたのなら、よかったよ・・・・・」
「どうしたの?そんなにげっそりしちゃって。楽しすぎて疲れちゃったのかな?」
やはり、私は一人のほうが良い。
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