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2章
⑨特別授業(閑話休題)
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あの後、マユリが料理に入れるお酒の量を間違えた上に、サキ先生がワインを開けて、飲みすぎたサキ先生とマユリはほろ酔い気分になっていた。
サキ先生はソファで相変わらずくかーくかーと気持ちよさそうに寝ている。さすがにあのテンションで一日は疲れたのだろう。一方マユリは僕に絡んできて面倒だった。
「ターカーくーん。ねむいー。ねむいよー」
そういうと布団越しにうつぶせの私に覆いかぶさってくる。
「ほら、僕は空いている簡易ベッドで寝るから、マユリはあっちのクイーンベッドを独り占めしていいから!」
「独り占め?うん独り占めするー!」
何を考えたのか一層強く抱きしめてくる。しかもそのまま寝てしまうから余計にたちが悪い。お酒のせいか体温も高いし、妖艶な感じまでする。あの元気で明るい少々天然なマユリはどこにいった。
でも、ふと思った。マユリもなんだかんだ一人で頑張って疲れてるんだろう。本来ならこんなところではなく(こんなところと言ってはサキ先生に失礼だが)他の研修生ともっと楽しく研修生活を送れたはずなのに。自分のせいで・・・・・・。
何とか起こさないように華奢なマユリの腕をそっとすり抜け、部屋から脱出する。
「ふう。もう目もさえちゃったし、また地下六階で自主練でもしますか。」
抜き足差し足で・・・・・・ってこれだけ爆睡していれば大丈夫か。いや一応
「サイレント」
灰色の球が広がって弾けた。恐ろしいぐらいの無音。エアコンの音やサキ先生のいびきが急に遠くなった。最高のノイズキャンセリングイヤホンよりもさらにいい。
呪文の効果に感嘆するのもほどほどにして、軽く杖とサキ先生に紹介してもらったテキストをもってさっと部屋を出た。こんなときこそ自分でしっかり頑張らないとな。
それにしても少しは今の生活もいいのかもしれないなんて思ったのがばかだった。
やはりこんな生活はいやだーーーー!と叫んだが誰にも聞こえていない。
静かにドアが閉まる。そして・・・・・・
「わたしは、一人でもめげずに頑張っているそんな一生懸命なところに惚れたんだからね。」
そんな誰かの独り言もだれにも聞こえなかった。
そしてその翌朝、アラームの音までも聞こえなくなり、サキ先生は白の軍の定例会議に遅刻しかけて、そのとばっちりで山ほどの宿題がだされることになったのであった。
サキ先生はソファで相変わらずくかーくかーと気持ちよさそうに寝ている。さすがにあのテンションで一日は疲れたのだろう。一方マユリは僕に絡んできて面倒だった。
「ターカーくーん。ねむいー。ねむいよー」
そういうと布団越しにうつぶせの私に覆いかぶさってくる。
「ほら、僕は空いている簡易ベッドで寝るから、マユリはあっちのクイーンベッドを独り占めしていいから!」
「独り占め?うん独り占めするー!」
何を考えたのか一層強く抱きしめてくる。しかもそのまま寝てしまうから余計にたちが悪い。お酒のせいか体温も高いし、妖艶な感じまでする。あの元気で明るい少々天然なマユリはどこにいった。
でも、ふと思った。マユリもなんだかんだ一人で頑張って疲れてるんだろう。本来ならこんなところではなく(こんなところと言ってはサキ先生に失礼だが)他の研修生ともっと楽しく研修生活を送れたはずなのに。自分のせいで・・・・・・。
何とか起こさないように華奢なマユリの腕をそっとすり抜け、部屋から脱出する。
「ふう。もう目もさえちゃったし、また地下六階で自主練でもしますか。」
抜き足差し足で・・・・・・ってこれだけ爆睡していれば大丈夫か。いや一応
「サイレント」
灰色の球が広がって弾けた。恐ろしいぐらいの無音。エアコンの音やサキ先生のいびきが急に遠くなった。最高のノイズキャンセリングイヤホンよりもさらにいい。
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それにしても少しは今の生活もいいのかもしれないなんて思ったのがばかだった。
やはりこんな生活はいやだーーーー!と叫んだが誰にも聞こえていない。
静かにドアが閉まる。そして・・・・・・
「わたしは、一人でもめげずに頑張っているそんな一生懸命なところに惚れたんだからね。」
そんな誰かの独り言もだれにも聞こえなかった。
そしてその翌朝、アラームの音までも聞こえなくなり、サキ先生は白の軍の定例会議に遅刻しかけて、そのとばっちりで山ほどの宿題がだされることになったのであった。
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