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2章
⑧帰宅(4)
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荷物をすべて運び込み、一応三人が生活するにあたって問題のないレイアウトの部屋が完成した。ただ一つ問題なのが、
「サキ先生、簡易ベッドが一つ増えたのはいいんですけど、あと一つベッドが足らなくないですか?」
「そんなことないと思うが。私が簡易ベッドで寝て、クイーンサイズのベッドにお二人さんが寝て、ちょうどぴったしだぞ」
「ぴったしだぞ、じゃないですよ。大問題ですよ。私はそこのソファで寝ます。マユリもなんか言ってやってよ」
「私は別に一緒でも構わないよ」
「ほら、マユリも嫌だって・・・・・・ええっ!?」
「はい二対一でこの法案は可決されました。タカヒロはクイーンのベッドで寝ることとする」
「さっきからこの茶番劇なんなんや。二人してずるい!!」
「これはちゃんとした民主主義だぞ。それにマユリも積極的だね。このこのー」
「いや、別にタカ君が気にならなければ、どっちでもいいかなーなんて」
「翻訳すると同棲したいとマユリは申しております。この件に関してどうおかんがえでしょうか、タカヒロ」
「飛躍しすぎ!!」
即答だったにもかかわらず二人して声がそろった。息ぴったり過ぎて笑えた。
私は苦笑だったが。マユリの笑顔は一体・・・・・・?
「なにはともあれ、これから三人で特別授業だ。そしてこの部屋が教室でもあり三人にとってのホームだ。合宿免許でも取るつもりで、まあ気楽にやってくれ。それでは一か月よろしく!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
延期に延期を重ねてようやく本格的に特別授業が始まった。いやサキ先生の中ではあの実技演習で班を追い出されて、地下六階の部屋へ私を連れて行った時からこの特別授業は始まっていたのだろう。
どうしてここまでしてくれるの未だにわからないが、考えるだけ無駄だ。数式のように論理的に語ることができそうにないものだから、どうせはっきりと答えなどでるまい。
にしても『本心のまま、思うまま、欲望のまま突っ切れ!』か・・・・・・。
私は本心のまま動いているはずだ。しかもそうありたいためにボッチをやってる。それに誰かと一緒にいるときも本心のまま?そんなことをすれば自分が危ない。だれも受け入れてくれる人がいないこの恐怖、居場所の喪失・・・・・・学校生活を送ってきて十分に味わった。
今の社会、誰かといるためにどれだけ自分を殺している人がいるだろうか。私にはそんな生活到底考えられない。
逆にどうしてボッチを嫌がり、ボッチでいることを恐れ、そしてどうしてボッチを蔑むのだろうか。ボッチであれば自由だ。この資本主義の世の中、金さえあれば一人で生きていくことができる。
周りをシャットアウトし、すべての人をかぼちゃにでも思えばどれだけ気が楽になったか。この社会の中で私は全世界の嫌われ者であるボッチ、タカヒロだ。
サキ先生が何をしたいのかは知らない。ただ自分は力をつけるのみだ。一人で生きていける力をつけるのみだ。それだけのはずだ。そう自分に言い聞かせた。
・・・・・・何かが足らないと思う心に蓋をして。
「サキ先生、簡易ベッドが一つ増えたのはいいんですけど、あと一つベッドが足らなくないですか?」
「そんなことないと思うが。私が簡易ベッドで寝て、クイーンサイズのベッドにお二人さんが寝て、ちょうどぴったしだぞ」
「ぴったしだぞ、じゃないですよ。大問題ですよ。私はそこのソファで寝ます。マユリもなんか言ってやってよ」
「私は別に一緒でも構わないよ」
「ほら、マユリも嫌だって・・・・・・ええっ!?」
「はい二対一でこの法案は可決されました。タカヒロはクイーンのベッドで寝ることとする」
「さっきからこの茶番劇なんなんや。二人してずるい!!」
「これはちゃんとした民主主義だぞ。それにマユリも積極的だね。このこのー」
「いや、別にタカ君が気にならなければ、どっちでもいいかなーなんて」
「翻訳すると同棲したいとマユリは申しております。この件に関してどうおかんがえでしょうか、タカヒロ」
「飛躍しすぎ!!」
即答だったにもかかわらず二人して声がそろった。息ぴったり過ぎて笑えた。
私は苦笑だったが。マユリの笑顔は一体・・・・・・?
「なにはともあれ、これから三人で特別授業だ。そしてこの部屋が教室でもあり三人にとってのホームだ。合宿免許でも取るつもりで、まあ気楽にやってくれ。それでは一か月よろしく!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
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どうしてここまでしてくれるの未だにわからないが、考えるだけ無駄だ。数式のように論理的に語ることができそうにないものだから、どうせはっきりと答えなどでるまい。
にしても『本心のまま、思うまま、欲望のまま突っ切れ!』か・・・・・・。
私は本心のまま動いているはずだ。しかもそうありたいためにボッチをやってる。それに誰かと一緒にいるときも本心のまま?そんなことをすれば自分が危ない。だれも受け入れてくれる人がいないこの恐怖、居場所の喪失・・・・・・学校生活を送ってきて十分に味わった。
今の社会、誰かといるためにどれだけ自分を殺している人がいるだろうか。私にはそんな生活到底考えられない。
逆にどうしてボッチを嫌がり、ボッチでいることを恐れ、そしてどうしてボッチを蔑むのだろうか。ボッチであれば自由だ。この資本主義の世の中、金さえあれば一人で生きていくことができる。
周りをシャットアウトし、すべての人をかぼちゃにでも思えばどれだけ気が楽になったか。この社会の中で私は全世界の嫌われ者であるボッチ、タカヒロだ。
サキ先生が何をしたいのかは知らない。ただ自分は力をつけるのみだ。一人で生きていける力をつけるのみだ。それだけのはずだ。そう自分に言い聞かせた。
・・・・・・何かが足らないと思う心に蓋をして。
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