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2章
⑧帰宅(1)
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目を覚ますと、知らない部屋の中だった。またどこかへ瞬間移動でもしたのだろかと一瞬焦った。
ベッドから重い頭を持ち上げてあたりを見回してみると、たいそうなパソコンがまず目に入り、文房具が散らばった事務机、ホワイトボード、高級そうな黒いソファなどがあった。
ホテルのスイートルームを事務室に変えたような部屋だ。
「おっ、目が覚めたようだな。」
サキ先生は社長椅子のような黒い重厚な椅子をクルリとまわしてこちらに向き直る。
「サキ先生、私はあれからいったい・・・・・・。しかもここどこですか?」
頭がまわらない。寝起きは悪い方ではないのだが。
「まず、ここは中央ホール五階、私の事務室兼居室だ。私が森の中で倒れてたお前たちをここまで連れて帰ってきてやったんだぞ。感謝しろ」
「お前たち?ってそうだマユリは!?」
「タカヒロ、お前の隣で寝てるぞ」
掛け布団をそっとめくってみるとすうすうと寝息を立てて寝ているマユリがいた。気持ちよさそうに寝ている寝顔を見てとりあえず命に別状はなさそうでほっとした。段々と頭がまわるようになり、昨日の事を思い出してきた。
「確かガーゴイルが襲ってきて、一匹目は仕留めたけどもう一匹にマユリがやられて、自分がファイヤーで焼き尽くして、ケミカルとか聞こえたようなきがして、それで急に倒れて、今に至るってことか」
「意外と冷静だな。女の子と一夜一緒のベッドで寝たんだぞ」
「クイーンサイズのこんなに広いベッドなら別々のベッドで寝ているみたいなもんです。それに誰と一緒に寝ようが、静かに寝させてくれれば私はそれで充分です」
「かー、タカヒロは冷めてるなぁ。もっとドギマギしてるところが見たいぞ!」
「それは無理なご注文で。ってそんなことはどうでもいいんです。マユリはどうなんです?見た感じは大丈夫そうですけど」
「ああ、マユリはガーゴイルにいくらかエネルギーを吸われて心身ともにダウンしていしまった。しっかり休んで栄養も取れば回復する。いつ起きるかはマユリしだいだ。因みにタカヒロは魔法の打ちすぎによるガス欠だな」
急な後悔の念に襲われる。いやな汗をかいた。
明らかな私の失態だ。エイジは自分の事を存在するだけで悪だとか迷惑だとか言っていたが、少なくとも自分は能動的に他人に迷惑をかけることだけは意地でも許せない。
ただまあ人とかかわる以上何らかの迷惑をかけることになるから、それが嫌で人とかかわらずにボッチをやっているってこともある。
だが今回は別だ。マユリとは少しかかわりすぎた。そして自分の魔法が通用せずにマユリをこんな目に合わせてしまった。大迷惑をかけてしまった。貴重な研修時間を奪ってしまった。
そう、それなら結論は決まっている。初めからこう言っておけばよかったのだ。
「サキ先生、こんな思いをするくらいならやっぱり私は一人がいいです」
ベッドから重い頭を持ち上げてあたりを見回してみると、たいそうなパソコンがまず目に入り、文房具が散らばった事務机、ホワイトボード、高級そうな黒いソファなどがあった。
ホテルのスイートルームを事務室に変えたような部屋だ。
「おっ、目が覚めたようだな。」
サキ先生は社長椅子のような黒い重厚な椅子をクルリとまわしてこちらに向き直る。
「サキ先生、私はあれからいったい・・・・・・。しかもここどこですか?」
頭がまわらない。寝起きは悪い方ではないのだが。
「まず、ここは中央ホール五階、私の事務室兼居室だ。私が森の中で倒れてたお前たちをここまで連れて帰ってきてやったんだぞ。感謝しろ」
「お前たち?ってそうだマユリは!?」
「タカヒロ、お前の隣で寝てるぞ」
掛け布団をそっとめくってみるとすうすうと寝息を立てて寝ているマユリがいた。気持ちよさそうに寝ている寝顔を見てとりあえず命に別状はなさそうでほっとした。段々と頭がまわるようになり、昨日の事を思い出してきた。
「確かガーゴイルが襲ってきて、一匹目は仕留めたけどもう一匹にマユリがやられて、自分がファイヤーで焼き尽くして、ケミカルとか聞こえたようなきがして、それで急に倒れて、今に至るってことか」
「意外と冷静だな。女の子と一夜一緒のベッドで寝たんだぞ」
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「かー、タカヒロは冷めてるなぁ。もっとドギマギしてるところが見たいぞ!」
「それは無理なご注文で。ってそんなことはどうでもいいんです。マユリはどうなんです?見た感じは大丈夫そうですけど」
「ああ、マユリはガーゴイルにいくらかエネルギーを吸われて心身ともにダウンしていしまった。しっかり休んで栄養も取れば回復する。いつ起きるかはマユリしだいだ。因みにタカヒロは魔法の打ちすぎによるガス欠だな」
急な後悔の念に襲われる。いやな汗をかいた。
明らかな私の失態だ。エイジは自分の事を存在するだけで悪だとか迷惑だとか言っていたが、少なくとも自分は能動的に他人に迷惑をかけることだけは意地でも許せない。
ただまあ人とかかわる以上何らかの迷惑をかけることになるから、それが嫌で人とかかわらずにボッチをやっているってこともある。
だが今回は別だ。マユリとは少しかかわりすぎた。そして自分の魔法が通用せずにマユリをこんな目に合わせてしまった。大迷惑をかけてしまった。貴重な研修時間を奪ってしまった。
そう、それなら結論は決まっている。初めからこう言っておけばよかったのだ。
「サキ先生、こんな思いをするくらいならやっぱり私は一人がいいです」
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