40 / 70
2章
⑦奇襲(2)
しおりを挟む
「ギャーーー!!」
突然渋く鈍く重い鳴き声とともに後ろから熱気が迫ってくるの感じ、とっさにウォーターベットを急降下させて緊急回避をした。
ちらっと振り返ると火炎の球がすぐ頭上をかすめていくのが見えた。
「タカ君!!あれ!!」
「マユリ、起きたのか。酔いは大丈夫か?」
「大丈夫!って、今はあれを見て、早く!」
マユリが指さす方を見れば、ブルドッグのようないかつい顔をした翼をもった何かがいた。
「どうしよ、魔物だよ、タカ君!早く逃げよう!」
「いわれなくても!」
思い切り杖を前にふった。研修棟まで逃げればこちらのものだ。あれだけ堅牢なつくりの建物の中にまでは攻撃できないだろう。
「タカ君、もっと早くできないの?追いつかれちゃうよ!!あっ、炎の球また打ってきたよ!」
杖を左右に振って何とかかわす。
「スピードはこれが限界みたいや。空を飛ぶのを本業にしてるやつにはやっぱりかなわんな」
不意にウォーターベットが揺れた。
「きゃっ!」
下をのぞくとさらにもう一匹いた。また炎の球を打とうとしている。一匹のゴキブリに加えてさらにもう一匹出てきたときのような不快感だ。
『エマージェンシー、エマージェンシー。不時着いたします。』
ウォーターベットから自動音声が流れた。いよいよゴキブリどころの話ではなくなった。飛行機が離陸するときの安全に関するアナウンスが頭によぎった。
「タカ君、さっきの衝撃で私の杖、落としちゃったよ!」
「そんなのあとで探せばいい!今は、マユリ!こっちに!」
「うん!」
二人で寄り添って急落するウォーターベットにうつぶせになり衝撃に備える姿勢をとった。こんなところで死んでたまるか!
「ウォータァァァァアアーーー!!!」
落ちる直前、とっさに唱えた呪文からでた青色の球は不時着の衝撃を緩め、いつもより二回りほど大きな球となった。
「タカ君!二匹とも追ってくるよ。」
「どうせならこいつを食らわせてやる!」
大きくなったウォーターを操作して攻撃に転じる。二匹の内一匹はかろうじて逃れたが、もう一匹はウォーターベットの急落に追いつこうとする勢いでそのまま止まることができず、クリーンヒットした。青い光が弾ける。まるで昼間のような明るさに包まれた。
「フガ、ギャー、ガ、ギャ・・・・・・」
自分たちが受けるはずだった位置エネルギーをもろに受けて、地面にたたきつけられて、断末魔の末息絶えた。気持ち悪さが半端ない。
「ガーゴイルってやつか。これ?」
「ゲームとかでよく聞くけど、私、初めて見たよ」
本当にこんな異形の生物に地球は征服されてしまったのか。改めてその亡骸を見て、人類滅亡の現実味が増す。
まあボッチの私にはあまり関係ない。人類滅亡しようがしまいが私は一人だ。
我が家は井戸水、太陽光パネル、蓄電池完備で快適な生活は送れる。田んぼも畑もある。
まずそうだが魔物を狩って、メインディッシュにしてもいい。
「タカ君?何を考え後としてるの?」
「いや、なんでも。それにしてももう一匹はどうし・・・・・・しまった!よけろ!」
you are deadの文字が見えた気がした。
突然渋く鈍く重い鳴き声とともに後ろから熱気が迫ってくるの感じ、とっさにウォーターベットを急降下させて緊急回避をした。
ちらっと振り返ると火炎の球がすぐ頭上をかすめていくのが見えた。
「タカ君!!あれ!!」
「マユリ、起きたのか。酔いは大丈夫か?」
「大丈夫!って、今はあれを見て、早く!」
マユリが指さす方を見れば、ブルドッグのようないかつい顔をした翼をもった何かがいた。
「どうしよ、魔物だよ、タカ君!早く逃げよう!」
「いわれなくても!」
思い切り杖を前にふった。研修棟まで逃げればこちらのものだ。あれだけ堅牢なつくりの建物の中にまでは攻撃できないだろう。
「タカ君、もっと早くできないの?追いつかれちゃうよ!!あっ、炎の球また打ってきたよ!」
杖を左右に振って何とかかわす。
「スピードはこれが限界みたいや。空を飛ぶのを本業にしてるやつにはやっぱりかなわんな」
不意にウォーターベットが揺れた。
「きゃっ!」
下をのぞくとさらにもう一匹いた。また炎の球を打とうとしている。一匹のゴキブリに加えてさらにもう一匹出てきたときのような不快感だ。
『エマージェンシー、エマージェンシー。不時着いたします。』
ウォーターベットから自動音声が流れた。いよいよゴキブリどころの話ではなくなった。飛行機が離陸するときの安全に関するアナウンスが頭によぎった。
「タカ君、さっきの衝撃で私の杖、落としちゃったよ!」
「そんなのあとで探せばいい!今は、マユリ!こっちに!」
「うん!」
二人で寄り添って急落するウォーターベットにうつぶせになり衝撃に備える姿勢をとった。こんなところで死んでたまるか!
「ウォータァァァァアアーーー!!!」
落ちる直前、とっさに唱えた呪文からでた青色の球は不時着の衝撃を緩め、いつもより二回りほど大きな球となった。
「タカ君!二匹とも追ってくるよ。」
「どうせならこいつを食らわせてやる!」
大きくなったウォーターを操作して攻撃に転じる。二匹の内一匹はかろうじて逃れたが、もう一匹はウォーターベットの急落に追いつこうとする勢いでそのまま止まることができず、クリーンヒットした。青い光が弾ける。まるで昼間のような明るさに包まれた。
「フガ、ギャー、ガ、ギャ・・・・・・」
自分たちが受けるはずだった位置エネルギーをもろに受けて、地面にたたきつけられて、断末魔の末息絶えた。気持ち悪さが半端ない。
「ガーゴイルってやつか。これ?」
「ゲームとかでよく聞くけど、私、初めて見たよ」
本当にこんな異形の生物に地球は征服されてしまったのか。改めてその亡骸を見て、人類滅亡の現実味が増す。
まあボッチの私にはあまり関係ない。人類滅亡しようがしまいが私は一人だ。
我が家は井戸水、太陽光パネル、蓄電池完備で快適な生活は送れる。田んぼも畑もある。
まずそうだが魔物を狩って、メインディッシュにしてもいい。
「タカ君?何を考え後としてるの?」
「いや、なんでも。それにしてももう一匹はどうし・・・・・・しまった!よけろ!」
you are deadの文字が見えた気がした。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ。
緑谷めい
恋愛
「むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ」
そう、むしゃくしゃしてやった。後悔はしていない。
私は、カトリーヌ・ナルセー。17歳。
ナルセー公爵家の長女であり、第2王子ハロルド殿下の婚約者である。父のナルセー公爵は、この国の宰相だ。
その父は、今、私の目の前で、顔面蒼白になっている。
「カトリーヌ、もう一度言ってくれ。私の聞き間違いかもしれぬから」
お父様、お気の毒ですけれど、お聞き間違いではございませんわ。では、もう一度言いますわよ。
「今日、王宮で、ハロルド様に往復ビンタを浴びせ、更に足で蹴りつけましたの」
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】愛も信頼も壊れて消えた
miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」
王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。
無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。
だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。
婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。
私は彼の事が好きだった。
優しい人だと思っていた。
だけど───。
彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。
※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる