war of the ボッチ~ボッチでもラブコメできますか?~

前田 隆裕

文字の大きさ
上 下
30 / 70
2章

④補修(閑話休題)

しおりを挟む
「ところで、マユリ。もし捕まえられたら“誰か”と一緒に特別講義を受けられるけど、誰と受けたいんだ?」



「それは、タカ君しかいないと思いますけど」



「そっかー、マユリはそのタカ君、とじゃないと受けたくないのかー。ほかの人は嫌なのかー」



「っ!誤解を招くようなことは言わないでください!余っているのが私とタカ君だけなのであって、仕方なくです!!それにその棒読み、確信犯ですよね!?」



「誤解ってなんのことかな?確信って何を確信してるのかな?私にはさっぱりわからないのだが。そこんとこ詳しく教えてもらえるだろうか?」



「~~~~~~~~っ!」



「聞こえなかったのか?そこんとこ詳しく・・・・・・」



「はい!もう十分、時間たちました!私は追いかけます!!」



 マユリは逃げるようにその場を立ち去った。



「おいおい。まだ四、五分しかたってないぞ」



 もう話を聞いておらず、マユリは階段を上っていってしまった。



「やれやれ、タカヒロもマユリもめんどうくさいな。本当に。まあ若さゆえかな。なんかかわいくて、おせっかいを焼いてしまう・・・・・・。これが年ってやつか・・・・・・。いやいや!まだ私は二九歳、あの子たちと同じ二十代だっ!て、まったく何を考えているのか」



 二人が去っていった後、サキは事務室に戻った。白の軍に入って研修を終えてからずっと、ここは私の居城になっている。



「タカヒロは自分が全世界の嫌われ者、なんて思っているのだろう。ボッチをさげすむ現代の風潮がそうしてしまったのか、群れを作る人間の本能に逆らっているからなのか、もともとの性格なのかはわからない。それにタカヒロは本音も言わない。きっと恐れているんだろう。人に迷惑をかけることを。受け止めてくれるかどうかわからない不安、よくわかる。それでも確かにお前を好いてくれるやつはいる。受け止めてくれる人が必ずいる。それに気づけば、タカヒロの世界は変わる。そのきっかけをあげるのが私の仕事だ。・・・・・・やっぱり私はおせっかいなのだろうな」



 サキはコーヒーをすすって、パソコンを眺めていた。



「さてタカヒロ、二対一の勝負の始まりだ!!」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。

松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。 そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。 しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ。

緑谷めい
恋愛
「むしゃくしゃしてやりましたの。後悔はしておりませんわ」  そう、むしゃくしゃしてやった。後悔はしていない。    私は、カトリーヌ・ナルセー。17歳。  ナルセー公爵家の長女であり、第2王子ハロルド殿下の婚約者である。父のナルセー公爵は、この国の宰相だ。  その父は、今、私の目の前で、顔面蒼白になっている。 「カトリーヌ、もう一度言ってくれ。私の聞き間違いかもしれぬから」  お父様、お気の毒ですけれど、お聞き間違いではございませんわ。では、もう一度言いますわよ。 「今日、王宮で、ハロルド様に往復ビンタを浴びせ、更に足で蹴りつけましたの」  

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】愛も信頼も壊れて消えた

miniko
恋愛
「悪女だって噂はどうやら本当だったようね」 王女殿下は私の婚約者の腕にベッタリと絡み付き、嘲笑を浮かべながら私を貶めた。 無表情で吊り目がちな私は、子供の頃から他人に誤解される事が多かった。 だからと言って、悪女呼ばわりされる筋合いなどないのだが・・・。 婚約者は私を庇う事も、王女殿下を振り払うこともせず、困った様な顔をしている。 私は彼の事が好きだった。 優しい人だと思っていた。 だけど───。 彼の態度を見ている内に、私の心の奥で何か大切な物が音を立てて壊れた気がした。 ※感想欄はネタバレ配慮しておりません。ご注意下さい。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

主役の聖女は死にました

F.conoe
ファンタジー
聖女と一緒に召喚された私。私は聖女じゃないのに、聖女とされた。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...