war of the ボッチ~ボッチでもラブコメできますか?~

前田 隆裕

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2章

③講義(2)

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 そんなことを考える私をよそにマミ教育官は話を続ける。

「いいですね、若い力。元気があれば何でもできる!・・・・・・。さて、来週は実技です。芝生のグラウンドに集合です。一次試験では同性の友人と一緒に戦いましたが、今回は異性とペアになって戦っていきます。まあ皆さんならすぐにペアができるでしょう。前回のアイスブレーキングで打ち解けただろうし、各自飲み会などもされているようですし。私はこれで退席させていただきますが、来週の皆さんとの実技演習を楽しみにしています。今週の残りの講義はすべてテキストの熟読及びペアづくりとします。来週かっこ悪いところ見せないためにも。ね?あとはまあないと思いますけどくれぐれもペアゼロなんてことないように」


 そう言うと、マミ教育官は教室を去っていった。いわゆる自習タイム、俗に言う自由時間に突入した。私はこの時間が好きだ。遊ぶことを目的とする休憩時間とは違い、勉強することの正当性が確保されていて、なおかつ自分のペースで勉強することができるからだ。ただ周りがいつもがやがやしているのが難点だったが今回はみな静かにテキストを熟読していた。特に男子が。よくわからないが静かなのはいいことだ。独学に励むとしますか。



 集中していたせいか一週間はあっという間だった。静かだった講義もだんだんペアづくりのためのアプローチで、にぎやかになってきた。だが集中力にかけては自信がある。何しろこの集中力のおかげで好成績や数々の資格を取ってきたのだからな。私は騒がしい環境の中でも一心不乱にテキストを読み通し、次の事がわかった。



 一つ、魔法は「ファイヤー」「ウィンド」「ウォーター」「シャイン」がメインで「ケミカル」などほかにもある。

 二つ、杖は自身と外界にエネルギーの高低差を作り、魔法を放つ道具である。さらに魔法の玉を操作するのも杖の役割である。

 三つ、基本は三ステップで魔法を放つ。まずは魔法の玉を打ち出す。そして風船を膨らませるかのごとくその魔法球を大きくチャージする。次にそれを操作する。それだけだ。



 自分は習うより慣れろという言葉が大嫌いだ。「慣れだから」と言われて訳も分からずにやらされて、当然失敗し、怒られる。怒るくらいなら初めから教えろや!!と思う。体育でも実際に体を動かす前には必ずテキストを読んだ。ペアがいなかった私にはそれしかなかったのもあるが。



 そして今回も同様であった。すなわち私には魔法の実技演習のペアはできなかった。
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