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2章
③講義(1)
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初回講義はアイスブレーキングで終始し、本格的な講義は今日から始まった。初回講義と同様M201教室、マミ教育官、一番前の私の定席である。できるだけ環境を一定にしてイレギュラーを排することが心の平穏につながる。
「さてさて、皆さん毎度おなじみマミ教育官です!今日から本格的な魔法の授業に入っていきたいと思います。テキスト一頁を開いて―」
一斉にテキストのパラパラ、ごそごそという音をたてているのが後ろから聞こえてくる。憧れの魔法が使えるのだ。誰だって心が躍る。今までの学校ではまず言うことを聞かない輩がいたからこれは大違いだ。
「朝ミーティングでもお話しした通り、魔法とはエネルギーを凝縮、放出する技術の事です。そしてエネルギーの種類ごとに魔法にも種類があります。まずは『ファイヤー』です。これは熱エネルギーを凝縮したものです。これはネーミングからなんとなくわかりますよね。一番基本で威力は高いです。次に『ウィンド』です。運動エネルギーを凝縮したものです。ウィンドつまり風が吹くと風車がまわったり、物が飛んで行ったりします。これがネーミングの由来です。威力はファイヤーに比べて弱いですが相手を吹っ飛ばせることができます。そして『ウォーター』は位置エネルギーを凝縮したものです。覚え方は、ウォーターつまり水は上流から下流へ流れます。高いところから低いところというのがミソで、これがネーミングの由来です。威力はウィンドと同じくらいですが物体を上下運動させることができます。『シャイン』は光エネルギーです。これはわかりやすいですね。ほかにもまだまだありますよ。」
おいおい、もっとファンタジーな講義かと思いきやまるっきり物理の授業じゃないか。
「おおっと皆さん、物理の授業だとか思ってないですよね?これは物理の用語が出てきてるだけで実は似て非なるもの!物理学ではなく、『魔法学』ですよ」
なんか余計にわかりにくくなったな。みんな大丈夫なのかと後ろを見ると頭を抱えている人がちらほらいる。おそらく文系の学生か社会人になって学問なんてご無沙汰なんて者だろう。自分は文系だったが理系科目も好きで個人的に勉強していた甲斐もあって、~エネルギーなどと言われても抵抗がない。物理学だろうが魔法学だろうが勉強さえできれば何とかやっていけそうで安心した。
「みなさん、頭抱えていますね。でも大丈夫。こんな理論っぽいの覚えなくても、なんとなく、でいいから。ウォーターは上下、ウィンドは横ぐらいの理解でオッケー!基本は実技練習です。あっそうそう、もうみんな知ってるだろうけど来週までに男女ペアを作っておいてね。来週、今手元にあるこの紙にペアを書いて提出してもらいます。これから三か月間実技演習でいっしょになるからよく選びましょう。くれぐれもペアなしなんてことはないように!わかりましたか?」
「わかりました」
「元気がないですね!もう一度!」
「わかりました!!」
この人、これ好きだな。またしても小学生かっ!と突っ込みたくなる。そして相変わらずマミ教育官は満足げにうなずいている。
しかも何?ペア作れ!なんて初めて聞いたぞ。後ろの様子だとみんなもう知ってるみたいだけど。ボッチの情報不足力も大したものだ。それにしてもやはりここはペアばかり組まそうとする。ボッチに対するいじめか何かか。全く、毎回居心地の悪い気分にさせてくれる。
「さてさて、皆さん毎度おなじみマミ教育官です!今日から本格的な魔法の授業に入っていきたいと思います。テキスト一頁を開いて―」
一斉にテキストのパラパラ、ごそごそという音をたてているのが後ろから聞こえてくる。憧れの魔法が使えるのだ。誰だって心が躍る。今までの学校ではまず言うことを聞かない輩がいたからこれは大違いだ。
「朝ミーティングでもお話しした通り、魔法とはエネルギーを凝縮、放出する技術の事です。そしてエネルギーの種類ごとに魔法にも種類があります。まずは『ファイヤー』です。これは熱エネルギーを凝縮したものです。これはネーミングからなんとなくわかりますよね。一番基本で威力は高いです。次に『ウィンド』です。運動エネルギーを凝縮したものです。ウィンドつまり風が吹くと風車がまわったり、物が飛んで行ったりします。これがネーミングの由来です。威力はファイヤーに比べて弱いですが相手を吹っ飛ばせることができます。そして『ウォーター』は位置エネルギーを凝縮したものです。覚え方は、ウォーターつまり水は上流から下流へ流れます。高いところから低いところというのがミソで、これがネーミングの由来です。威力はウィンドと同じくらいですが物体を上下運動させることができます。『シャイン』は光エネルギーです。これはわかりやすいですね。ほかにもまだまだありますよ。」
おいおい、もっとファンタジーな講義かと思いきやまるっきり物理の授業じゃないか。
「おおっと皆さん、物理の授業だとか思ってないですよね?これは物理の用語が出てきてるだけで実は似て非なるもの!物理学ではなく、『魔法学』ですよ」
なんか余計にわかりにくくなったな。みんな大丈夫なのかと後ろを見ると頭を抱えている人がちらほらいる。おそらく文系の学生か社会人になって学問なんてご無沙汰なんて者だろう。自分は文系だったが理系科目も好きで個人的に勉強していた甲斐もあって、~エネルギーなどと言われても抵抗がない。物理学だろうが魔法学だろうが勉強さえできれば何とかやっていけそうで安心した。
「みなさん、頭抱えていますね。でも大丈夫。こんな理論っぽいの覚えなくても、なんとなく、でいいから。ウォーターは上下、ウィンドは横ぐらいの理解でオッケー!基本は実技練習です。あっそうそう、もうみんな知ってるだろうけど来週までに男女ペアを作っておいてね。来週、今手元にあるこの紙にペアを書いて提出してもらいます。これから三か月間実技演習でいっしょになるからよく選びましょう。くれぐれもペアなしなんてことはないように!わかりましたか?」
「わかりました」
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「わかりました!!」
この人、これ好きだな。またしても小学生かっ!と突っ込みたくなる。そして相変わらずマミ教育官は満足げにうなずいている。
しかも何?ペア作れ!なんて初めて聞いたぞ。後ろの様子だとみんなもう知ってるみたいだけど。ボッチの情報不足力も大したものだ。それにしてもやはりここはペアばかり組まそうとする。ボッチに対するいじめか何かか。全く、毎回居心地の悪い気分にさせてくれる。
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