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2章
②初回講義(1)
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午前七時、けたたましいアラームが居住棟中に鳴り響いた。何事かと目を覚ます。あたりを見回すと、社宅でも実家でもなく、相変わらずビジネスホテル風のワンルームだった。戦時中じゃないんだから、まったく。いやモンスターがうろついている今は戦時中か。まだ一日しかたっていないのに平和なあの頃が無性に懐かしい。
「白の軍研修生の皆さ~ん、おはようございます!」
アラームの後には朝のニュースに出てくるさわやかな女性キャスターのような声が続いた。
「朝食兼朝のミーティングがありますので制服に着替えて、昨日配布させていただいた入校案内持参のうえセントラルホールの食堂にお集まりくださ~い!」
手早く朝の支度を終え、白のローブを羽織る。我ながらいい気分だ。ローブをなびかせて颯爽と走り去るさまは誰がやっても絵になる。
「さあ、行くか!!」
気合をいれて自分の部屋から出た。そこら中の部屋からドライヤーの音がする。また整髪料のにおいも漂っている。正直言って理解できない。私にとっておしゃれなどはカネと時間の無駄である。髪型は生まれてこの方二十数年、スポーツ刈り一本。髪が伸びてくれば、見事な天然パーマだ。シャンプー以外一切の手入れはしない。清潔であれば十分だ。
また、私服は春用、夏用、秋用、冬用、それぞれ二着のみ使い、洗って乾いたものが即明日の服になる。一切の迷い・無駄を生まない効率的な仕組みだ。しかもその私服も超特売Tシャツ四百円やぼろきれで作ったお手製ただ同然の浴衣など、楽を追求したスタイルだ。よく昼のテレビで紹介されている服コーデの番組で、リポーターが数千円の服を「安い!」とか言っているが、頭おかしいんじゃないかと思う。
「白の軍研修生の皆さ~ん、おはようございます!」
アラームの後には朝のニュースに出てくるさわやかな女性キャスターのような声が続いた。
「朝食兼朝のミーティングがありますので制服に着替えて、昨日配布させていただいた入校案内持参のうえセントラルホールの食堂にお集まりくださ~い!」
手早く朝の支度を終え、白のローブを羽織る。我ながらいい気分だ。ローブをなびかせて颯爽と走り去るさまは誰がやっても絵になる。
「さあ、行くか!!」
気合をいれて自分の部屋から出た。そこら中の部屋からドライヤーの音がする。また整髪料のにおいも漂っている。正直言って理解できない。私にとっておしゃれなどはカネと時間の無駄である。髪型は生まれてこの方二十数年、スポーツ刈り一本。髪が伸びてくれば、見事な天然パーマだ。シャンプー以外一切の手入れはしない。清潔であれば十分だ。
また、私服は春用、夏用、秋用、冬用、それぞれ二着のみ使い、洗って乾いたものが即明日の服になる。一切の迷い・無駄を生まない効率的な仕組みだ。しかもその私服も超特売Tシャツ四百円やぼろきれで作ったお手製ただ同然の浴衣など、楽を追求したスタイルだ。よく昼のテレビで紹介されている服コーデの番組で、リポーターが数千円の服を「安い!」とか言っているが、頭おかしいんじゃないかと思う。
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