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第三章その7 ~いざ勝負!~ 黄泉の軍勢・撃退編
能登一号作戦
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人間側は撤退を続けていた。
前線に配置された第4船団のエースパイロット、つまり全神連の3人も、今は後退するしかない。
彼らが見据える中、幽鬼兵団は容赦なく旧市街や避難区を蹂躙していく。
そろばんを持つ少女・湖南は、相次ぐ被害の総額を概算しながら歯噛みした。
「くそっ、無茶苦茶やってくれるわね。後で弁償させるんだから!」
「……冷静に。もう少しの辛抱ですわ、湖南さん」
画面に映る落ち着いた風貌の女性・津和野が、焦る湖南をいさめた。
「姫様と黒鷹様を信じましょう。婚活と同じよ、ここは忍の一文字です」
「津和野さん……」
その言葉に圧倒的な説得力を感じ、湖南は頷く。
いい意味で年の功、経験に裏打ちされた強さだと思ったが、口にすると怒られそうなのでやめておく。
「それにしても、流石にストレス溜まるなあ……!」
おかっぱ頭の少年・才次郎が言った。
育ちが良く、普段は余裕たっぷりの彼だったが、今は悔しさを顔いっぱいに滲ませていた。
「僕の大事な、自慢の故郷なんだぞっ……! これ以上、化け物どもに踏みにじられたくないよ……!」
「……耐えなさいよ才次郎……!」
湖南はそう言って、ぎゅっと操作レバーを握り締める。
「埋め合わせは後でたっぷり請求するんだから、今は我慢よ。あんたの機体、偽装外装かぶってるでしょ」
湖南がそう呟いた時、通信兵が画面に映り、慌しくこちらに叫ぶ。
「敵兵団が予定地点に入りました! 行動を開始します!」
画面には、鎧姿の神人・鶴姫様が映し出される。彼女は気合いを入れてこちらに叫んだ。
「作戦開始よ! みんな、めちゃんこ頑張りましょう!」
「了解っ!」
「よしきたっ!」
「任せて下さいませっ!」
湖南も才次郎も津和野も叫んだ。
いや、通信の向こうで、無数の声が木霊している。
誰もが耐えに耐えてきたのだ。反撃のこの一瞬を。
「第2・第4船団旗艦、行動開始! 富山湾・日本海から敵を挟撃して下さい! 能登一号作戦発令!」
通信兵が上気した顔で叫び、人々の雄叫びが響き渡った。
「何だ……湾内に船が……?」
笹鐘は怪訝な顔で映像を見据えた。
能登半島の東側、富山湾を巨大な船が猛進している。
「はったりか? いや……」
映像が拡大されると、笹鐘は目を見開いた。
「バカな、第2船団の旗艦……陸奥だと!? なぜこのような所に……!」
旗艦が前線に出てくるなど、通常あり得ない悪手である。
もし陸地から攻撃を受け、船と共に祭神が沈めば、その細胞を培養した人型重機も滅びる。つまり、主戦力である人型重機部隊が全滅する事になるのだ。
なのになぜ、彼らは旗艦を前線近くに送り込んだのだろうか……?
笹鐘が戸惑っていると、映像は更に別の船を映し出す。
「兄様、これは……!?」
妹の声に目を向けると、日本海を猛進する巨船は、紛れも無く第4船団の旗艦・出雲である。
わずかな護衛艦のみを引きつれ、2つの船団の旗艦が、同時に陸地に近付いているのだ。
この布陣は何を意味する? 捨て身覚悟の艦砲射撃か?
いや、そんなものであの黄泉の軍勢を倒せない事ぐらい、人間どもにも分かるはずだ。
笹鐘は若干苛立った顔で呟く。
「不死身の黄泉の軍勢ぞ。弓射た所で意味なかろうが……どうするつもりだ」
前線に配置された第4船団のエースパイロット、つまり全神連の3人も、今は後退するしかない。
彼らが見据える中、幽鬼兵団は容赦なく旧市街や避難区を蹂躙していく。
そろばんを持つ少女・湖南は、相次ぐ被害の総額を概算しながら歯噛みした。
「くそっ、無茶苦茶やってくれるわね。後で弁償させるんだから!」
「……冷静に。もう少しの辛抱ですわ、湖南さん」
画面に映る落ち着いた風貌の女性・津和野が、焦る湖南をいさめた。
「姫様と黒鷹様を信じましょう。婚活と同じよ、ここは忍の一文字です」
「津和野さん……」
その言葉に圧倒的な説得力を感じ、湖南は頷く。
いい意味で年の功、経験に裏打ちされた強さだと思ったが、口にすると怒られそうなのでやめておく。
「それにしても、流石にストレス溜まるなあ……!」
おかっぱ頭の少年・才次郎が言った。
育ちが良く、普段は余裕たっぷりの彼だったが、今は悔しさを顔いっぱいに滲ませていた。
「僕の大事な、自慢の故郷なんだぞっ……! これ以上、化け物どもに踏みにじられたくないよ……!」
「……耐えなさいよ才次郎……!」
湖南はそう言って、ぎゅっと操作レバーを握り締める。
「埋め合わせは後でたっぷり請求するんだから、今は我慢よ。あんたの機体、偽装外装かぶってるでしょ」
湖南がそう呟いた時、通信兵が画面に映り、慌しくこちらに叫ぶ。
「敵兵団が予定地点に入りました! 行動を開始します!」
画面には、鎧姿の神人・鶴姫様が映し出される。彼女は気合いを入れてこちらに叫んだ。
「作戦開始よ! みんな、めちゃんこ頑張りましょう!」
「了解っ!」
「よしきたっ!」
「任せて下さいませっ!」
湖南も才次郎も津和野も叫んだ。
いや、通信の向こうで、無数の声が木霊している。
誰もが耐えに耐えてきたのだ。反撃のこの一瞬を。
「第2・第4船団旗艦、行動開始! 富山湾・日本海から敵を挟撃して下さい! 能登一号作戦発令!」
通信兵が上気した顔で叫び、人々の雄叫びが響き渡った。
「何だ……湾内に船が……?」
笹鐘は怪訝な顔で映像を見据えた。
能登半島の東側、富山湾を巨大な船が猛進している。
「はったりか? いや……」
映像が拡大されると、笹鐘は目を見開いた。
「バカな、第2船団の旗艦……陸奥だと!? なぜこのような所に……!」
旗艦が前線に出てくるなど、通常あり得ない悪手である。
もし陸地から攻撃を受け、船と共に祭神が沈めば、その細胞を培養した人型重機も滅びる。つまり、主戦力である人型重機部隊が全滅する事になるのだ。
なのになぜ、彼らは旗艦を前線近くに送り込んだのだろうか……?
笹鐘が戸惑っていると、映像は更に別の船を映し出す。
「兄様、これは……!?」
妹の声に目を向けると、日本海を猛進する巨船は、紛れも無く第4船団の旗艦・出雲である。
わずかな護衛艦のみを引きつれ、2つの船団の旗艦が、同時に陸地に近付いているのだ。
この布陣は何を意味する? 捨て身覚悟の艦砲射撃か?
いや、そんなものであの黄泉の軍勢を倒せない事ぐらい、人間どもにも分かるはずだ。
笹鐘は若干苛立った顔で呟く。
「不死身の黄泉の軍勢ぞ。弓射た所で意味なかろうが……どうするつもりだ」
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