139 / 160
第六章その14 ~私しかおらんのだ!~ 最強女神の覚醒編
ただただ夢中だったけれど
しおりを挟む
「………………勝っ……た……?」
ゆっくりと地に降り立ち、磐長姫は呟いた。
「………………」
激しい興奮がゆっくりと冷めていく。
緊張の糸が切れたのか、体中の力が抜けていくのだ。
鎧もいつもの衣服に戻り、結んだ髪もほどけていた。
それと同時に、急に色々な事が気恥ずかしくなってきた。
(ちょっと待て、私は何をしていたのだ? 何であんな大それた事をしたんだろう?)
(いつも後ろに隠れていたのに、他の神々を差し置いて……!)
(もしかしてまた痛い事を口走ったのでは? 数千年の時を経て、黒歴史のおかわりをしたのではないか?)
考え出すときりがなく、顔から火が出そうだった。
一刻も早く布団に潜って、何百年でも眠りたくなったし、元の駄目な自分に……岩凪姫に戻ったようだ。
だがそんな岩凪姫に、誰かがそっと手を添えた。
「ひっ……!?」
びっくりして振り返ると、そこには妹の佐久夜姫が立っていた。
「………………」
激しい戦いで消耗しているようだったが、彼女はなぜか嬉しそうだった。
目にいっぱいの涙を浮かべて、何度も何度も頷くのだ。
「……だから言ったのよ。お姉ちゃんは凄いって」
「お前程では……ないと思うが……」
戸惑う岩凪姫だったが、そこでにぎやかな声が響いた。
「あーっ!!! ナギっぺ、ナギっぺだわ!!!」
鶴が目を覚まし、こちらを見つめているのである。彼女はいそいそと身を起こした。
「ほんとに……ほんとにしょうのない女神ね! いつもお説教するくせに、肝心な時にいないんだからっ……!」
鶴はそこで言葉に詰まった。
唇は震え、目はどんどん潤んでいく。
こみ上げる感情をこらえながら、懸命に何か言おうとするのだったが……そこで岩凪姫は助け舟を出した。
両手を差し出し、愛する娘に呼びかける。
「おいで」
「…………っ!!!」
鶴は夢中で飛びついてきた。
そのまま胸元に顔をうずめて泣いた。ひたすらに泣いた。
コマも嬉しそうに女神達の足元を駆け回っている。
「よく頑張ったな、偉かったぞ鶴。もちろんコマもな」
頭を撫でる岩凪姫に、鶴は震える声で答える。
「……ほんとだわ。私達、めちゃんこ頑張ったのよ……? うんと話を盛るから、覚悟しておいてね?」
「お手柔らかにな」
微笑む岩凪姫だったが、その時。
ふいに頭上に眩しい光が輝いた。
空そのものが太陽になったかと思える輝きの後、空には数多の神々が現れていたのだ。
ゆっくりと地に降り立ち、磐長姫は呟いた。
「………………」
激しい興奮がゆっくりと冷めていく。
緊張の糸が切れたのか、体中の力が抜けていくのだ。
鎧もいつもの衣服に戻り、結んだ髪もほどけていた。
それと同時に、急に色々な事が気恥ずかしくなってきた。
(ちょっと待て、私は何をしていたのだ? 何であんな大それた事をしたんだろう?)
(いつも後ろに隠れていたのに、他の神々を差し置いて……!)
(もしかしてまた痛い事を口走ったのでは? 数千年の時を経て、黒歴史のおかわりをしたのではないか?)
考え出すときりがなく、顔から火が出そうだった。
一刻も早く布団に潜って、何百年でも眠りたくなったし、元の駄目な自分に……岩凪姫に戻ったようだ。
だがそんな岩凪姫に、誰かがそっと手を添えた。
「ひっ……!?」
びっくりして振り返ると、そこには妹の佐久夜姫が立っていた。
「………………」
激しい戦いで消耗しているようだったが、彼女はなぜか嬉しそうだった。
目にいっぱいの涙を浮かべて、何度も何度も頷くのだ。
「……だから言ったのよ。お姉ちゃんは凄いって」
「お前程では……ないと思うが……」
戸惑う岩凪姫だったが、そこでにぎやかな声が響いた。
「あーっ!!! ナギっぺ、ナギっぺだわ!!!」
鶴が目を覚まし、こちらを見つめているのである。彼女はいそいそと身を起こした。
「ほんとに……ほんとにしょうのない女神ね! いつもお説教するくせに、肝心な時にいないんだからっ……!」
鶴はそこで言葉に詰まった。
唇は震え、目はどんどん潤んでいく。
こみ上げる感情をこらえながら、懸命に何か言おうとするのだったが……そこで岩凪姫は助け舟を出した。
両手を差し出し、愛する娘に呼びかける。
「おいで」
「…………っ!!!」
鶴は夢中で飛びついてきた。
そのまま胸元に顔をうずめて泣いた。ひたすらに泣いた。
コマも嬉しそうに女神達の足元を駆け回っている。
「よく頑張ったな、偉かったぞ鶴。もちろんコマもな」
頭を撫でる岩凪姫に、鶴は震える声で答える。
「……ほんとだわ。私達、めちゃんこ頑張ったのよ……? うんと話を盛るから、覚悟しておいてね?」
「お手柔らかにな」
微笑む岩凪姫だったが、その時。
ふいに頭上に眩しい光が輝いた。
空そのものが太陽になったかと思える輝きの後、空には数多の神々が現れていたのだ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
5
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる