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第六章その12 ~魔王を止めろ!~ 決死の柱突入編
待ち受ける人界の猛者
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柱に飛び込んだコマは、どんどん降下を続けている。
四肢を広げてバランスをとり、丁度スカイダイビングをしているような格好だ。
風に踊るコマの鬣に頬をくすぐられながら、誠は言った。
「ヒメ子もコマも疲れたろ? そろそろ交代しよう、機体を出してくれ」
「分かったわ」
鶴が胸の前で手を合わせると、誠達の人型重機が巨大化した。数瞬の後、一同はそれぞれの機体の操縦席に座っていたのだ。
鶴とコマも誠の後ろに座し、皆はそのまま降下していく。
(それにしてもでかいな……!)
誠は周囲を見渡して息を飲む。
柱の大まかな構造は説明を受けていたのだが、いざこうして中に入ってみると、その巨大さに圧倒されてしまう。
完全な円筒形の空間は、見渡す限りの白1色。
ある程度降下すると、床の割れ目から次の空間へと降りるのだが、そこも先ほどと同じ様相だった。
凄くいい加減な例えをするなら、長い竹が一定距離ごとに節で区切られているような感じだろうか。
誠は周囲を警戒しながらコマに尋ねた。
「コマ、柱の中って、邪気がほとんど無いのか? 普通に飛行出来てるけど……」
「柱は全神連の霊気で作られたから、まだ大丈夫みたいだね。今はだいぶ減ってるけど、あの短くなってく霊気の筒。あれがぎっしり詰まってたんだ」
すぐそばにある円筒が、火花を発しながら小さく短くなっていく。恐らく蓄積された霊気を使い果たし、どんどん消えていっているのだろう。
「あれのおかげで邪気が中和されてるのか」
「そういう事だよ。さすがに最下層になるとそうもいかないだろうけど、このへんはほとんどの邪神は活動出来ないはずさ」
「それってええ事なんよな?」
画面に映る難波が言うと、コマはゆっくり頷いた。
「……確かにいい事なんだろうね。でも……だからもし、ここで何かが襲ってくるとしたら、その相手は……」
その時鶴が口を挟んだ。
「……みんな。次の階に入ったら来るけど、私が防ぐわ」
床の破損部分から次のエリアに入る一同だったが、その瞬間、モニターに強烈な光が閃いた。
餓霊や邪神の叫びとは違う、甲高い属性添加機の唸り声。つまりは射撃を加えられているのだ。それも1方向だけでなく、数箇所からの集中砲火。
だが鶴が霊気で守ってくれたため、誠達はダメージを受ける事無く通過出来た。
無事床面に着地すると、誠は襲撃の主を睨んだ。
「やっぱりお前らか……!」
画面に映るのは、誠達と同じ人型重機……かつて特務隊と呼ばれた一団の機体だった。
四肢を広げてバランスをとり、丁度スカイダイビングをしているような格好だ。
風に踊るコマの鬣に頬をくすぐられながら、誠は言った。
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「分かったわ」
鶴が胸の前で手を合わせると、誠達の人型重機が巨大化した。数瞬の後、一同はそれぞれの機体の操縦席に座っていたのだ。
鶴とコマも誠の後ろに座し、皆はそのまま降下していく。
(それにしてもでかいな……!)
誠は周囲を見渡して息を飲む。
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完全な円筒形の空間は、見渡す限りの白1色。
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凄くいい加減な例えをするなら、長い竹が一定距離ごとに節で区切られているような感じだろうか。
誠は周囲を警戒しながらコマに尋ねた。
「コマ、柱の中って、邪気がほとんど無いのか? 普通に飛行出来てるけど……」
「柱は全神連の霊気で作られたから、まだ大丈夫みたいだね。今はだいぶ減ってるけど、あの短くなってく霊気の筒。あれがぎっしり詰まってたんだ」
すぐそばにある円筒が、火花を発しながら小さく短くなっていく。恐らく蓄積された霊気を使い果たし、どんどん消えていっているのだろう。
「あれのおかげで邪気が中和されてるのか」
「そういう事だよ。さすがに最下層になるとそうもいかないだろうけど、このへんはほとんどの邪神は活動出来ないはずさ」
「それってええ事なんよな?」
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「……確かにいい事なんだろうね。でも……だからもし、ここで何かが襲ってくるとしたら、その相手は……」
その時鶴が口を挟んだ。
「……みんな。次の階に入ったら来るけど、私が防ぐわ」
床の破損部分から次のエリアに入る一同だったが、その瞬間、モニターに強烈な光が閃いた。
餓霊や邪神の叫びとは違う、甲高い属性添加機の唸り声。つまりは射撃を加えられているのだ。それも1方向だけでなく、数箇所からの集中砲火。
だが鶴が霊気で守ってくれたため、誠達はダメージを受ける事無く通過出来た。
無事床面に着地すると、誠は襲撃の主を睨んだ。
「やっぱりお前らか……!」
画面に映るのは、誠達と同じ人型重機……かつて特務隊と呼ばれた一団の機体だった。
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