91 / 160
第六章その10 ~決戦開始よ!~ 作戦名・日はまた昇る編
元・ヤマタノオロチのコンビネーション
しおりを挟む
「おのれっ、虫けらどもが図に乗りおって……!!!」
戦況を見据える仄宮は、怒りに身を震わせていた。
「万全にはほど遠いが、力は貯めた……戦える! 動ける者はついて参れっ!」
『仰せのままにっ!』
仄宮の号令に、無数の邪神が同時に答えた。
色とりどりの……悪趣味なほどに極彩色の鎧に身を包んだ邪神達は、館の外へと身を躍らせた。
「さあ、愚かな人間どもを蹴散らせ! わらわ達に歯向かった罪、存分に思い知らせてやるのだ!」
すると邪神の1人……女官のような者が進み出る。
手にした和傘を回転させると、たちまち傘の周囲に水の輪が浮かび上がった。
その輪は見る間に巨大化し、荒れ狂う濁流のように姿を変えたのだ。
やがて濁流の輪は途切れ、巨大な水龍を形づくった。
龍はそのまま顎を開き、航空戦艦に突進していく。
だが次の瞬間、横手から閃いた刀の闘気が、水龍の首をはね飛ばしていた。
「待っていたぞ仄宮。貴様の首を掻き切るために、我はここに戻って来たのだ……!」
ディアヌスは牙を剥き出し、笑みを浮かべて邪神達を睨め据えた。
「やれるものならやってみよ! ものどもかかれっ!」
仄宮の指示を受け、邪神のうち10体ほどの男神が踏み出した。
踏み出しながら巨大化し、ディアヌスに刃を向ける。
だがディアヌスは不敵に笑い、仄宮を挑発する。
「これだけでよいのか? よいならば始めるぞ?」
「おのれ、重ね重ね無礼者めがっ!」
男神の1人が挑発に耐え兼ね、剣を掲げて切りかかってくる。
だが次の瞬間、青い光が閃いて、邪神の1人を貫いていた。
「……っ!!?」
邪神は信じられないといった表情だったが、やがてよろめいて倒れ伏した。
そのまま肌はしわがれ、骸骨のような姿になって土に還っていったのだ。
「なっ、何奴……!?」
うろたえる仄宮をよそに、光を発したその主は、ゆっくりと近づいてきた。
全長は100メートル程か。人型の巨体で、鎧のような外皮は青い宝石のように輝いている。
「遅かったなガレオン。寝ているのかと思ったぞ」
「すまないディアヌス。久々の戦いで感覚を忘れていたが、もう大丈夫だ」
ガレオンは地響きを立ててディアヌスに並び立つ。
いや、ガレオンだけではない。
他の祭神達も、続々とその場に集っていたのである。
「これが今度の敵かディアヌス。どいつもこいつも臆病そうなツラをしている」
ゼノファイアが咆えるように言うと、アリクライムが首を傾げた。
「必死に着飾っているのでしょうが……どうにも華がありませぬ。西陣や友禅と比べれば、てんで見劣りしてしまって」
「ぐっっ……!!!」
女として一番腹の立つ罵倒だったのか、仄宮の顔色が変わった。
「はははっ、あまり言うてやるな! さすがに哀れではないか!」
ディアヌスは上機嫌で笑った。
「こやつらは地の底で何千年も這いつくばってきたのだ。良い酒も美麗な布も、何1つ新しい物を知らぬのだからな」
「肥河よっ、仄宮様への不敬、許さぬぞ!!!」
そこで今度は、複数の男神が切りかかってきた……が、横手からテンペストが爪を伸ばして地に突き立て、邪神達の足を引っ掛ける。
よろめいた邪神の前には、ディアヌスが刃を構えていたのだ。
「うおっ……!」
邪神達は何かを言いかけたが、全員同時に薙ぎ払われていた。
彼らはやはりしわがれた骸となり、倒れて土に還っていく。
「好き勝手に打ち込むだけで、まるで連携が取れていない。戦術は化石レベルだが……これで我々と戦う気かね?」
「ぬうっ……!!!」
テンペストの呆れたような感想に、邪神達は少なからず動揺したようだ。
ディアヌスは勝ち誇ったように言い放つ。
「さあ宴の始まりだ! この哀れな愚か者どもを、残らず討ち滅ぼしてしまえ!」
「舐めるな肥河っ、ものども、押しつぶせ!!!」
仄宮が手を差し出すと、邪神達が次々に押し寄せてきた。
だがディアヌスと祭神達は、見事な連携でそれを屠り去っていく。
元は8体全てが八岐大蛇、合わせる呼吸に一分の隙もないのだ。
邪神達のバラバラな動きとは、次元の違う統率ぶりだった。
戦況を見据える仄宮は、怒りに身を震わせていた。
「万全にはほど遠いが、力は貯めた……戦える! 動ける者はついて参れっ!」
『仰せのままにっ!』
仄宮の号令に、無数の邪神が同時に答えた。
色とりどりの……悪趣味なほどに極彩色の鎧に身を包んだ邪神達は、館の外へと身を躍らせた。
「さあ、愚かな人間どもを蹴散らせ! わらわ達に歯向かった罪、存分に思い知らせてやるのだ!」
すると邪神の1人……女官のような者が進み出る。
手にした和傘を回転させると、たちまち傘の周囲に水の輪が浮かび上がった。
その輪は見る間に巨大化し、荒れ狂う濁流のように姿を変えたのだ。
やがて濁流の輪は途切れ、巨大な水龍を形づくった。
龍はそのまま顎を開き、航空戦艦に突進していく。
だが次の瞬間、横手から閃いた刀の闘気が、水龍の首をはね飛ばしていた。
「待っていたぞ仄宮。貴様の首を掻き切るために、我はここに戻って来たのだ……!」
ディアヌスは牙を剥き出し、笑みを浮かべて邪神達を睨め据えた。
「やれるものならやってみよ! ものどもかかれっ!」
仄宮の指示を受け、邪神のうち10体ほどの男神が踏み出した。
踏み出しながら巨大化し、ディアヌスに刃を向ける。
だがディアヌスは不敵に笑い、仄宮を挑発する。
「これだけでよいのか? よいならば始めるぞ?」
「おのれ、重ね重ね無礼者めがっ!」
男神の1人が挑発に耐え兼ね、剣を掲げて切りかかってくる。
だが次の瞬間、青い光が閃いて、邪神の1人を貫いていた。
「……っ!!?」
邪神は信じられないといった表情だったが、やがてよろめいて倒れ伏した。
そのまま肌はしわがれ、骸骨のような姿になって土に還っていったのだ。
「なっ、何奴……!?」
うろたえる仄宮をよそに、光を発したその主は、ゆっくりと近づいてきた。
全長は100メートル程か。人型の巨体で、鎧のような外皮は青い宝石のように輝いている。
「遅かったなガレオン。寝ているのかと思ったぞ」
「すまないディアヌス。久々の戦いで感覚を忘れていたが、もう大丈夫だ」
ガレオンは地響きを立ててディアヌスに並び立つ。
いや、ガレオンだけではない。
他の祭神達も、続々とその場に集っていたのである。
「これが今度の敵かディアヌス。どいつもこいつも臆病そうなツラをしている」
ゼノファイアが咆えるように言うと、アリクライムが首を傾げた。
「必死に着飾っているのでしょうが……どうにも華がありませぬ。西陣や友禅と比べれば、てんで見劣りしてしまって」
「ぐっっ……!!!」
女として一番腹の立つ罵倒だったのか、仄宮の顔色が変わった。
「はははっ、あまり言うてやるな! さすがに哀れではないか!」
ディアヌスは上機嫌で笑った。
「こやつらは地の底で何千年も這いつくばってきたのだ。良い酒も美麗な布も、何1つ新しい物を知らぬのだからな」
「肥河よっ、仄宮様への不敬、許さぬぞ!!!」
そこで今度は、複数の男神が切りかかってきた……が、横手からテンペストが爪を伸ばして地に突き立て、邪神達の足を引っ掛ける。
よろめいた邪神の前には、ディアヌスが刃を構えていたのだ。
「うおっ……!」
邪神達は何かを言いかけたが、全員同時に薙ぎ払われていた。
彼らはやはりしわがれた骸となり、倒れて土に還っていく。
「好き勝手に打ち込むだけで、まるで連携が取れていない。戦術は化石レベルだが……これで我々と戦う気かね?」
「ぬうっ……!!!」
テンペストの呆れたような感想に、邪神達は少なからず動揺したようだ。
ディアヌスは勝ち誇ったように言い放つ。
「さあ宴の始まりだ! この哀れな愚か者どもを、残らず討ち滅ぼしてしまえ!」
「舐めるな肥河っ、ものども、押しつぶせ!!!」
仄宮が手を差し出すと、邪神達が次々に押し寄せてきた。
だがディアヌスと祭神達は、見事な連携でそれを屠り去っていく。
元は8体全てが八岐大蛇、合わせる呼吸に一分の隙もないのだ。
邪神達のバラバラな動きとは、次元の違う統率ぶりだった。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
転生初日に妖精さんと双子のドラゴンと家族になりました
ひより のどか
ファンタジー
ただいま女神様に『行ってらっしゃ~い』と、突き落とされ空を落下中の幼女(2歳)です。お腹には可愛いピンクと水色の双子の赤ちゃんドラゴン抱えてます。どうしようと思っていたら妖精さんたちに助けてあげるから契約しようと誘われました。転生初日に一気に妖精さんと赤ちゃんドラゴンと家族になりました。これからまだまだ仲間を増やしてスローライフするぞー!もふもふとも仲良くなるぞー!
初めて小説書いてます。完全な見切り発進です。基本ほのぼのを目指してます。生暖かい目で見て貰えらると嬉しいです。
※主人公、赤ちゃん言葉強めです。通訳役が少ない初めの数話ですが、少しルビを振りました。
※なろう様と、ツギクル様でも投稿始めました。よろしくお願い致します。
※カクヨム様と、ノベルアップ様とでも、投稿始めました。よろしくお願いしますm(_ _)m
クラウンクレイド零和
茶竹抹茶竹
SF
「私達はそれを魔法と呼んだ」
学校を襲うゾンビの群れ! 突然のゾンビパンデミックに逃げ惑う女子高生の祷は、生き残りをかけてゾンビと戦う事を決意する。そんな彼女の手にはあるのは、異能の力だった。
先の読めない展開と張り巡らされた伏線、全ての謎をあなたは解けるか。異能力xゾンビ小説が此処に開幕!。
※死、流血等のグロテスクな描写・過激ではない性的描写・肉体の腐敗等の嫌悪感を抱かせる描写・等を含みます。
わたしの婚約者は学園の王子さま!
久里
児童書・童話
平凡な女子中学生、野崎莉子にはみんなに隠している秘密がある。実は、学園中の女子が憧れる王子、漣奏多の婚約者なのだ!こんなことを奏多の親衛隊に知られたら、平和な学校生活は望めない!周りを気にしてこの関係をひた隠しにする莉子VSそんな彼女の態度に不満そうな奏多によるドキドキ学園ラブコメ。
騎士学院のイノベーション
黒蓮
ファンタジー
この世界では、人間という種が生存できる範囲が極めて狭い。大陸の大部分を占めているのは、魔物蔓延る大森林だ。魔物は繁殖能力が非常に高く、獰猛で強大な力を有しており、魔物達にとってみれば人間など餌に過ぎない存在だ。
その為、遥か昔から人間は魔物と戦い続け、自らの生存域を死守することに尽力してきた。しかし、元々生物としての地力が違う魔物相手では、常に人間側は劣勢に甘んじていた。そうして長い年月の果て、魔物達の活動範囲は少しずつ人間の住む土地を侵食しており、人々の生活圏が脅かされていた。
しかし、この大陸には4つの天を突くほどの巨大な樹が点在しており、その大樹には不思議と魔物達は近寄ろうとしなかった。だからこそ魔物よりも弱者であるはずの人間が、長い年月生き残ってきたとも言える。そして人々は、その護りの加護をもたらす大樹の事を、崇拝の念を込めて『神樹《しんじゅ》』と呼んでいる。
これは神樹の麓にある4つの王国の内の一つ、ヴェストニア王国に存在する学院の物語である。
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
イケメン歯科医の日常
moa
キャラ文芸
堺 大雅(さかい たいが)28歳。
親の医院、堺歯科医院で歯科医として働いている。
イケメンで笑顔が素敵な歯科医として近所では有名。
しかし彼には裏の顔が…
歯科医のリアルな日常を超短編小説で書いてみました。
※治療の描写や痛い描写もあるので苦手な方はご遠慮頂きますようよろしくお願いします。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる