新説・鶴姫伝！ 日いづる国の守り神 PART６ ～もう一度、何度でも！～

第六章その１０ ～決戦開始よ！～ 作戦名・日はまた昇る編

愛戦士・津和野見参！

「みなさまっ、アレの相手は私がっ！」

　津和野は滅茶苦茶はり切っていた。

　光の結界で巨大砂蟲サンドワームを包むと、そのまま締め砕いたのだ。

　丸ごと砕けば急所も何も関係ないからだが、それにしてもとんでもない威力だ。

　属性添加機はディアヌスの影響で、なかば神器と化しているため、津和野の気合いに呼応して力を増したのかも知れない。

「みなさまの幸せのため！　津和野かがみっ、ますます励みますわっ！」

「まったく、すぐ調子に乗るんだから。才次郎の事言えないですよ？」

　湖南が苦笑するが、津和野は目を閉じて静かに答える。

「愛とはそういうものなのです。そして出雲様は、縁結びの大神様は偉大ですっ！」

「それは否定しませんけどね」

　湖南は答えつつ、操縦席に飾ったそろばんを見つめた。

　あの日ディアヌスの攻撃で焼け焦げたそろばんは、木を継いで補修してある。

　かなり歪いびつではあったが、どうしても新調する気にならなかった。

　焼け焦げたそろばんが、ボロボロになっても立ち上がろうとしているこの国の姿と重なったからだ。

（頑張れあたしっ、ここが最後の正念場だ……！）

　……とは思うものの、湖南は内心緊張していた。

　相手は邪神、強大な力を持つ化け物中の化け物だ。

　霊的な修行をしてきた湖南だからこそ、普通のパイロット以上に邪神の恐ろしさが身にしみる。

　館の奥にいる『それら』の気を感じる度に、全身を鷲掴わしづかみにされたような恐怖に襲われるのだったが、それでも逃げるわけにはいかないのだ。

　湖南は緊張を振り払うべく大声で叫ぶ。

「さあ、さっさと勝って、早いトコ復興しなきゃ！　お稲荷様や恵比寿様にもご協力いただいて、商売繁盛・みんなで幸せ！　がっぽがっぽと儲けるからねっ！」

「あーあ、やだなあ近江おうみ商人はがめつくて」

　画面上の才次郎は、少しからかうようにそう言った。

「湖南もさ、もっと僕みたいに優雅に振る舞ってほしいね。そもそも僕の家は、加賀百万石の高貴な血筋で……」

　才次郎はそう言いながら、画面でチラチラこちらを見ている。

　どうやらツッコミが欲しいようだが……もしかしたらこちらの緊張を分かって、わざとふざけてくれたのかもしれない。

　こいつ、ちびのくせに……と苦笑して、湖南は少しだけ緊張がほぐれた。

「才次郎っ、あんたまた生意気言って。後でそろばん確定ね？」

　湖南の言葉に、才次郎は小さく「そうこなくちゃ」と呟いた。