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第六章その10 ~決戦開始よ!~ 作戦名・日はまた昇る編
東海地方の勇者達
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突撃を得意とする餓霊達が狩られた事で、敵の出方も変わってきた。
部隊の構成が変化し、砲撃型の餓霊が姿を見せ始めたのだ。
膨大な呪詛を宿した突起が打ち出され、周囲の地面を無差別にえぐった。
「むうぅっ、負けないよ~っ!」
だがこころはまるで怯まず、手にした巨大な砲で応戦していく。
元から大口径だったこころ機のキャノンは、ディアヌスの加護もあって恐ろしい威力へと進化していた。
砲身が青い光を噴き出すと、相手の魔法防御などお構いなしに撃ち抜き、打ち砕き、数体まとめて宙に舞い上がらせていく。
「やったあっ、どんどん行くよーっ!」
画面上で喜ぶこころだったが、彼女の機体に中型の餓霊が迫っていた。
そこを千春と玄太の機体がさえぎり、手早く始末していくのだ。
「砲撃型の餓霊か。なんかいつぞやを思い出すねえ」
かつての戦いが頭に浮かび、千春は不意に懐かしく思った。
「あの時も無茶だったけど、まさか邪神が相手だなんてね」
「けど姉御、随分楽しそうじゃないか。あいつらと戦うの、ほんとは嬉しいんだろ?」
「そっ、それは……どうだかね」
玄太の鋭いツッコミに、千春は曖昧に誤魔化すが、そこで画面上でこころが叫んだ。
「2人ともっ、変なのが来たよーっ」
千春が前方を確認すると、そこには異様な敵の姿があった。
凄まじく巨体で、ぶよぶよとした黒い肌。
芋虫のような首をもたげるが、目らしきものは見当たらない。
ゲームの砂漠ステージに出てくる巨大砂蟲のようだったが、いかにも痛覚の無さげな外見よろしく、こころの砲が直撃しても、体の一部が吹き飛ぶだけ。ひるまずこちらに進んでくるのだ。
そいつは長い首をもたげると、口腔から不気味な液体を噴き出し始めた。
液体が雨のように降り注ぐと、地面が蒸気を上げて溶け崩れていく。
玄太は冷静に相手を観察しながら言った。
「攻撃のリーチは短いけど、厄介な相手だな。こころの射撃も効いてないぜ」
「普通の餓霊じゃなさそうだね。こころで駄目じゃ、あたしらの武器でも効きが悪いし」
千春が対処法を考えていると、そこで頭上から高らかな声が響いた。
『急所以外を攻撃しても駄目ですわっ! それに急所が複数ありますっ! あれの相手は私がっ!』
「ええっ!?」
驚く千春をよそに、新手の重機がさっそうと目の前に着地した。
背中にコイルのような……いや、注連縄のように巨大な属性添加機を背負った人型重機は、以前富士市で目にした機体だ。
部隊の構成が変化し、砲撃型の餓霊が姿を見せ始めたのだ。
膨大な呪詛を宿した突起が打ち出され、周囲の地面を無差別にえぐった。
「むうぅっ、負けないよ~っ!」
だがこころはまるで怯まず、手にした巨大な砲で応戦していく。
元から大口径だったこころ機のキャノンは、ディアヌスの加護もあって恐ろしい威力へと進化していた。
砲身が青い光を噴き出すと、相手の魔法防御などお構いなしに撃ち抜き、打ち砕き、数体まとめて宙に舞い上がらせていく。
「やったあっ、どんどん行くよーっ!」
画面上で喜ぶこころだったが、彼女の機体に中型の餓霊が迫っていた。
そこを千春と玄太の機体がさえぎり、手早く始末していくのだ。
「砲撃型の餓霊か。なんかいつぞやを思い出すねえ」
かつての戦いが頭に浮かび、千春は不意に懐かしく思った。
「あの時も無茶だったけど、まさか邪神が相手だなんてね」
「けど姉御、随分楽しそうじゃないか。あいつらと戦うの、ほんとは嬉しいんだろ?」
「そっ、それは……どうだかね」
玄太の鋭いツッコミに、千春は曖昧に誤魔化すが、そこで画面上でこころが叫んだ。
「2人ともっ、変なのが来たよーっ」
千春が前方を確認すると、そこには異様な敵の姿があった。
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ゲームの砂漠ステージに出てくる巨大砂蟲のようだったが、いかにも痛覚の無さげな外見よろしく、こころの砲が直撃しても、体の一部が吹き飛ぶだけ。ひるまずこちらに進んでくるのだ。
そいつは長い首をもたげると、口腔から不気味な液体を噴き出し始めた。
液体が雨のように降り注ぐと、地面が蒸気を上げて溶け崩れていく。
玄太は冷静に相手を観察しながら言った。
「攻撃のリーチは短いけど、厄介な相手だな。こころの射撃も効いてないぜ」
「普通の餓霊じゃなさそうだね。こころで駄目じゃ、あたしらの武器でも効きが悪いし」
千春が対処法を考えていると、そこで頭上から高らかな声が響いた。
『急所以外を攻撃しても駄目ですわっ! それに急所が複数ありますっ! あれの相手は私がっ!』
「ええっ!?」
驚く千春をよそに、新手の重機がさっそうと目の前に着地した。
背中にコイルのような……いや、注連縄のように巨大な属性添加機を背負った人型重機は、以前富士市で目にした機体だ。
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