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第六章その10 ~決戦開始よ!~ 作戦名・日はまた昇る編
ジャパニーズ・ツンデレ。それは勇気の証
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館から出た餓霊どもは、左右に分かれて迫っている。
こちらの射線を避けて回り込み、艦隊の横っ腹を狙うのだろうが……それも人間達は予測済みだ。
「いよぉしっ、誘い出されてきやがったな!」
自称九州一の勇者・壮太は、そう言って拳と手を打ち付けた。
今はパイロットスーツを着ておらず、濃紺の剣道着と胴を着込んでいる。
最後の戦いは、必ずこの格好で出ると決めていたのだ。
壮太は人型重機を操作し、航空戦艦から降下させながら叫ぶ。
「志布志隊、出るぞっ! 船を守れっ、ここが男の見せ所だっ!」
そこで湯香里がツッコミを入れてくる。
「ちょっと壮太、女もいるわよ!」
「モ、モアイくんもいますけど」
肩に乗って腕組みするモアイのぬいぐるみに戸惑いながら、八千穂が言った。
「まったく、とんでもない展開だ。まさか邪神が相手なんてな」
晶はメガネの位置を手で直しながら言ったが、その口元は笑っていた。
「だが不思議と負ける気がしない。壮太の馬鹿がいるからかな」
「てめえ晶っ、最後まで口が減らねえなっ!」
怒る壮太だったが、そこでキャシーが元気良く言った。
「ワーオ、やっぱり2人は仲いいデスね!」
「ジャパニーズ・ツンデレってやつだ、キャシー」
ヘンダーソンはいつものようにタフな笑みを浮かべて言うが、そうこうする間に、餓霊の軍勢は目の前に迫りつつある。
九州で散々苦しめられた『火車』タイプの餓霊も見えたが、以前より更に強力な形に進化しているようだった。
壮太は迫る火車に機体の銃を向ける。
「うおっ、すげえなこりゃ……!」
属性添加機を起動させると、銃身付近に巨大な光の幾何学模様が幾重にも発生した。
以前の属性添加機とはケタ違いの発光であり、まさに神話の武器である。
「よおしっ、一番槍、いくぜえっ!!!」
発射された弾丸は、猛禽のような唸りを上げて、火車の車体を一撃で撃ち抜いていた。
車体に備わる火車の顔は、眉間に大穴を開けられている。
火車はそのままどろどろと溶け崩れていったのだ。
「よっしゃあ通じるっ、倒せるぞっ!!!」
壮太の雄叫びを皮切りに、隊員達は攻撃を開始した。
全員があの苦しい戦いを生き延び、火の国九州を守りぬいた勇者達……壮太にとって最高の仲間達である。
押し寄せる餓霊は膨大な数だったが、この仲間達がいる以上、負ける気なんて全くしないのだ。
こちらの射線を避けて回り込み、艦隊の横っ腹を狙うのだろうが……それも人間達は予測済みだ。
「いよぉしっ、誘い出されてきやがったな!」
自称九州一の勇者・壮太は、そう言って拳と手を打ち付けた。
今はパイロットスーツを着ておらず、濃紺の剣道着と胴を着込んでいる。
最後の戦いは、必ずこの格好で出ると決めていたのだ。
壮太は人型重機を操作し、航空戦艦から降下させながら叫ぶ。
「志布志隊、出るぞっ! 船を守れっ、ここが男の見せ所だっ!」
そこで湯香里がツッコミを入れてくる。
「ちょっと壮太、女もいるわよ!」
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「まったく、とんでもない展開だ。まさか邪神が相手なんてな」
晶はメガネの位置を手で直しながら言ったが、その口元は笑っていた。
「だが不思議と負ける気がしない。壮太の馬鹿がいるからかな」
「てめえ晶っ、最後まで口が減らねえなっ!」
怒る壮太だったが、そこでキャシーが元気良く言った。
「ワーオ、やっぱり2人は仲いいデスね!」
「ジャパニーズ・ツンデレってやつだ、キャシー」
ヘンダーソンはいつものようにタフな笑みを浮かべて言うが、そうこうする間に、餓霊の軍勢は目の前に迫りつつある。
九州で散々苦しめられた『火車』タイプの餓霊も見えたが、以前より更に強力な形に進化しているようだった。
壮太は迫る火車に機体の銃を向ける。
「うおっ、すげえなこりゃ……!」
属性添加機を起動させると、銃身付近に巨大な光の幾何学模様が幾重にも発生した。
以前の属性添加機とはケタ違いの発光であり、まさに神話の武器である。
「よおしっ、一番槍、いくぜえっ!!!」
発射された弾丸は、猛禽のような唸りを上げて、火車の車体を一撃で撃ち抜いていた。
車体に備わる火車の顔は、眉間に大穴を開けられている。
火車はそのままどろどろと溶け崩れていったのだ。
「よっしゃあ通じるっ、倒せるぞっ!!!」
壮太の雄叫びを皮切りに、隊員達は攻撃を開始した。
全員があの苦しい戦いを生き延び、火の国九州を守りぬいた勇者達……壮太にとって最高の仲間達である。
押し寄せる餓霊は膨大な数だったが、この仲間達がいる以上、負ける気なんて全くしないのだ。
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