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第六章その7 ~みんなで乾杯!~ グルメだらけの大宴会編
からし蓮根・イコールセクシー
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「まあめぐちゃん、久しぶり。来てくれて嬉しいわ」
「はいお久しぶり、相変わらず元気だね。それじゃさっさと用意するよ」
鶴に答えると、宗像さんは忙しく鍋を取り出し始めた。
透明のボトルに詰められた白濁スープ、細めの麺とくれば、これはもう何を作るか一目瞭然だった。
ストーブに乗せた鍋はたちまち沸騰し、おいしそうな匂いが漂い始める。
属性添加で直接水分子に熱を与えるので、湯もあっという間に湧くし、そもそも細麺だから火の通りも早いのである。
「さ、出来たよ。まだ試作品だけどね」
宗像さんは碗にラーメンをよそい、皆に振る舞ってくれた。
「まあ、これが本物のとんこつラーメンね!」
「おおお、明太子も乗ってるぜっ!」
「……平和になったら、一番に食べさせようと思ってね。頑張って準備してたのさ」
喜ぶ一同を眺め、宗像さんは少し照れくさそうに言った。
「お姫様に思い出を食べられたから、ちゃんと出来てるか不安だけど。まあまあいけると思うよ」
「それはもう大丈夫よきっと」
鶴は上機嫌でどんぶりを受け取ると、さっそくいただき始めた。
「おいしい、やっぱり本物は違うわね! こんな再現できるんなら、もう少し思い出をいただけば良かったわ!」
「そこは手加減してあげてよ」
コマが器用に箸を使いながらツッコミを入れるが、一方でこってり好きな若者達はテンションが上がりまくっていた。
「うーわ、懐かしいわ! めちゃくちゃ旨いでこれ!」
「これぞラーメンって感じだぜ! トッピングの明太子もうめえっ!」
「替え玉にうどんを入れてみなきゃな!」
「ねえ、非常食のつもりで猪の焼き豚?作ってたんだけど、のせてみる?」
カノンも上機嫌で猪チャーシューを配っている。
もちろんマンゴーもイカも最高の味だった。
「イカうめえ! ふっくらしてるのに歯ごたえあってうめえ!」
「マンゴーも甘すぎやろこれ! 買ったらいくらになるか怖いやんか」
盛り上がる第5船団の一同を眺め、壮太は誇らしげに言った。
「そーだろそーだろ、九州のもんは何でもうまいんだ。あっおばちゃん、俺達も替え玉な!」
「ちょっとあんたら、落ち着いて食べなよ。あとこれもあるんだから」
そう言って彼女が配ったのは、腕組みした蓮根が描かれたパッケージのお菓子である。
「こっちは天草司令からさ。まだ試作品だけど、からし蓮根のスナック。あの子も来たがってたけど、手が離せないって言ってたから」
『遠慮なくいただきます!』
一同は狂喜してぱくついた。
からしのピリッとした辛さ、揚げた蓮根の香ばしさと油の旨みがなんとも言えず、これはたまらない美味しさだった。
「雪菜さんもそうだけど、やっぱり天草さんも忙しいんだな」
誠が言うと、カノンがみかんジュースをついでくれながら言った。
「しょうがないわよ、全部の船団で戦うなんて初めてでしょ。部隊の再編だけでも大変だし、夜を徹した作業なんじゃない?」
そこで難波がまたもニヤニヤしながら言った。
「いや旨いわ。旨いけど鳴っち、からし蓮根食べたら気絶せーへん?」
「え、なんで???」
誠は意味が分からなかったが、カノンが再び赤くなっている。
夢中で食べる若者達を眺めながら、宗像さんはぽつりと言った。
「……命がけで戦おうっていうあんたらに、こんな事しか出来ないけど……もし怪我したら、あたしが責任をもって治してやるから」
「それじゃ、入院食はモツ鍋でお願いします」
誠が言うと、宗像さんは「バカ野郎」と涙ぐむのだったが、そこで傍らから声がかかった。
「はいお久しぶり、相変わらず元気だね。それじゃさっさと用意するよ」
鶴に答えると、宗像さんは忙しく鍋を取り出し始めた。
透明のボトルに詰められた白濁スープ、細めの麺とくれば、これはもう何を作るか一目瞭然だった。
ストーブに乗せた鍋はたちまち沸騰し、おいしそうな匂いが漂い始める。
属性添加で直接水分子に熱を与えるので、湯もあっという間に湧くし、そもそも細麺だから火の通りも早いのである。
「さ、出来たよ。まだ試作品だけどね」
宗像さんは碗にラーメンをよそい、皆に振る舞ってくれた。
「まあ、これが本物のとんこつラーメンね!」
「おおお、明太子も乗ってるぜっ!」
「……平和になったら、一番に食べさせようと思ってね。頑張って準備してたのさ」
喜ぶ一同を眺め、宗像さんは少し照れくさそうに言った。
「お姫様に思い出を食べられたから、ちゃんと出来てるか不安だけど。まあまあいけると思うよ」
「それはもう大丈夫よきっと」
鶴は上機嫌でどんぶりを受け取ると、さっそくいただき始めた。
「おいしい、やっぱり本物は違うわね! こんな再現できるんなら、もう少し思い出をいただけば良かったわ!」
「そこは手加減してあげてよ」
コマが器用に箸を使いながらツッコミを入れるが、一方でこってり好きな若者達はテンションが上がりまくっていた。
「うーわ、懐かしいわ! めちゃくちゃ旨いでこれ!」
「これぞラーメンって感じだぜ! トッピングの明太子もうめえっ!」
「替え玉にうどんを入れてみなきゃな!」
「ねえ、非常食のつもりで猪の焼き豚?作ってたんだけど、のせてみる?」
カノンも上機嫌で猪チャーシューを配っている。
もちろんマンゴーもイカも最高の味だった。
「イカうめえ! ふっくらしてるのに歯ごたえあってうめえ!」
「マンゴーも甘すぎやろこれ! 買ったらいくらになるか怖いやんか」
盛り上がる第5船団の一同を眺め、壮太は誇らしげに言った。
「そーだろそーだろ、九州のもんは何でもうまいんだ。あっおばちゃん、俺達も替え玉な!」
「ちょっとあんたら、落ち着いて食べなよ。あとこれもあるんだから」
そう言って彼女が配ったのは、腕組みした蓮根が描かれたパッケージのお菓子である。
「こっちは天草司令からさ。まだ試作品だけど、からし蓮根のスナック。あの子も来たがってたけど、手が離せないって言ってたから」
『遠慮なくいただきます!』
一同は狂喜してぱくついた。
からしのピリッとした辛さ、揚げた蓮根の香ばしさと油の旨みがなんとも言えず、これはたまらない美味しさだった。
「雪菜さんもそうだけど、やっぱり天草さんも忙しいんだな」
誠が言うと、カノンがみかんジュースをついでくれながら言った。
「しょうがないわよ、全部の船団で戦うなんて初めてでしょ。部隊の再編だけでも大変だし、夜を徹した作業なんじゃない?」
そこで難波がまたもニヤニヤしながら言った。
「いや旨いわ。旨いけど鳴っち、からし蓮根食べたら気絶せーへん?」
「え、なんで???」
誠は意味が分からなかったが、カノンが再び赤くなっている。
夢中で食べる若者達を眺めながら、宗像さんはぽつりと言った。
「……命がけで戦おうっていうあんたらに、こんな事しか出来ないけど……もし怪我したら、あたしが責任をもって治してやるから」
「それじゃ、入院食はモツ鍋でお願いします」
誠が言うと、宗像さんは「バカ野郎」と涙ぐむのだったが、そこで傍らから声がかかった。
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