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第四章その10 ~最終決戦!?~ 富士の裾野の大勝負編

4章あとがき

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4章までお付き合いいただき、本当にありがとうございます!

最強の魔王や闇の神人との戦い、なんとかうまく書けましたでしょうか。

作者的に科学の粋を集めた巨大ロボはロマンの塊ですので、書き終えて何か魂が救われた感じがします。



※※ちなみにディアヌスはラスボスではなく中ボスです。

純粋な強さとしては敵の中でトップクラスでしょうが、強さどうこうを超越したラスボスがまだいますので。

ディアヌスをどこか武人っぽく格好よく描いたのは、そもそも川の神様なので、恵みももたらす存在だからです。今は人間と敵対していますが……

なお、ディアヌスの名前は月と狩りの女神ディアーナからとりました。



※※ディアヌスや永津彦が巨大化する前の身長は、さすがにちょっと大きすぎました。

4メートル弱もあると、他のキャラと一緒に立つと顔が描けなくなっちゃいますね……

6章(PART6)で歩いている姿が大きくて周囲の人がびっくりする、という場面をやりたかったので、こんなに大きくなってしまいました。

いずれはもう少し縮めようと思います。



※※長いこと誠と一緒にいたのに、難波は誠が横須賀の奇跡に関わっていた事を知りませんでした。

これは誠が特に語らなかったせいもありますが、当時誠が幼く、しかも避難所でリンチにあった経験があるため、大人達が彼を守ろうと名前を伏せたのです。

いかに雪菜達が守っているとはいえ、下手に目立つとひどい目にあう可能性もありますし。何よりお父さんが高千穂研ですから。

あんなに頑張って勇気を振り絞った子を不幸にしたくないですもんね。



※※作者は基本的に登場人物の名前を考えるのは後回しにし、先にお話の内容を考えています。

でも弥太郎くんだけは、直感でぱっと作者のペンネームをあげました(漢字は変えています)

なんかね、何やっても報われにくいとことか応援したくなります。作者よりはるかに優秀でいい子ですけど、そういう星のもとに生まれるってあるもんです。でも彼はそんな事では腐りません。

埼玉とってもいい所です、アクセス最強だし住むには最高ですナマズ。

最近治安が悪いと聞きましたが、早くなんとかなって欲しいです。



※※今回はずっと描きたかったカノンの恋心がテーマですが、少しお色気シーン?が多いのは、それだけ彼女の体の変化を描くためです。

昔は脳筋でガサツだったカノンが人の世に住まい、500年を過ごす事で、今のように何でも出来るようになりました。

『もう一度ふられるために、500年待って彼と出会い、恋をしよう』

そんな可愛らしくもいじらしいカノンを描けていたら、とても幸せです。

カノンが腰の布を破り、へそ出しアマゾネスモードになるシーンはいつか絵に描きたいです。



※※カノンの角は、最近流行の『額から出るタイプ』ではなく、昔ながらの髪の毛の中から生えているタイプです。額から出るものは、生え際を想像すると怖かったので……

歯と歯茎みたいな感じなのか、それとも爪みたいに甘皮がついているのかは分かりませんが、なんとなく髪の毛の中からの方が想像してみて好みでした。

牛やヤギも毛の中から角が生えていても変じゃないので、個人的にこれでよしとします。



※※お気づきの通り、望月もちづきカノンという名前は、華南王かなんおうという名誉称号と七月なづきという本名を組み合わせたものです。

「七」という漢数字から「亡」というパーツに変わっているのは、「鬼としての私は死んだ、私は生まれ変わった」という意味であり、人として生きるカノンの決意を表しています。

また、華南王という称号は、「鬼や災いは丑寅うしとら(※北東)から来る」と人間達が信じていた事に由来します。

鬼達はそれを知っていて、「北東から人間達の世界(※南西方向)に攻め込み、鬼神族に華々はなばなしい栄光をもたらす存在」としてカノンに『華々しい南の王』、すなわち『華南王かなんおう』という鬼神族最高の称号を与えて期待しました。

しかし実際には、里のある岡山県北部から南西にある大三島にたどり着いたカノンは、人に恋して鬼である事を捨ててしまいますから、けっこう皮肉な結果になっています。

カノンも本当はこの鬼由来の称号を捨てようと思ったのですが、称号どおりに南西の人の世界を目指した事で前世の誠と出会えたので、名前として残してしまったのです。いじらしい子ですよねほんとに。

南に行って人間を討ち滅ぼすはずが、運命のいたずらで人に恋してしまった。その「予定とちょっとちがった」という意味合いと、「私にはもう角はない」という意味から、「ナ」の左右に飛び出た角を一本ずつとり、カナンから横線を引いたカノンになったのです。

だから誠に「カノン」と呼ばれるたびに、「南に来てあなたと会えたの」「角やしがらみを捨て、人としてあなたと過ごしたの」という事を思い出し、カノンは内心じーんとしていたのです。もちろんそれを表に出さないよう、ツンツンしていたのはご愛嬌あいきょうですが。

……もうちょっと細かい事を言うと、月の漢字や部首の由来には①空の月を表すもの②お肉を表すもの③舟を表すものの3種類があるそうです。

カノン的には、「望」に入っている月は元の名前由来で特に気にしていませんが、2個目の大きな「月」は舟や猪肉を意味します。

三島水軍の舟に乗って戦う前世の誠を好きだったけど、自分は舟に乗れずに死に行く彼を見送った事と、そんな彼が生まれ変わったら、得意の猪料理を食べさせてあげたいなあ、という愛情と寂しさがごたまぜになっている感じです。

あの小太郎や子供達が、自分のとってきた猪肉で元気になっていく様子を、「食べさせる喜び、育てる喜び」として覚えていたからです。もしあなたが困っても、私が獲物をとってきて食べさせるわ、という感じだと思って下さい。

「望」と「カノン」で「月」をはさんでいるのは、今度はあなたの舟を抱きしめて離さない、最後まで一緒にいて守り続ける、という隠喩ですね。

のぞみカノン」では珍しいので怪しまれる、だからあと1文字何がいいかなあ、と辞書を睨んで考えた末、「舟!? お肉!? だったらこれじゃん!」と「月」に決まったというわけです。

(※実際には福井県あたりにのぞみさんは多いのですが、カノンはそれを知りませんでした)

ちなみにこの名を考えたのは、生まれ変わった誠に会いに行けると分かった時ですから、本当に直前の直前です。ドキドキしながら「どんな名前にしたらいいんだろう」と考え、ペンを持って頭を抱えながら「鬼と分からない方がいい」「でも少しは(魂の記憶で)覚えててくれたら嬉しいな」と悩みながら決めました。

なお、なっちゃんのアクセントは小説の坊ちゃんと同じで、もっちゃんは池に何かを落としたボッチャンと同じです。

あと、元の名前の『七月』を『なづき』と読むのは当然当て字です。

これはシンプルに旧暦の七月に生まれたという事情の他に、『なな』の文字を1つに重ねる、つまり人と鬼を重ねて統べ、人間の世界も支配する、という意味がありました。

でも結局カノンは『』を捨ててしまったので、これも名前通りの皮肉になりましたね……



米米なお、干し飯は結構硬いですので、お湯で戻さずに食べると歯を傷める方もいらっしゃると思います。作中ではカリっと焦がしてあるので、恐ろしく固めのせんべいみたいな感じでしょうか。

もしそのまま食べられる方がおられましたらお気をつけ下さい。

誠の歯の強さはお母さん譲りで、お母さんについてはこの後の5章で紹介しています。



※※また五老鬼は江戸時代の連帯責任制度『五人組』から取りました。「誰かが逃げれば残る奴が酷い目にあうぞ」と脅し、里に縛り付ける掟という意味で五人組というわけです。

なお、さすがにカノンと刹鬼姫は身分が高すぎ、そうしたルールの適用外ですが、剛角や紫蓮は普通に連帯責任を負っていました。

だから紫蓮は剛角が里抜けを決意するまで我慢していましたし、剛角が里抜け確定になった時は喜んで離反したのです。ああ見えて仲間に優しいんです紫蓮は。

ただし理知的なぶん、「鬼の勘」としては剛角よりにぶく、カノンの正体にも剛角の方が無意識に感づいています。



※※カノンが逃げまどった海辺の道は、実際に舗装される前は磯場だったと聞いた気がします。昔は阿奈波神社も船でお参りしていたみたいですし。

でも砂浜とか砂のある道の方が絵的に映えるのでそうしてみました。

砂を蹴立てて走ったり、倒れて砂がついた方がムードが……だって灰かぶり姫シンデレラですから!



お話はまだ続きますが、最終的にカノンが幸せになれるのかどうか、楽しみにお読みいただけましたら嬉しいです。完結まで、どうぞお付き合いよろしくお願いします。

 2021年11月 朝倉矢太郎(BELL☆PLANET)(旧ペンネーム/アサクラ、くら太郎、しあわせの鐘etc)
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