上 下
106 / 110
第四章その10 ~最終決戦!?~ 富士の裾野の大勝負編

お前しか見てない!

しおりを挟む
 激しい打ち合いの末、誠達は再び距離を離した。

 ……いや、距離をとりたかったのではなく、よろめいて自然に間合いが離れたのだ。

 ディアヌスは殺意で血走った目を見開き、えた。

「もう永津彦など関係ない!! 貴様だけを討ち倒す!!!」

 誠も応じた。

「ふざけるな!! こっちは最初から、お前しか見てないっ!!!」

 ディアヌスは雄叫びを上げると、全身から凄まじい邪気を立ち昇らせた。間違いなく全ての力をつぎ込んで、この戦いに終止符をうつつもりだ。

 誠も機体を操作すると、各種兵装を一斉解除パージした。

 砲を捨てる、背部装備マウントした副兵装サブウェポンたぐいも捨てる。

 防御に使う力だって惜しくて、装甲各部の電磁シールドも解除した。

 全てのエネルギーを刀身に、そして人工筋肉に。ただ最後の一撃に、全身全霊を注ぎ込むためにだ。

 全ての属性添加機が電磁過負荷オーバーロード上等で唸りを上げ、魔王の全力に対抗するべく、青い光が火柱のように立ち昇った。

 やがてディアヌスは大地を蹴立て、渾身の力で切りかかってくる。間違いなく過去最高の一撃であり、下手に受ければ一瞬で終わりだ。

「おおおおおおおっっっ!!!」

 誠も同時に前に出た。思考するよりも早く、機体が動いたのだ。

 技術も作戦も何もない、最後の最後は、ただ前に出てぶつかるのみ。本能のままの行動である。

 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 両者がぶつかり合った瞬間、凄まじい火花が立ち昇った。

 互いの刃に宿る力が、目もくらむ光となって周囲に発散されていく。

 膨大な力の余波を受け、大地そのものが揺れ動いている。

 必死に太刀を握り、吹き飛びそうになる機体を踏ん張らせながら、誠は歯を食いしばった。

 もう少しで眼前の魔王に届く。

 あと少し……あともう少しだけ出力が上がれば……!!!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

熊野古道 神様の幻茶屋~伏拝王子が贈る寄辺桜茶~

ミラ
キャラ文芸
社会人二年目の由真はクレーマーに耐え切れず会社を逃げ出した。 「困った時は熊野へ行け」という姉の導きの元、熊野古道を歩く由真は知らぬ間に「神様茶屋」に招かれていた。 茶屋の主人、伏拝王子は寄る辺ない人間や八百万の神を涙させる特別な茶を淹れるという。 彼が茶を振舞うと、由真に異変が── 優しい神様が集う聖地、熊野の茶物語。

黒の騎士と三原色の少女たち

スナオ
キャラ文芸
 四方院家。それは天皇を始め世界中の王族とコネクションを持つ大家である。その大家である四方院家の命令で特別相談役の水希桜夜は青森に向かっていた。そこで自身の運命を揺るがす出会いがあるとも知らずに……。  ドライだけど優しい青年と個性豊かな少女たちのコントラクトストーリー、始まります!

致死量の愛と泡沫に+

藤香いつき
キャラ文芸
近未来の終末世界。 世間から隔離された森の城館で、ひっそりと暮らす8人の青年たち。 記憶のない“あなた”は彼らに拾われ、共に暮らしていたが——外の世界に攫われたり、囚われたりしながらも、再び城で平穏な日々を取り戻したところ。 泡沫(うたかた)の物語を終えたあとの、日常のお話を中心に。 ※致死量シリーズ 【致死量の愛と泡沫に】その後のエピソード。 表紙はJohn William Waterhous【The Siren】より。

福沢時計店の思い出旅行『キ』

キャラ文芸
とある田舎町の辺鄙な場所に、一つの時計店がひっそりと佇んでいる。 かつて過ごした過去をもう一度見たい。 過去の自分を導いて今を変えたい。 もう一度過去をやり直して、今を変えたい。 「旅行祈」と「旅行記」と「旅行機」。 それぞれの目的を持った人々に、「旅行『キ』」は授けられる。

後宮一の美姫と呼ばれても、想い人は皇帝(あなた)じゃない

ちゃっぷ
キャラ文芸
とある役人の娘は、大変見目麗しかった。 けれど美しい娘は自分の見た目が嫌で、見た目を褒めそやす人たちは嫌いだった。 そんな彼女が好きになったのは、彼女の容姿について何も言わない人。 密かに想いを寄せ続けていたけれど、想い人に好きと伝えることができず、その内にその人は宦官となって後宮に行ってしまった。 想いを告げられなかった美しい娘は、せめてその人のそばにいたいと、皇帝の妃となって後宮に入ることを決意する。 「そなたは後宮一の美姫だな」 後宮に入ると、皇帝にそう言われた。 皇帝という人物も、結局は見た目か……どんなに見た目を褒められようとも、わたくしが好きなのはあなたじゃない。

お犬様のお世話係りになったはずなんだけど………

ブラックベリィ
キャラ文芸
俺、神咲 和輝(かんざき かずき)は不幸のどん底に突き落とされました。 父親を失い、バイトもクビになって、早晩双子の妹、真奈と優奈を抱えてあわや路頭に………。そんな暗い未来陥る寸前に出会った少女の名は桜………。 そして、俺の新しいバイト先は決まったんだが………。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

処理中です...