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第四章その5 ~さあ反撃だ!~ やる気満々、決戦準備編
ディアヌスの再侵攻。でも負けない…!
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炎の模様が施された航空機からは、懐かしい九州の猛者達の機体が降りてきている。
「いよっ、元気にしてたか!」
モニターに映る日に焼けた少年は、九州の雄・志布志隊の隊長たる志布志壮太だ。
その横には、旅館風のレプリカ着物を着た愛想のいい少女、国東湯香里が映る。
「お姫様も鳴瀬くんも元気? 九州は着々と復興中だから、こんど温泉入りに来てね!」
「ま、壮太のお守りがきつくなければだが。こっちはいつでも大歓迎さ」
少しサイズの合わないメガネの位置を直しながら言うクールな少年は、同じ隊の嬉野晶。
「あ、あの、あれから沢山頑張りまして、畑もすごく広げたんです! だから、ぜひぜひ食べに来て下さいね!」
日本人形のように髪を伸ばし、顔を真っ赤にしながらマンゴーを掲げるのは、ぬいぐるみと果物作りが得意な青島八千穂。
「私達も忘れちゃ駄目デース!」
両手に応援用のポンポンを持ち、豊かな肢体を星条旗のタンクトップに包んだ少女・キャシーが叫ぶと、やたら男前なアフリカ系アメリカ人のヘンダーソンが後を続ける。
「もちろん沖縄料理も忘れちゃ困る! 合衆国の料理と合わせて、LLサイズで用意しておくさ!」
「そ、それは……食べきれるかな……?」
誠は答えつつ、そこで言葉に詰まった。
熱い何かが胸に渦巻き、うまく言葉が出てこない……!
今まで一緒に戦った各地の仲間が、こうして助けに来てくれたのだ。
負傷した第4船団のパイロット達、そして敵の攻撃から能登半島を守らねばならない第2船団のパイロット達は来られなかったが、彼らからも、熱いメッセージが届いていた。
メールの映像を開くと、一斉にわめいていてよく分からないが、熱意だけは伝わってくる。
(これなら絶対、負けるわけない……!)
誠は強く拳を握るが、そこでモニターに警告表示が現れた。
「何だ……!?」
誠が画面を確認すると、全ての船団・全ての作業人員に対し、緊急警報が送られていたのだ。
そこには短く記されている。
『ディアヌス復活、再侵攻を開始せり』
あの光の牢獄を抜け、魔王が再び動き始めたのだ。
圧倒的な力を持つ神代の邪神が、明確な殺意を持って近づいて来る。
普通なら怯えるような出来事であろうが、人々の反応は間逆だった。
愛する郷里を、そして家族を……全てを奪った魔王との決戦に向けて、更なる闘志を燃え上がらせたのだ。
この国に生きとし生ける者達のために、何がなんでも絶対勝つ……!
そんな言葉にならない熱い思いが、列島全体を包んでいるかのようだった。
「いよっ、元気にしてたか!」
モニターに映る日に焼けた少年は、九州の雄・志布志隊の隊長たる志布志壮太だ。
その横には、旅館風のレプリカ着物を着た愛想のいい少女、国東湯香里が映る。
「お姫様も鳴瀬くんも元気? 九州は着々と復興中だから、こんど温泉入りに来てね!」
「ま、壮太のお守りがきつくなければだが。こっちはいつでも大歓迎さ」
少しサイズの合わないメガネの位置を直しながら言うクールな少年は、同じ隊の嬉野晶。
「あ、あの、あれから沢山頑張りまして、畑もすごく広げたんです! だから、ぜひぜひ食べに来て下さいね!」
日本人形のように髪を伸ばし、顔を真っ赤にしながらマンゴーを掲げるのは、ぬいぐるみと果物作りが得意な青島八千穂。
「私達も忘れちゃ駄目デース!」
両手に応援用のポンポンを持ち、豊かな肢体を星条旗のタンクトップに包んだ少女・キャシーが叫ぶと、やたら男前なアフリカ系アメリカ人のヘンダーソンが後を続ける。
「もちろん沖縄料理も忘れちゃ困る! 合衆国の料理と合わせて、LLサイズで用意しておくさ!」
「そ、それは……食べきれるかな……?」
誠は答えつつ、そこで言葉に詰まった。
熱い何かが胸に渦巻き、うまく言葉が出てこない……!
今まで一緒に戦った各地の仲間が、こうして助けに来てくれたのだ。
負傷した第4船団のパイロット達、そして敵の攻撃から能登半島を守らねばならない第2船団のパイロット達は来られなかったが、彼らからも、熱いメッセージが届いていた。
メールの映像を開くと、一斉にわめいていてよく分からないが、熱意だけは伝わってくる。
(これなら絶対、負けるわけない……!)
誠は強く拳を握るが、そこでモニターに警告表示が現れた。
「何だ……!?」
誠が画面を確認すると、全ての船団・全ての作業人員に対し、緊急警報が送られていたのだ。
そこには短く記されている。
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あの光の牢獄を抜け、魔王が再び動き始めたのだ。
圧倒的な力を持つ神代の邪神が、明確な殺意を持って近づいて来る。
普通なら怯えるような出来事であろうが、人々の反応は間逆だった。
愛する郷里を、そして家族を……全てを奪った魔王との決戦に向けて、更なる闘志を燃え上がらせたのだ。
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