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第四章その5 ~さあ反撃だ!~ やる気満々、決戦準備編
倒れたら追いギョーザ
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誠達はやる気満々で現世に戻った。
通路を歩きながら、コマが誠の方を振り返る。
「黒鷹、よく頑張ったね。前はあんなに永津様の迫力にやられてたのに」
「ヒメ子もコマも大変だからな。少しは俺も頑張らないとさ……!」
誠達は会話しながら、皆のいる待機所のドアをくぐった。
格納庫に備えられた待機所、つまりパイロット用の休憩ルームは、椅子や冷蔵庫、仮眠用のベッドなども常備されている。
丁度大きな工場内に、箱型のプレハブ小屋が入っているようなものだ。
室内には難波やカノン、第3船団のパイロット達がいたし、愛しい雪菜の姿も見えた。
雪菜は誠に気が付くと、立ち上がって駆け寄ってきた。
「お帰りなさい鳴瀬くん、大変だったわね! 目が覚めたって聞いたけど、すぐ来られなくて御免なさいね」
「いえ、雪菜さんこそ大変で。増援はどんな感じですか?」
「バッチリよ、各船団から続々と集結中。これなら魔王でも何でも来いって感じ」
雪菜はぐっと拳を握ってみせたが、それからふと真面目な顔になった。
「……本当に、いつもいつもお疲れ様。九州に行って、それからすぐに北陸で……今度は関東で魔王と戦うだなんて。私達大人が、鳴瀬くん達に頼りすぎよね……?」
雪菜は少し目を潤ませていた。
「い、いえ、雪菜さんの方が、ずっと……」
だが誠がそこまで言った時、急激に視界が揺らいだ。
(…………っっっ!!?)
景色がぐるぐると回転し、手足の先からしびれるような感覚があって、気付くとベッドに横たわっていたのだ。
皆が心配そうに誠の様子をうかがっている。
「平気なつもりだったけど……永津彦さんの気にやられたのかな……?」
誠は苦笑いし、慌てて身を起こそうとするが、鳳が押し止める。
「いえ、これは違いますよ。永津彦様は戦神ですが、人を傷つけるお方ではございません」
鳳は誠の体を何箇所か触り、霊気の様子を確かめている。
「だいぶ落ち着いてきていますが……かなり霊気が混乱していますね。あの闇の神人の……我が姉の呪詛を受けたのです。魂には甚大なダメージがありますし、目覚めてすぐ戦えただけでも凄いと思います」
「けど、これから魔王と戦うっていうのに……」
誠は無理に上体を起こそうとするが、そこでギョーザの巨大抱き枕が誠の上に落下した。
「ぐはっ!?」
ダウンした誠に更に追いギョーザをしながら、パイロットのひかるが言う。
「まあまあ、焦ってもしょーがないじゃん。私らだって、今回は機体の修理でお留守番だもん。おいしいギョーザでも食べて、回復したら戦おうよ!」
先の基地防衛の影響で、ひかる達の機体は修理中なのだ。
弥太郎は袋から黄色いナマズのぬいぐるみを取り出し、少し迷って再び戻している。
あれは多分、彼の地元に飾られていた黄金のナマズ像を模したのだろう。キャラが薄いのを気にして作ったのだろうか。
「ま、鳴っちはいつもやりすぎやから。うちらも機体がボロボロやし、今回は留守番やな」
難波も優しい言葉をかけてくれるが、それでも誠は納得出来ないものがあった。
「で、でも俺が危険な策を発案したのに……」
だが誠がそこまで言った時、眩しい光が一同を照らした。
待機所の窓に向けて、複数のライトが照射されたのだ。
今まで優しい顔だった海老名が、急に生き生きして怒鳴った。
「こんな事するのは、あのマッドサイエンティスト以外にいないわっ!」
そこで笑い声が響き渡る。
「ぬわーはっはっは、流石は海老名くん、我が最良の理解者よ!」
「り、理解者って……最良のっ……!?」
海老名は顔から湯気を出してたじろいだが、そこでスポットライトは一同から逸れた。
ぐるぐると格納庫中を駆け巡ったライトは、再び一箇所に集中する。
そこには例のごとく、白衣の筑波が立っていた。
腕組みし、大口を開いて高笑いしながら、彼は段々近づいてくる。
彼が立っているのは、牽引用の台車に乗った巨大な何かだ。
「次から次へとおもろい船団やなあ」
難波が言うと、台車は大きな音を立てて停止する。
「フハハ、それじゃあ鳴瀬くん、リハビリがてらこいつの調整に付き合ってくれたまえ。最高レベルのパイロットじゃなきゃ、このジャジャ馬は扱えないからな!」
筑波は誇らしげに両手を広げる。
「始めまして諸君! 対ディアヌス最終決戦用兵器、『震天』だ!!」
通路を歩きながら、コマが誠の方を振り返る。
「黒鷹、よく頑張ったね。前はあんなに永津様の迫力にやられてたのに」
「ヒメ子もコマも大変だからな。少しは俺も頑張らないとさ……!」
誠達は会話しながら、皆のいる待機所のドアをくぐった。
格納庫に備えられた待機所、つまりパイロット用の休憩ルームは、椅子や冷蔵庫、仮眠用のベッドなども常備されている。
丁度大きな工場内に、箱型のプレハブ小屋が入っているようなものだ。
室内には難波やカノン、第3船団のパイロット達がいたし、愛しい雪菜の姿も見えた。
雪菜は誠に気が付くと、立ち上がって駆け寄ってきた。
「お帰りなさい鳴瀬くん、大変だったわね! 目が覚めたって聞いたけど、すぐ来られなくて御免なさいね」
「いえ、雪菜さんこそ大変で。増援はどんな感じですか?」
「バッチリよ、各船団から続々と集結中。これなら魔王でも何でも来いって感じ」
雪菜はぐっと拳を握ってみせたが、それからふと真面目な顔になった。
「……本当に、いつもいつもお疲れ様。九州に行って、それからすぐに北陸で……今度は関東で魔王と戦うだなんて。私達大人が、鳴瀬くん達に頼りすぎよね……?」
雪菜は少し目を潤ませていた。
「い、いえ、雪菜さんの方が、ずっと……」
だが誠がそこまで言った時、急激に視界が揺らいだ。
(…………っっっ!!?)
景色がぐるぐると回転し、手足の先からしびれるような感覚があって、気付くとベッドに横たわっていたのだ。
皆が心配そうに誠の様子をうかがっている。
「平気なつもりだったけど……永津彦さんの気にやられたのかな……?」
誠は苦笑いし、慌てて身を起こそうとするが、鳳が押し止める。
「いえ、これは違いますよ。永津彦様は戦神ですが、人を傷つけるお方ではございません」
鳳は誠の体を何箇所か触り、霊気の様子を確かめている。
「だいぶ落ち着いてきていますが……かなり霊気が混乱していますね。あの闇の神人の……我が姉の呪詛を受けたのです。魂には甚大なダメージがありますし、目覚めてすぐ戦えただけでも凄いと思います」
「けど、これから魔王と戦うっていうのに……」
誠は無理に上体を起こそうとするが、そこでギョーザの巨大抱き枕が誠の上に落下した。
「ぐはっ!?」
ダウンした誠に更に追いギョーザをしながら、パイロットのひかるが言う。
「まあまあ、焦ってもしょーがないじゃん。私らだって、今回は機体の修理でお留守番だもん。おいしいギョーザでも食べて、回復したら戦おうよ!」
先の基地防衛の影響で、ひかる達の機体は修理中なのだ。
弥太郎は袋から黄色いナマズのぬいぐるみを取り出し、少し迷って再び戻している。
あれは多分、彼の地元に飾られていた黄金のナマズ像を模したのだろう。キャラが薄いのを気にして作ったのだろうか。
「ま、鳴っちはいつもやりすぎやから。うちらも機体がボロボロやし、今回は留守番やな」
難波も優しい言葉をかけてくれるが、それでも誠は納得出来ないものがあった。
「で、でも俺が危険な策を発案したのに……」
だが誠がそこまで言った時、眩しい光が一同を照らした。
待機所の窓に向けて、複数のライトが照射されたのだ。
今まで優しい顔だった海老名が、急に生き生きして怒鳴った。
「こんな事するのは、あのマッドサイエンティスト以外にいないわっ!」
そこで笑い声が響き渡る。
「ぬわーはっはっは、流石は海老名くん、我が最良の理解者よ!」
「り、理解者って……最良のっ……!?」
海老名は顔から湯気を出してたじろいだが、そこでスポットライトは一同から逸れた。
ぐるぐると格納庫中を駆け巡ったライトは、再び一箇所に集中する。
そこには例のごとく、白衣の筑波が立っていた。
腕組みし、大口を開いて高笑いしながら、彼は段々近づいてくる。
彼が立っているのは、牽引用の台車に乗った巨大な何かだ。
「次から次へとおもろい船団やなあ」
難波が言うと、台車は大きな音を立てて停止する。
「フハハ、それじゃあ鳴瀬くん、リハビリがてらこいつの調整に付き合ってくれたまえ。最高レベルのパイロットじゃなきゃ、このジャジャ馬は扱えないからな!」
筑波は誇らしげに両手を広げる。
「始めまして諸君! 対ディアヌス最終決戦用兵器、『震天』だ!!」
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