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第四章その3 ~ようこそ関東へ!~ くせ者だらけの最強船団編
ちょい悪オヤジな船団長
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難波は頭の後ろで手を組みつつ、楽しそうに感想を述べる。
「なんや、よお分からんけどオモロいおっさんやなあ」
「面白いじゃ済まないのよっ!」
海老名が、そして他のパイロットも、恐ろしい顔で難波を取り囲んだ。
「冗談半分でとんでもない武装を追加して、毎回こっちは実験台なの! 何度死ぬような目に遭ったことか……!」
「せやけど関西やとクラスの半分はこんなもんやで」
「ここは関東っ! 何よその魔境は!」
「そうだ、大阪じゃ私がスタンダードだ」
筑波氏は極めて適当な理解で頷くと、海老名の頭に手を置いた。
「まあ冗談はこのぐらいにして、新しい装備はどうだ龍恋君」
「そ、それは……」
遠慮なく頭をわしわしする筑波に戸惑いながら、海老名は答える。
「納豆のCMはやめていただくとして、性能は……いつも通り申し分ないです。ただちょっと、ゴテゴテして恥ずかしいんですが……」
「なーにを言うか、こういうのは見た目が大事なんだ。仮にも日本を背負う第3船団のエース達が、そんな引っ込み思案でどうする! 若者はもっとド派手に! 少しは伊能を見習ったらどうだ?」
筑波は上機嫌で海老名の頭をポムポム叩くが、難波は不思議そうに首をかしげた。
「てか、伊能って誰や?」
難波は順番にその場の皆を見渡していく。
学ラン姿の翔馬、愛想のいい晃、赤い顔で頭を叩かれている海老名。無意味に上機嫌な筑波を経て、最後に弥太郎に目を留めた。
「分かったで、あんたが伊能や」
「いや、弥太郎だっ! 春日部弥太郎っ! そんなキャラ薄いかなあ!?」
必死にツッコミを入れる弥太郎に満足し、難波は筑波に向き直った。
「で、筑波のおっちゃん、誰が伊能なん?」
「ちょっとこのみ、地元の親戚じゃないんだから……」
たしなめるカノンだったが、そこで再びスポットライトが灯った。ライトはやはりカノン達が乗ってきた航空輸送機を照らしている。
やがて輸送機の屋根が開き、中から何かが競り上がってきた。
「うわっ、いつの間にあんな機能つけてんだよ」
翔馬がドン引きで呟くが、そこで競りあがった物が静止した。どうやら立て看板のようだが、そこにはこう記されていた。
『しばらく旅に出るぜ! BY伊能』
「あーすまんすまん、そうだったな」
筑波は何でもない事のように笑うが、そこで海老名が血相を変えた。
「いや、船団長でしょ伊能さんはっ! 何適当に納得してるんですか! ディアヌスが来るんですよ!? 留守してどうすんの!」
白衣の胸倉を掴み、ぐわんぐわん揺さぶる海老名だったが、そこで筑波がベルトのスイッチを押した。
「そうじゃない、あれは出張用のやつだ。すまんってのはボタンを間違えたって意味だ」
「間違えたあ!? 間違えたってどういう事よ!」
最早ヤンキーのような剣幕の海老名だが、そこで航空機の天井が開き、1人の人物が競りあがってくる。
「な、なんであんなとこに人が収納されてんだよ……」
翔馬が頭を抱えている。
現れたのはスーツにトレンチコートを羽織り、ボルサリーノ帽を被った中年男性だった。
顔にはやたら渋みがあり、黙っていれば映画俳優のようにも見えるのだったが、彼は気さくに手を上げた。
「よっ、しばらく!」
『せっ、せせせ、船団長っ!!!???』
パイロット連中、いや格納庫にいた全員が絶叫した。
「なななっ、何でそんなとこにいるんですかっ! 天井でしょ、さっき戦闘してたんですよ!?」
海老名が叫ぶと、船団長の伊能はゆっくりと輸送機の上を歩いてくる。
天井は次々開き、噴水や電飾のライトが飛び出してきた。
なぜか太鼓や笛を持った人、演歌歌手?まで現れ、鳩が飛ぶわ桜が舞うわの混沌になった。
「ぬわーっはっは、うまくいった! さすがは私、天才の中の天才だな!」
仕掛けを作った張本人の筑波は胸を張っていたが、海老名が足を掴んで引き倒し、ジャイアントスイングで振り回し始めた。
「もう許さないわ、こんのマッドサイエンティストっ! あれだけ余計な改造しないでって言ってるでしょうがっ!」
「海老名っち、もうキャラ壊れとるやん……」
「最初の上品さが見る影もないわね……」
難波とカノンがドン引きしていると、翔馬・ひかる・弥太郎の3人がプラカードを掲げた。
『海老名じゃ』
『なくても』
『つっこまざるをえないナマズ』
という事らしい。
「でもええわあ、こういうコテコテ。実家に帰ったような気がするわ」
難波は楽しそうだったが、そこで船団長の伊能は、ひらりと輸送機から飛び降りた。
続いて飛び降りる演歌歌手や鳩をよそに、伊能氏は皆に声をかけた。
「いや、若ぇ衆は元気そうだな。海老名の娘も、段々親に似てきたぜ。あいつら2人とも、湘南でブイブイ言わせてたもんだ」
「そ、それは生前お世話になりましたけど……じゃなくて船団長っ、勝手に天井に潜まないで下さい。あれで敵地に降りたんですよ!」
「いやそれは戻ってから隠れたんだって。こっちもそんなに暇じゃないぜ?」
どう考えても暇やん、とツッコミを入れる難波をよそに、伊能氏はボルサリーノ帽の角度を手で直した。
「日本全国津々浦々、足で回って交渉しまくり。おかげで希望の光も見えてきたぜぇ?」
『希望の光?』
不思議そうに尋ねる一同に、伊能は両手を広げて言った。
「そうだ、希望だ。ちょっと見てみな」
「なんや、よお分からんけどオモロいおっさんやなあ」
「面白いじゃ済まないのよっ!」
海老名が、そして他のパイロットも、恐ろしい顔で難波を取り囲んだ。
「冗談半分でとんでもない武装を追加して、毎回こっちは実験台なの! 何度死ぬような目に遭ったことか……!」
「せやけど関西やとクラスの半分はこんなもんやで」
「ここは関東っ! 何よその魔境は!」
「そうだ、大阪じゃ私がスタンダードだ」
筑波氏は極めて適当な理解で頷くと、海老名の頭に手を置いた。
「まあ冗談はこのぐらいにして、新しい装備はどうだ龍恋君」
「そ、それは……」
遠慮なく頭をわしわしする筑波に戸惑いながら、海老名は答える。
「納豆のCMはやめていただくとして、性能は……いつも通り申し分ないです。ただちょっと、ゴテゴテして恥ずかしいんですが……」
「なーにを言うか、こういうのは見た目が大事なんだ。仮にも日本を背負う第3船団のエース達が、そんな引っ込み思案でどうする! 若者はもっとド派手に! 少しは伊能を見習ったらどうだ?」
筑波は上機嫌で海老名の頭をポムポム叩くが、難波は不思議そうに首をかしげた。
「てか、伊能って誰や?」
難波は順番にその場の皆を見渡していく。
学ラン姿の翔馬、愛想のいい晃、赤い顔で頭を叩かれている海老名。無意味に上機嫌な筑波を経て、最後に弥太郎に目を留めた。
「分かったで、あんたが伊能や」
「いや、弥太郎だっ! 春日部弥太郎っ! そんなキャラ薄いかなあ!?」
必死にツッコミを入れる弥太郎に満足し、難波は筑波に向き直った。
「で、筑波のおっちゃん、誰が伊能なん?」
「ちょっとこのみ、地元の親戚じゃないんだから……」
たしなめるカノンだったが、そこで再びスポットライトが灯った。ライトはやはりカノン達が乗ってきた航空輸送機を照らしている。
やがて輸送機の屋根が開き、中から何かが競り上がってきた。
「うわっ、いつの間にあんな機能つけてんだよ」
翔馬がドン引きで呟くが、そこで競りあがった物が静止した。どうやら立て看板のようだが、そこにはこう記されていた。
『しばらく旅に出るぜ! BY伊能』
「あーすまんすまん、そうだったな」
筑波は何でもない事のように笑うが、そこで海老名が血相を変えた。
「いや、船団長でしょ伊能さんはっ! 何適当に納得してるんですか! ディアヌスが来るんですよ!? 留守してどうすんの!」
白衣の胸倉を掴み、ぐわんぐわん揺さぶる海老名だったが、そこで筑波がベルトのスイッチを押した。
「そうじゃない、あれは出張用のやつだ。すまんってのはボタンを間違えたって意味だ」
「間違えたあ!? 間違えたってどういう事よ!」
最早ヤンキーのような剣幕の海老名だが、そこで航空機の天井が開き、1人の人物が競りあがってくる。
「な、なんであんなとこに人が収納されてんだよ……」
翔馬が頭を抱えている。
現れたのはスーツにトレンチコートを羽織り、ボルサリーノ帽を被った中年男性だった。
顔にはやたら渋みがあり、黙っていれば映画俳優のようにも見えるのだったが、彼は気さくに手を上げた。
「よっ、しばらく!」
『せっ、せせせ、船団長っ!!!???』
パイロット連中、いや格納庫にいた全員が絶叫した。
「なななっ、何でそんなとこにいるんですかっ! 天井でしょ、さっき戦闘してたんですよ!?」
海老名が叫ぶと、船団長の伊能はゆっくりと輸送機の上を歩いてくる。
天井は次々開き、噴水や電飾のライトが飛び出してきた。
なぜか太鼓や笛を持った人、演歌歌手?まで現れ、鳩が飛ぶわ桜が舞うわの混沌になった。
「ぬわーっはっは、うまくいった! さすがは私、天才の中の天才だな!」
仕掛けを作った張本人の筑波は胸を張っていたが、海老名が足を掴んで引き倒し、ジャイアントスイングで振り回し始めた。
「もう許さないわ、こんのマッドサイエンティストっ! あれだけ余計な改造しないでって言ってるでしょうがっ!」
「海老名っち、もうキャラ壊れとるやん……」
「最初の上品さが見る影もないわね……」
難波とカノンがドン引きしていると、翔馬・ひかる・弥太郎の3人がプラカードを掲げた。
『海老名じゃ』
『なくても』
『つっこまざるをえないナマズ』
という事らしい。
「でもええわあ、こういうコテコテ。実家に帰ったような気がするわ」
難波は楽しそうだったが、そこで船団長の伊能は、ひらりと輸送機から飛び降りた。
続いて飛び降りる演歌歌手や鳩をよそに、伊能氏は皆に声をかけた。
「いや、若ぇ衆は元気そうだな。海老名の娘も、段々親に似てきたぜ。あいつら2人とも、湘南でブイブイ言わせてたもんだ」
「そ、それは生前お世話になりましたけど……じゃなくて船団長っ、勝手に天井に潜まないで下さい。あれで敵地に降りたんですよ!」
「いやそれは戻ってから隠れたんだって。こっちもそんなに暇じゃないぜ?」
どう考えても暇やん、とツッコミを入れる難波をよそに、伊能氏はボルサリーノ帽の角度を手で直した。
「日本全国津々浦々、足で回って交渉しまくり。おかげで希望の光も見えてきたぜぇ?」
『希望の光?』
不思議そうに尋ねる一同に、伊能は両手を広げて言った。
「そうだ、希望だ。ちょっと見てみな」
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