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第五章その7 ~その柱待った!~ 魔族のスパイ撃退編
あざ笑う柱
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「……やられた。遅いってのは、これも含めてだったんだ」
「ど、どういう事でしょう?」
誠が目を遣ると、鳳がすがるようにこちらを見ていた。かなり動揺した表情だったし、ほとんど思考が定まらなくなっているのだろう。
「時限式の立ち上がりが正規の起動より遅くても、その停止機構に細工しておけば、どのみち止められないでしょう。その間に柱のパワーが、正規のレベルにまで吹き上がるって事です」
誠はそこで再び柱を睨む。
「だから柱が完成した時点で、もう起動は始まってたんだ。もちろんバレたら神々に止められるから、何日もかけてゆっくりゆっくり……音や霊気が漏れないよう、力を蓄積させてたんだ」
そうこうするうちにも、柱は少しずつ回転を始めた。
霊気が渦を巻き、暴風となって瓦礫を舞い上がらせる。
「怯むな、ここで引き止めねば全てが終わる! 向かえる者は全員向かえ!」
必死に叫ぶ台だったが、そこで画面から声がかかった。
「……いや台様、そうもいかねえようだぜ?」
画面に映る高山が、後ずさりしながら言ったのだ。
「柱のご機嫌が悪過ぎる。いくら霊気で防御しても、もう人が入れる場所じゃなくなってる……!」
彼の言葉通り、柱から凄まじい波動が繰り返し発散され、青紫の霧のようなものが、周囲の空間を汚染し始めた。
さすがの高山達も、たまらず魔法陣から撤退したようだ。
「そうか……これも意図的に、力を外に漏らしてあるんだ……!」
誠はそこで理解した。
「いくら余剰エネルギーが出ても、ここまで露骨に漏れるはずが無い。誰も近づけないように、わざと力を外に回してるんだ……!」
「そ、それ程までに周到に……!?」
鳳もさすがに絶句している。
既に本部も安全とは言えなくなったため、全神連の配下達が、大和くんと五十鈴ちゃんに避難を促している。
「後は我々が対処します。お二方はご避難下さい」
「僕たちも残るのです!」
「そうですの! ここで逃げては、お伊勢様に申し訳が立ちませんですの!」
粘る2人だったが、その肩に神使達が飛び乗った。
「ワイらも行くから堪忍やで! お2人がケガしたら、ワイらが大目玉くらうんや!」
「それはモウ、モウレツに怒られるのです!」
キツネや牛が必死になだめすかし、2人はしぶしぶ魔法陣から姿を消した。
一方で、柱の対処も佳境を迎えていた。
「結界を! こうなれば無理やり縛り付けるのです!」
台の言葉とほぼ同時に、柱を収める空間の壁から、無数の光が飛び出してくる。
それらは幾多の懸燈籠だった。
恐らくあの1つ1つに、並の神器に匹敵する力が秘められているだろう。
宙を舞うそれらが柱を取り囲んだ瞬間、凄まじい衝撃が画面に走った。
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
多数のガラスを引っ掻くような、耳をつんざく不快音。
燈籠が発生させた光の幾何学模様……つまり強力な結界が、柱を押しとどめようとしているのである。
柱と結界、両者の鬩ぎ合いの中で生まれた力が火花となり、豪雨のように周囲を叩きつけていく。
…………しかし、それも長くは続かなかった。
宙を舞う燈籠は、少しずつ柱に引き寄せられると、次々に破裂していったのだ。
柱は勝利を確信したかのように、一際強く輝いた。
その回転の風切り音は、ほとんど笑い声のようになっていた。
低く、深く、地の底から嘲笑うかのようなその音は、この災厄の始まりの際、人々を呪った髑髏の声によく似ていたのだ。
「ど、どういう事でしょう?」
誠が目を遣ると、鳳がすがるようにこちらを見ていた。かなり動揺した表情だったし、ほとんど思考が定まらなくなっているのだろう。
「時限式の立ち上がりが正規の起動より遅くても、その停止機構に細工しておけば、どのみち止められないでしょう。その間に柱のパワーが、正規のレベルにまで吹き上がるって事です」
誠はそこで再び柱を睨む。
「だから柱が完成した時点で、もう起動は始まってたんだ。もちろんバレたら神々に止められるから、何日もかけてゆっくりゆっくり……音や霊気が漏れないよう、力を蓄積させてたんだ」
そうこうするうちにも、柱は少しずつ回転を始めた。
霊気が渦を巻き、暴風となって瓦礫を舞い上がらせる。
「怯むな、ここで引き止めねば全てが終わる! 向かえる者は全員向かえ!」
必死に叫ぶ台だったが、そこで画面から声がかかった。
「……いや台様、そうもいかねえようだぜ?」
画面に映る高山が、後ずさりしながら言ったのだ。
「柱のご機嫌が悪過ぎる。いくら霊気で防御しても、もう人が入れる場所じゃなくなってる……!」
彼の言葉通り、柱から凄まじい波動が繰り返し発散され、青紫の霧のようなものが、周囲の空間を汚染し始めた。
さすがの高山達も、たまらず魔法陣から撤退したようだ。
「そうか……これも意図的に、力を外に漏らしてあるんだ……!」
誠はそこで理解した。
「いくら余剰エネルギーが出ても、ここまで露骨に漏れるはずが無い。誰も近づけないように、わざと力を外に回してるんだ……!」
「そ、それ程までに周到に……!?」
鳳もさすがに絶句している。
既に本部も安全とは言えなくなったため、全神連の配下達が、大和くんと五十鈴ちゃんに避難を促している。
「後は我々が対処します。お二方はご避難下さい」
「僕たちも残るのです!」
「そうですの! ここで逃げては、お伊勢様に申し訳が立ちませんですの!」
粘る2人だったが、その肩に神使達が飛び乗った。
「ワイらも行くから堪忍やで! お2人がケガしたら、ワイらが大目玉くらうんや!」
「それはモウ、モウレツに怒られるのです!」
キツネや牛が必死になだめすかし、2人はしぶしぶ魔法陣から姿を消した。
一方で、柱の対処も佳境を迎えていた。
「結界を! こうなれば無理やり縛り付けるのです!」
台の言葉とほぼ同時に、柱を収める空間の壁から、無数の光が飛び出してくる。
それらは幾多の懸燈籠だった。
恐らくあの1つ1つに、並の神器に匹敵する力が秘められているだろう。
宙を舞うそれらが柱を取り囲んだ瞬間、凄まじい衝撃が画面に走った。
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
多数のガラスを引っ掻くような、耳をつんざく不快音。
燈籠が発生させた光の幾何学模様……つまり強力な結界が、柱を押しとどめようとしているのである。
柱と結界、両者の鬩ぎ合いの中で生まれた力が火花となり、豪雨のように周囲を叩きつけていく。
…………しかし、それも長くは続かなかった。
宙を舞う燈籠は、少しずつ柱に引き寄せられると、次々に破裂していったのだ。
柱は勝利を確信したかのように、一際強く輝いた。
その回転の風切り音は、ほとんど笑い声のようになっていた。
低く、深く、地の底から嘲笑うかのようなその音は、この災厄の始まりの際、人々を呪った髑髏の声によく似ていたのだ。
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