16 / 117
第五章その2 ~おめでとう!~ やっと勝利のお祝い編
最愛の人の『お帰りなさい』……頑張ってよかった…!
しおりを挟む
「おっ、お帰りなさいっ、鳴瀬くんっ!」
玄関の引き戸を開けた途端、鶉谷雪菜が走ってきた。
歳は誠より7つ上の24歳。金の髪を長く伸ばし、グラマーで目のやり場に困る体を、白いセーターで包んでいる。
かつて伝説の人型重機部隊・神武勲章隊に席を置き、命がけで多くの人を守った彼女は、今は誠たち高縄半島守備隊の指揮官なのである。
純粋な日本人なのに髪色が金なのは、ディアヌスと対峙し、強い邪気をまともに浴びた後遺症だった。
実は誠もそうなるかと覚悟したのだったが、女神がくれた太刀のおかげか、同じようにはならなかったのだ。
「待ってたのよ、のわっと!?」
雪菜は玄関マットを踏んで転びかけたが、気合いで体勢を立て直した。
「……よ、良かった鳴瀬くん、元気になって。あの後すぐ眠っちゃったし、おめでとうも言えなかったから……!」
雪菜は誠の肩に両手を置き、ぐぐぐ、と頭を下げる。
それから感極まったように顔を上げた。目にはきらきら眩しい涙が光っている。
「……立派だった……よく頑張ったわ。ほんっとうに、お疲れ様……!」
世のため人のために恐ろしい魔王と戦い、生きて帰ったら、最愛の人にこの言葉で迎えられる。
およそ男に生まれて、最も報われる瞬間であろう。
命の全部を磨り減らすような戦いだったけど、頑張ってよかった。心からそう思えたのだ。
「い、いえ、それほどでも……」
誠が全身とろけそうになっていると、雪菜の後ろから、もう一人の女性が遠慮がちに顔を出した。
同じく元・神武勲章隊のメンバーであり、『鎮西のジャンヌダルク』の異名を持つ天草瞳氏である。
「……お久しぶり、誠くん」
彼女は少し頬を赤らめ、照れ臭そうにあらぬ方を見て言った。
紺のタートルネックを着て、下半身はぴったりした白いジーンズ。
跳ねて元気のいい黒髪は、今日は後ろで一つに結わえられていた。
ちょっと男っぽい眉の彼女には良く似合う装いだったが、プロポーションは雪菜に負けず劣らずであり、そのアンバランスさが大変けしからん感じであった。
「……他の神武勲章隊のみんなは、戦後処理があるから無理だって。先に奪還してた、四国と九州のあたし達だけが来れたってわけ」
天草はそわそわ目線を動かし、服の裾をぎゅっと握ったまま続ける。
「……ま、まあ、お邪魔かも知れなかったけどね」
「そんな事ないですよ、逢えて嬉しいです。今思えば、九州結構楽しかったですし」
「ほんと? 嬉しい。またぜひ遊びに来てね」
誠が言うと、天草はようやく安堵の笑顔を見せた。
「さっきから、まあ雪菜がうるさくってね。あの土壇場で、誠くんが魔王に鶉谷スペシャルを決めた、って興奮しちゃって」
「だってそれは、師匠として燃えるでしょう?」
2人は同い歳なので、じゃれ合う様も楽しそうだ。
「うんうん、これぞ和気藹々ね。あきわいわいだったかしら?」
鶴は満足げに頷くと、家の中へと入っていく。
「なっちゃんと池ちゃんはまだかしら」
そこで鳳が台所から顔を覗かせた。
「それが姫様、一応お呼びしたのですが、池谷中佐は残念ながら来られないそうです。夏木中佐は来られましたが、すぐ戻らなければならないそうで。浜に行ってから帰るそうです」
「なんで浜なの?」
「さあ……岩凪姫様がそちらだとお伝えしたら、挨拶したいとの事で」
「物好きねえ、怒られるのが好きなのかしら」
鶴は腕組みして思案したが、すぐに刹鬼姫の手を引き、さっさと家に招き入れた。
「まあいいわ、鬼―ズも来てくれたから、みんなで楽しみましょう」
九州で鬼とひと悶着あった天草は面食らっていたが、「鶴ちゃんなら、鬼とだって友達になるわよね」と苦笑している。
玄関の引き戸を開けた途端、鶉谷雪菜が走ってきた。
歳は誠より7つ上の24歳。金の髪を長く伸ばし、グラマーで目のやり場に困る体を、白いセーターで包んでいる。
かつて伝説の人型重機部隊・神武勲章隊に席を置き、命がけで多くの人を守った彼女は、今は誠たち高縄半島守備隊の指揮官なのである。
純粋な日本人なのに髪色が金なのは、ディアヌスと対峙し、強い邪気をまともに浴びた後遺症だった。
実は誠もそうなるかと覚悟したのだったが、女神がくれた太刀のおかげか、同じようにはならなかったのだ。
「待ってたのよ、のわっと!?」
雪菜は玄関マットを踏んで転びかけたが、気合いで体勢を立て直した。
「……よ、良かった鳴瀬くん、元気になって。あの後すぐ眠っちゃったし、おめでとうも言えなかったから……!」
雪菜は誠の肩に両手を置き、ぐぐぐ、と頭を下げる。
それから感極まったように顔を上げた。目にはきらきら眩しい涙が光っている。
「……立派だった……よく頑張ったわ。ほんっとうに、お疲れ様……!」
世のため人のために恐ろしい魔王と戦い、生きて帰ったら、最愛の人にこの言葉で迎えられる。
およそ男に生まれて、最も報われる瞬間であろう。
命の全部を磨り減らすような戦いだったけど、頑張ってよかった。心からそう思えたのだ。
「い、いえ、それほどでも……」
誠が全身とろけそうになっていると、雪菜の後ろから、もう一人の女性が遠慮がちに顔を出した。
同じく元・神武勲章隊のメンバーであり、『鎮西のジャンヌダルク』の異名を持つ天草瞳氏である。
「……お久しぶり、誠くん」
彼女は少し頬を赤らめ、照れ臭そうにあらぬ方を見て言った。
紺のタートルネックを着て、下半身はぴったりした白いジーンズ。
跳ねて元気のいい黒髪は、今日は後ろで一つに結わえられていた。
ちょっと男っぽい眉の彼女には良く似合う装いだったが、プロポーションは雪菜に負けず劣らずであり、そのアンバランスさが大変けしからん感じであった。
「……他の神武勲章隊のみんなは、戦後処理があるから無理だって。先に奪還してた、四国と九州のあたし達だけが来れたってわけ」
天草はそわそわ目線を動かし、服の裾をぎゅっと握ったまま続ける。
「……ま、まあ、お邪魔かも知れなかったけどね」
「そんな事ないですよ、逢えて嬉しいです。今思えば、九州結構楽しかったですし」
「ほんと? 嬉しい。またぜひ遊びに来てね」
誠が言うと、天草はようやく安堵の笑顔を見せた。
「さっきから、まあ雪菜がうるさくってね。あの土壇場で、誠くんが魔王に鶉谷スペシャルを決めた、って興奮しちゃって」
「だってそれは、師匠として燃えるでしょう?」
2人は同い歳なので、じゃれ合う様も楽しそうだ。
「うんうん、これぞ和気藹々ね。あきわいわいだったかしら?」
鶴は満足げに頷くと、家の中へと入っていく。
「なっちゃんと池ちゃんはまだかしら」
そこで鳳が台所から顔を覗かせた。
「それが姫様、一応お呼びしたのですが、池谷中佐は残念ながら来られないそうです。夏木中佐は来られましたが、すぐ戻らなければならないそうで。浜に行ってから帰るそうです」
「なんで浜なの?」
「さあ……岩凪姫様がそちらだとお伝えしたら、挨拶したいとの事で」
「物好きねえ、怒られるのが好きなのかしら」
鶴は腕組みして思案したが、すぐに刹鬼姫の手を引き、さっさと家に招き入れた。
「まあいいわ、鬼―ズも来てくれたから、みんなで楽しみましょう」
九州で鬼とひと悶着あった天草は面食らっていたが、「鶴ちゃんなら、鬼とだって友達になるわよね」と苦笑している。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~
空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。
もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。
【お知らせ】6/22 完結しました!
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる