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~プロローグ~ ばら撒かれる災厄の種
降り注ぐ魔王の欠片
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「……大蛇が……爆ぜる」
虚空の映像を見据え、男は静かに呟いた。
顔は狐面で隠し、白を基調とした和装は神職のそれによく似ている。
年の頃は不明だったが、体はよく引き締まっており、正座した背筋は定規で測ったように真っ直ぐだった。
室内には他にも数十人が座していたが、誰もが面を付けていた。
彼らは宙に浮かぶ光の円を……そこに映る魔王との戦いを見守っていたのだ。
魔王が天を睨んで雄叫びを上げると、一同から声にならないどよめきが漏れた。
それを律するかのように、上座に座る女が言った。
「…………始まります。一同、手抜かり無きように」
青い髪を長く伸ばした女の言葉に、一同は無言で頷く。
同時に映像は、富士周辺を空から見下ろす絵図となった。
中央の……恐らく魔王を示す光点から、無数の赤い光が飛び出す。
まるで火山弾が噴き出すように、光は弧を描いて飛び去っていくのだ。
その光が地に落ちると同時に、絵図には別の青い点が幾つも映し出された。
恐らく部隊名を示しているのだろう、青い点にはそれぞれ文字が添えられていて、落下した赤い光に急行している。
青い点が落下した光に重なると、絵図には『確保』の文字が浮かんだ。
『確保』は次々増えていくが、魔王から飛び出した光の中には、想像以上に遠方に飛ぶものもあった。
「…………思ったより足が速い……一度で全ては回収出来んな」
先ほど言を発した男が、唸るように呟いた。
またざわめきかける一同だったが、例の女が素早く制する。
「動揺には値しません。全神連の名において、全ての欠片を回収しなさい」
女は更にその語気を強めた。
「あれは全ての理を覆す神の力。人の世にあってはならぬ存在。もし悪意を持つ者に渡れば、必ずや禍の元となりましょう。そうなる前に、全てを集め封じるのです……!」
神の亡骸から別の神や新しい事物が発生する例は、日本神話にも存在する。
あれ程圧倒的な強さを誇った八岐大蛇の肉片が、未だ大きな力を秘めている事は明らかだったし、その欠片を手に入れた者は、一気に階層社会の頂点に躍り出るだろう。
そこで再び映像が切り替わった。
一際巨大な幾つかの欠片が、天を横切る様が映ったのだ。
箒星のように尾を引いて、空を駆ける欠片だったが、そこで映像が激しく乱れる。
欠片から大量の気が噴き出し、周囲の大気を白く染めていくのだ。
「邪気が強すぎる……こちらの感知から逃れるつもりか」
再びざわめく一同であったが、女は尚も繰り返した。
「何度でも言います。全神連の名において、全ての欠片を回収しなさい……!」
虚空の映像を見据え、男は静かに呟いた。
顔は狐面で隠し、白を基調とした和装は神職のそれによく似ている。
年の頃は不明だったが、体はよく引き締まっており、正座した背筋は定規で測ったように真っ直ぐだった。
室内には他にも数十人が座していたが、誰もが面を付けていた。
彼らは宙に浮かぶ光の円を……そこに映る魔王との戦いを見守っていたのだ。
魔王が天を睨んで雄叫びを上げると、一同から声にならないどよめきが漏れた。
それを律するかのように、上座に座る女が言った。
「…………始まります。一同、手抜かり無きように」
青い髪を長く伸ばした女の言葉に、一同は無言で頷く。
同時に映像は、富士周辺を空から見下ろす絵図となった。
中央の……恐らく魔王を示す光点から、無数の赤い光が飛び出す。
まるで火山弾が噴き出すように、光は弧を描いて飛び去っていくのだ。
その光が地に落ちると同時に、絵図には別の青い点が幾つも映し出された。
恐らく部隊名を示しているのだろう、青い点にはそれぞれ文字が添えられていて、落下した赤い光に急行している。
青い点が落下した光に重なると、絵図には『確保』の文字が浮かんだ。
『確保』は次々増えていくが、魔王から飛び出した光の中には、想像以上に遠方に飛ぶものもあった。
「…………思ったより足が速い……一度で全ては回収出来んな」
先ほど言を発した男が、唸るように呟いた。
またざわめきかける一同だったが、例の女が素早く制する。
「動揺には値しません。全神連の名において、全ての欠片を回収しなさい」
女は更にその語気を強めた。
「あれは全ての理を覆す神の力。人の世にあってはならぬ存在。もし悪意を持つ者に渡れば、必ずや禍の元となりましょう。そうなる前に、全てを集め封じるのです……!」
神の亡骸から別の神や新しい事物が発生する例は、日本神話にも存在する。
あれ程圧倒的な強さを誇った八岐大蛇の肉片が、未だ大きな力を秘めている事は明らかだったし、その欠片を手に入れた者は、一気に階層社会の頂点に躍り出るだろう。
そこで再び映像が切り替わった。
一際巨大な幾つかの欠片が、天を横切る様が映ったのだ。
箒星のように尾を引いて、空を駆ける欠片だったが、そこで映像が激しく乱れる。
欠片から大量の気が噴き出し、周囲の大気を白く染めていくのだ。
「邪気が強すぎる……こちらの感知から逃れるつもりか」
再びざわめく一同であったが、女は尚も繰り返した。
「何度でも言います。全神連の名において、全ての欠片を回収しなさい……!」
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