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エピローグ ~風凪ぐ日々を取り戻そう~
深い地の底で
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「……くそっ、まさかこの私が、人間ごときに遅れを取るとは……」
爪繰は体を引き摺るようにして歩いていた。
黒々した岩の洞穴は、壁のあちらこちらにかすかな光が瞬いて、男の行く手を照らしている。
が、その時通路の前方に、背の高い人影が現れた。
「……おお、笹鐘か!」
男は露骨に安堵の声を上げた。
「助かったぞ、出迎えご苦労」
「出迎え、ですか……」
青年は一歩爪繰に近付いた。
「出迎えではなく、見送りでしょう」
「見送りだと……?」
爪繰はそこで怪訝そうに足を止めた。青年の気配が、普段と違う事に気付いたのだ。
「能無しにへつらうのは疲れると、貴様が言った事だったな。家柄だけで大任を仰せつかり、こうも見事に失敗するとは。流石に呆れ果てている」
青年はまた一歩近付いた。
「貴様の失敗の尻拭いに、楔を、そして隠を使うなどと……千年に及ぶ一族の忍耐を無駄にするつもりか……!」
青年の手には、いつの間にか刃が握られていた。
爪繰はうろたえ、よろめきながら後ずさる。
「ま、待て笹鐘!」
「十分待った。お前は消えろ……!」
青年は瞬時に間合いを詰めると、そのまま刃を付きたてた。
!!!!!!!!!!!!!!!!!
爪繰は物凄い悲鳴を上げた。悲鳴は洞穴に響き渡り、青紫の血が撒き散らされた。
やがて倒れた男を見下ろし、青年は呟く。
「……愚物は要らぬ。全ては夜祖様の元、我らの悲願を達成するために。新しい創世記の始まりがためにだ」
誰も知らない、深い地の底の出来事である。
【第一章・完】
※※第1章の四国奪還編はここまでです。ご精読ありがとうございました。
2章からはいよいよ四国を出て、他の地域を助けにいきますが、1章だけで25万字を超えており、あんまりにも目次ページが重く長くなりますので、別ブックにてPART2を開始したいと思います。
少ない文字数の作品を無理やり分割投稿するような意図ではありませんので、悪しからずご容赦下さい。
日本を取り戻すまで、姫様と一緒にお楽しみ下さい!
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黒々した岩の洞穴は、壁のあちらこちらにかすかな光が瞬いて、男の行く手を照らしている。
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「助かったぞ、出迎えご苦労」
「出迎え、ですか……」
青年は一歩爪繰に近付いた。
「出迎えではなく、見送りでしょう」
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爪繰はそこで怪訝そうに足を止めた。青年の気配が、普段と違う事に気付いたのだ。
「能無しにへつらうのは疲れると、貴様が言った事だったな。家柄だけで大任を仰せつかり、こうも見事に失敗するとは。流石に呆れ果てている」
青年はまた一歩近付いた。
「貴様の失敗の尻拭いに、楔を、そして隠を使うなどと……千年に及ぶ一族の忍耐を無駄にするつもりか……!」
青年の手には、いつの間にか刃が握られていた。
爪繰はうろたえ、よろめきながら後ずさる。
「ま、待て笹鐘!」
「十分待った。お前は消えろ……!」
青年は瞬時に間合いを詰めると、そのまま刃を付きたてた。
!!!!!!!!!!!!!!!!!
爪繰は物凄い悲鳴を上げた。悲鳴は洞穴に響き渡り、青紫の血が撒き散らされた。
やがて倒れた男を見下ろし、青年は呟く。
「……愚物は要らぬ。全ては夜祖様の元、我らの悲願を達成するために。新しい創世記の始まりがためにだ」
誰も知らない、深い地の底の出来事である。
【第一章・完】
※※第1章の四国奪還編はここまでです。ご精読ありがとうございました。
2章からはいよいよ四国を出て、他の地域を助けにいきますが、1章だけで25万字を超えており、あんまりにも目次ページが重く長くなりますので、別ブックにてPART2を開始したいと思います。
少ない文字数の作品を無理やり分割投稿するような意図ではありませんので、悪しからずご容赦下さい。
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