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第一章その1 ~始めよう日本奪還~ 少年たちの苦難編
戦国時代の記憶?
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まるで激流のように、幾多の映像が脳裏をよぎる。
誠は頭を押さえようとしたのだが……
(何だこの手、手袋じゃない……!?)
さっきまでパイロット用の防護手袋を嵌めていたはずの手には、古めかしい手甲が巻かれていた。良く見ると、胴にも足元にも鎧やその付属物が付けられている。
体に揺れを感じるから、どうやらここは船上だろうか?
誠は急激に力が抜けていくのを感じて、板張りの床に膝を付いた。たらたらと赤い血が滴り、板の上を流れていく。
(何だこれは? 俺は何を見ているんだ?)
不意に澄んだ音色が響き渡り、誠は音の出所を探した。
目を遣ると、腰にくくりつけていたはずの小さな鈴が落下して、板張りの床を転がっていくのだ。
それはとても大切な物だったようで、誠は思わず手を伸ばした。
『黒鷹、待って!』
突然、誰かの声が聞こえた。
澄んだその声色は、歳若い少女のそれだろう。
(誰だ君は。なぜ俺を呼ぶ……?)
誠が気付くと、足跡は残らず綺麗に消えていたのだ。
「……………?」
周囲を見回すが、隊員達は何事も無かったように会話している。
「そーいや、香川は名前からして地元だもんな。お前んちの寺、うちも四国に来たら行ってたもん。賽銭もちゃんと入れたぜ」
「そりゃどーも。てか親父は勤めてただけで、うちの寺じゃないけどな」
香川は両手を合わせ、拝むようにしてウインクした。
別に地名姓だからというわけでもないが、彼の家はこの辺の名家だったらしい。
父親はやんちゃだったため、家を飛び出した挙句、何もかも捨てて仏門に飛び込んだ。
その後は地元で有名な寺に勤めていたが、子供が生まれたのをきっかけに実家と仲直りしたと聞く。
「そう言えば、このへんで親戚が車海老を養殖しててな。夕日が養殖池を真っ赤に染めて……水をかき回す水車の回りは、赤い水面が波打ってさ。ああ、今年も遊びに来たんだなあって、幸せな気分になるんだ。こんな世界がずっと続けばいいのにって。ちょっと水不足ではあるけど、うどんも美味いし人情もあったかい。今思えば、ほんとに自慢のふるさとだったんだぜ?」
香川は少し悲しげな表情で言うのだが、横から難波が割り込んでくる。
「あのな、落ち込んどるとこ悪いんやけど、夕日に輝く香川の頭が思い浮かんで、話が全く入ってこーへん」
「いやいや、そんときゃまだ剃ってないって! それにこの頭は俺の誇りだ、アイデンティティだ……っと、いかんいかん、修行が足りんな。どこまで話したっけ……ああそうだ、自慢の故郷だったのに、たった十年で浦島太郎だって事さ」
「そーだよなあ、たった十年でそれだもんなあ」
「うおい宮島っ! 無理やり髪に結びつけるなっちゅーに!」
「剃ってるもんは結べへんやろ」
「ええい黙れきさまらっ、僧の誇りを! 仏罰が下るぞ……って聞いてるのか!? 聞いてるよね君達!?」
必死に怒鳴る香川を尻目に、宮島は既に誠と会話している。
「隊長よお、俺らも前に出れねえのかよ。このままじゃみんな喰われちまうぞ」
「そうしたいけど……勝手に動けば、池谷中佐にも迷惑がかかる。食料や医療品を打ち切られたら、どう足掻いてもアウトだからな」
誠は苛立ちながら答えた。
先ほどからコールしっぱなしの回線は、空しく明滅を繰り返すばかりだ。
だがその時、天の助けか神の気紛れか、奇跡的に通信が繋がってくれたのだ。
誠は頭を押さえようとしたのだが……
(何だこの手、手袋じゃない……!?)
さっきまでパイロット用の防護手袋を嵌めていたはずの手には、古めかしい手甲が巻かれていた。良く見ると、胴にも足元にも鎧やその付属物が付けられている。
体に揺れを感じるから、どうやらここは船上だろうか?
誠は急激に力が抜けていくのを感じて、板張りの床に膝を付いた。たらたらと赤い血が滴り、板の上を流れていく。
(何だこれは? 俺は何を見ているんだ?)
不意に澄んだ音色が響き渡り、誠は音の出所を探した。
目を遣ると、腰にくくりつけていたはずの小さな鈴が落下して、板張りの床を転がっていくのだ。
それはとても大切な物だったようで、誠は思わず手を伸ばした。
『黒鷹、待って!』
突然、誰かの声が聞こえた。
澄んだその声色は、歳若い少女のそれだろう。
(誰だ君は。なぜ俺を呼ぶ……?)
誠が気付くと、足跡は残らず綺麗に消えていたのだ。
「……………?」
周囲を見回すが、隊員達は何事も無かったように会話している。
「そーいや、香川は名前からして地元だもんな。お前んちの寺、うちも四国に来たら行ってたもん。賽銭もちゃんと入れたぜ」
「そりゃどーも。てか親父は勤めてただけで、うちの寺じゃないけどな」
香川は両手を合わせ、拝むようにしてウインクした。
別に地名姓だからというわけでもないが、彼の家はこの辺の名家だったらしい。
父親はやんちゃだったため、家を飛び出した挙句、何もかも捨てて仏門に飛び込んだ。
その後は地元で有名な寺に勤めていたが、子供が生まれたのをきっかけに実家と仲直りしたと聞く。
「そう言えば、このへんで親戚が車海老を養殖しててな。夕日が養殖池を真っ赤に染めて……水をかき回す水車の回りは、赤い水面が波打ってさ。ああ、今年も遊びに来たんだなあって、幸せな気分になるんだ。こんな世界がずっと続けばいいのにって。ちょっと水不足ではあるけど、うどんも美味いし人情もあったかい。今思えば、ほんとに自慢のふるさとだったんだぜ?」
香川は少し悲しげな表情で言うのだが、横から難波が割り込んでくる。
「あのな、落ち込んどるとこ悪いんやけど、夕日に輝く香川の頭が思い浮かんで、話が全く入ってこーへん」
「いやいや、そんときゃまだ剃ってないって! それにこの頭は俺の誇りだ、アイデンティティだ……っと、いかんいかん、修行が足りんな。どこまで話したっけ……ああそうだ、自慢の故郷だったのに、たった十年で浦島太郎だって事さ」
「そーだよなあ、たった十年でそれだもんなあ」
「うおい宮島っ! 無理やり髪に結びつけるなっちゅーに!」
「剃ってるもんは結べへんやろ」
「ええい黙れきさまらっ、僧の誇りを! 仏罰が下るぞ……って聞いてるのか!? 聞いてるよね君達!?」
必死に怒鳴る香川を尻目に、宮島は既に誠と会話している。
「隊長よお、俺らも前に出れねえのかよ。このままじゃみんな喰われちまうぞ」
「そうしたいけど……勝手に動けば、池谷中佐にも迷惑がかかる。食料や医療品を打ち切られたら、どう足掻いてもアウトだからな」
誠は苛立ちながら答えた。
先ほどからコールしっぱなしの回線は、空しく明滅を繰り返すばかりだ。
だがその時、天の助けか神の気紛れか、奇跡的に通信が繋がってくれたのだ。
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