5 / 117
第一章その1 ~始めよう日本奪還~ 少年たちの苦難編
聖者様はストライキ中 2
しおりを挟む
画面からは勇ましい音楽が流れ始め、鶴は身を乗り出した。
「何それ、面白そう。見世物でも始まるの?」
「違う! 違うがとにかく、今度の舞台は未来だっ。成り上がるのも戦うのも、昔とは比べ物にならぬほど難しいぞ。南蛮風に言えば、人生の高難易度版だ」
そこで映像は切りかわり、異形の化け物どもが映し出された。足元に鶴とコマが映っているので、その大きさ具合がよく分かる。
「これが日の本を襲っている人喰いの化け物、通称『餓霊』だ。魔界の魂……悪しき亡者が肉体を得たと思えばいいが……身の丈は並のものでも巨木並み、大きい奴は山ほどに達するだろう。こやつらに陸は殆ど支配され、人々は日々、死の恐怖に怯えているのだ」
「ムム、それは可哀想ね。この怪物に焙烙(※水軍が用いた手投げ爆弾)とかぶつけたら、やっつけられないの?」
「そう簡単にはいかぬ」
女神はさらに映像を切りかえた。画面には、怪物達の体から魔法のような光が出ている様子が映る。
「奴らは魔法……今風に言えば、体内で作り出した『電磁式』で、周囲の物理・化学現象を操ってしまう。弾丸を弾いたり、ミサイルの燃焼を弱めるバリアまで作り出す。ええい寝るなっ! 難しい言葉が出るとすぐこれだ。とにかく奴らは魔法を使うから、普通の武器が通じぬのだ」
鶴は眠気眼を擦りながら、手をあげて意見する。
「はいナギっぺ、それじゃやっつけられないと思います」
「そう、そこで人々は、奴らの魔法を研究し、自らも武器を強くしたのだ」
画面は未来の銃や剣の映像に切り替わった。一見ごく普通の武器だったが、持ち手に近い部分が隆起し、何かの機器が付けられている。
鶴は珍しい物が好きなので、「これはいいものだわ、1つもらえないかしら」などと言ってはしきりに頷いている。
「よしよし、興味があるならちゃんと聞けよ。このように、銃や剣の付け根が膨らんでいるだろう。ここに『属性添加機』が付けられている。これで電磁式……要するに魔法を作り出し、弾丸の貫通力を高めたり、剣の切断力を増したりする。だから寝るなと言っておろうがっ! とにかく、ただの鉄砲の弾に魔法をかけたら、どんなものでも撃ち抜けるし、普通の剣が光り出したら、とんでもなく切れ味が増すっ! これを属性添加技術といって、人間達の切り札なのだ。武器+魔法、これが基本だし、魔法をかけてない武器では怪物どもに通じない」
「なるほど、これは分かりやすいわ」
「だが敵の兵力は圧倒的だ。だから鶴よ、私やお前が行って、人々に加勢するのだ。そして悪党どもを討ち倒し、日の本の国を立て直すのだ」
「任せといて。私そういうの得意だから」
鶴はぐぐ、と拳を握り、燃える瞳で決意を固めている。
女神は満足そうに頷くと、身をかがめ、鶴の耳元に口を寄せた。
「…………それからもう一つ。これは言い辛い事なのだが……」
女神は何か囁いたが、鶴は力強く頷いた。
「構わないわ。その分早く日本を取り戻して、沢山楽しめばいいのよ!」
そんな女神と鶴をよそに、コマはせっせと作業を進めている。鬼達に大量の書類を貰い、ハンコを押しまくって、現世に戻る手続きをするのだ。
「それじゃ鬼助、出所手続きはこれでいいね。今は鶴の機嫌がいいから、このまま現世に転移するよ」
「へい! やった、これであっしらも安心出来ます!」
鬼達は希望を取り戻し、涙を流して喜び合った。
やがてやる気に満ち溢れた鶴は、まばゆい光に包まれた。
「それじゃ行ってくるわ。元気でねコマ、それにナギっぺ!」
「いやちょっと、僕も一緒に行くんだけどね」
コマは慌てて鶴に駆け寄り、女神は2人に言葉をかける。
「頑張れよ。現世の文字や言葉は分かるようにしてあるし、困ったら神器を出して使いなさい。妹が監修したものだから、きっと助けになるだろう」
女神はそこで、小さな何かを投げて寄越した。
鶴が両手でキャッチすると、澄んだ音色が響き渡る。それは小さな鈴だったのだ。
「これ……」
「持っていきなさい。あの日止まったその音色を、再び現世で鳴らすのだ」
「……うん。ありがとうナギっぺ」
女神の言葉に、鶴は少し潤んだ目で頷いた。
周囲では、いつの間にか集まってきた牛やキツネ、龍にサルなど、小さな神使が声援を送っていた。
「姫様、モウレツに格好いいです!」
「流石は姫様、輝いとるでえ!」
「それはそうよ、だって私よ?」
ドヤ顔の鶴に呆れながら、女神は締め括りの言葉をかけた。
「まったく、元気になるとすぐこれだが、とにかく今は行って来い! 人の世を蝕む悪党どもに、正義の鉄槌を下してやれ…………って、もういない!?」
女神の慌てる声が聞こえたが、鶴とコマは現世へと転移していた。周囲の光が少しずつ薄れると、2人は高い空に浮かんでいたのだ。
「わあ……!」
巻き上がる潮風が頬を撫で、からかうようにくすぐっていく。
眼下には、色鮮やかな瀬戸内海が広がっていた。緑溢れる無数の島と、青く輝く美しい水面。潮流は白銀の糸目模様のようだ。
けれど懐かしいだけでなく、鶴達の見慣れぬ物も沢山あった。
行き交う船は小島ほどのサイズで、一体何千人が乗れるのかも分からない。
浜辺に築かれた幾つもの町は、光を受けてきらきらと輝いていた。よほど滑らかに磨いているのか、それとも宝石のような素材なのか。
島と島の間には、崩れ落ちた巨大な橋の残骸も見えた。あんな大きな橋を、誰がどうやって架けたのだろう?
鶴は興奮気味にコマに言った。
「凄いわコマ、なんて進んだ時代なのかしら。きっと大冒険が始まるわよ?」
「それはいいけど、まずは黒鷹を探さなきゃ。思ったより現世の邪気が濃いから、変な所に出たみたいだよ」
「それもそうね」
鶴は懸命に目を凝らした。懐かしい思い人の気を探そうとするが、そう簡単には見つからない。
「うーん、さっぱり勝手がわからないわ」
「まだ君も現世に慣れてないもんね」
その時鶴は、一際大きな船……現代風に言えば、空母ほどもある一隻に目を留めた。
「ねえコマ、とりあえず一番大きな安宅船があるし、黒鷹もあそこじゃないかしら」
「そう都合よくはいかないと思うけど、じっとしても仕方ないね。とりあえず行ってみようか」
「よーし、そうと決まれば善は急げよ!」
「ちょっと鶴、速いよ!?」
2人は流れ星のごとく、猛スピードで落下していった。
※※↑八幡神社の正式な神使はハトですが、作品の都合上ガンパチくんに頑張ってもらいます。
※※↓こちらは一番最後に描いた4コマ風挿し絵。描いた時期によって、だいぶ絵柄が変わっていますね。
「何それ、面白そう。見世物でも始まるの?」
「違う! 違うがとにかく、今度の舞台は未来だっ。成り上がるのも戦うのも、昔とは比べ物にならぬほど難しいぞ。南蛮風に言えば、人生の高難易度版だ」
そこで映像は切りかわり、異形の化け物どもが映し出された。足元に鶴とコマが映っているので、その大きさ具合がよく分かる。
「これが日の本を襲っている人喰いの化け物、通称『餓霊』だ。魔界の魂……悪しき亡者が肉体を得たと思えばいいが……身の丈は並のものでも巨木並み、大きい奴は山ほどに達するだろう。こやつらに陸は殆ど支配され、人々は日々、死の恐怖に怯えているのだ」
「ムム、それは可哀想ね。この怪物に焙烙(※水軍が用いた手投げ爆弾)とかぶつけたら、やっつけられないの?」
「そう簡単にはいかぬ」
女神はさらに映像を切りかえた。画面には、怪物達の体から魔法のような光が出ている様子が映る。
「奴らは魔法……今風に言えば、体内で作り出した『電磁式』で、周囲の物理・化学現象を操ってしまう。弾丸を弾いたり、ミサイルの燃焼を弱めるバリアまで作り出す。ええい寝るなっ! 難しい言葉が出るとすぐこれだ。とにかく奴らは魔法を使うから、普通の武器が通じぬのだ」
鶴は眠気眼を擦りながら、手をあげて意見する。
「はいナギっぺ、それじゃやっつけられないと思います」
「そう、そこで人々は、奴らの魔法を研究し、自らも武器を強くしたのだ」
画面は未来の銃や剣の映像に切り替わった。一見ごく普通の武器だったが、持ち手に近い部分が隆起し、何かの機器が付けられている。
鶴は珍しい物が好きなので、「これはいいものだわ、1つもらえないかしら」などと言ってはしきりに頷いている。
「よしよし、興味があるならちゃんと聞けよ。このように、銃や剣の付け根が膨らんでいるだろう。ここに『属性添加機』が付けられている。これで電磁式……要するに魔法を作り出し、弾丸の貫通力を高めたり、剣の切断力を増したりする。だから寝るなと言っておろうがっ! とにかく、ただの鉄砲の弾に魔法をかけたら、どんなものでも撃ち抜けるし、普通の剣が光り出したら、とんでもなく切れ味が増すっ! これを属性添加技術といって、人間達の切り札なのだ。武器+魔法、これが基本だし、魔法をかけてない武器では怪物どもに通じない」
「なるほど、これは分かりやすいわ」
「だが敵の兵力は圧倒的だ。だから鶴よ、私やお前が行って、人々に加勢するのだ。そして悪党どもを討ち倒し、日の本の国を立て直すのだ」
「任せといて。私そういうの得意だから」
鶴はぐぐ、と拳を握り、燃える瞳で決意を固めている。
女神は満足そうに頷くと、身をかがめ、鶴の耳元に口を寄せた。
「…………それからもう一つ。これは言い辛い事なのだが……」
女神は何か囁いたが、鶴は力強く頷いた。
「構わないわ。その分早く日本を取り戻して、沢山楽しめばいいのよ!」
そんな女神と鶴をよそに、コマはせっせと作業を進めている。鬼達に大量の書類を貰い、ハンコを押しまくって、現世に戻る手続きをするのだ。
「それじゃ鬼助、出所手続きはこれでいいね。今は鶴の機嫌がいいから、このまま現世に転移するよ」
「へい! やった、これであっしらも安心出来ます!」
鬼達は希望を取り戻し、涙を流して喜び合った。
やがてやる気に満ち溢れた鶴は、まばゆい光に包まれた。
「それじゃ行ってくるわ。元気でねコマ、それにナギっぺ!」
「いやちょっと、僕も一緒に行くんだけどね」
コマは慌てて鶴に駆け寄り、女神は2人に言葉をかける。
「頑張れよ。現世の文字や言葉は分かるようにしてあるし、困ったら神器を出して使いなさい。妹が監修したものだから、きっと助けになるだろう」
女神はそこで、小さな何かを投げて寄越した。
鶴が両手でキャッチすると、澄んだ音色が響き渡る。それは小さな鈴だったのだ。
「これ……」
「持っていきなさい。あの日止まったその音色を、再び現世で鳴らすのだ」
「……うん。ありがとうナギっぺ」
女神の言葉に、鶴は少し潤んだ目で頷いた。
周囲では、いつの間にか集まってきた牛やキツネ、龍にサルなど、小さな神使が声援を送っていた。
「姫様、モウレツに格好いいです!」
「流石は姫様、輝いとるでえ!」
「それはそうよ、だって私よ?」
ドヤ顔の鶴に呆れながら、女神は締め括りの言葉をかけた。
「まったく、元気になるとすぐこれだが、とにかく今は行って来い! 人の世を蝕む悪党どもに、正義の鉄槌を下してやれ…………って、もういない!?」
女神の慌てる声が聞こえたが、鶴とコマは現世へと転移していた。周囲の光が少しずつ薄れると、2人は高い空に浮かんでいたのだ。
「わあ……!」
巻き上がる潮風が頬を撫で、からかうようにくすぐっていく。
眼下には、色鮮やかな瀬戸内海が広がっていた。緑溢れる無数の島と、青く輝く美しい水面。潮流は白銀の糸目模様のようだ。
けれど懐かしいだけでなく、鶴達の見慣れぬ物も沢山あった。
行き交う船は小島ほどのサイズで、一体何千人が乗れるのかも分からない。
浜辺に築かれた幾つもの町は、光を受けてきらきらと輝いていた。よほど滑らかに磨いているのか、それとも宝石のような素材なのか。
島と島の間には、崩れ落ちた巨大な橋の残骸も見えた。あんな大きな橋を、誰がどうやって架けたのだろう?
鶴は興奮気味にコマに言った。
「凄いわコマ、なんて進んだ時代なのかしら。きっと大冒険が始まるわよ?」
「それはいいけど、まずは黒鷹を探さなきゃ。思ったより現世の邪気が濃いから、変な所に出たみたいだよ」
「それもそうね」
鶴は懸命に目を凝らした。懐かしい思い人の気を探そうとするが、そう簡単には見つからない。
「うーん、さっぱり勝手がわからないわ」
「まだ君も現世に慣れてないもんね」
その時鶴は、一際大きな船……現代風に言えば、空母ほどもある一隻に目を留めた。
「ねえコマ、とりあえず一番大きな安宅船があるし、黒鷹もあそこじゃないかしら」
「そう都合よくはいかないと思うけど、じっとしても仕方ないね。とりあえず行ってみようか」
「よーし、そうと決まれば善は急げよ!」
「ちょっと鶴、速いよ!?」
2人は流れ星のごとく、猛スピードで落下していった。
※※↑八幡神社の正式な神使はハトですが、作品の都合上ガンパチくんに頑張ってもらいます。
※※↓こちらは一番最後に描いた4コマ風挿し絵。描いた時期によって、だいぶ絵柄が変わっていますね。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
『イケメンイスラエル大使館員と古代ユダヤの「アーク探し」の5日間の某国特殊部隊相手の大激戦!なっちゃん恋愛小説シリーズ第1弾!』
あらお☆ひろ
キャラ文芸
「なつ&陽菜コンビ」にニコニコ商店街・ニコニコプロレスのメンバーが再集結の第1弾!
もちろん、「なっちゃん」の恋愛小説シリーズ第1弾でもあります!
ニコニコ商店街・ニコニコポロレスのメンバーが再集結。
稀世・三郎夫婦に3歳になったひまわりに直とまりあ。
もちろん夏子&陽菜のコンビも健在。
今作の主人公は「夏子」?
淡路島イザナギ神社で知り合ったイケメン大使館員の「MK」も加わり10人の旅が始まる。
ホテルの庭で偶然拾った二つの「古代ユダヤ支族の紋章の入った指輪」をきっかけに、古来ユダヤの巫女と化した夏子は「部屋荒らし」、「ひったくり」そして「追跡」と謎の外人に追われる!
古代ユダヤの支族が日本に持ち込んだとされる「ソロモンの秘宝」と「アーク(聖櫃)」に入れられた「三種の神器」の隠し場所を夏子のお告げと客観的歴史事実を基に淡路、徳島、京都、長野、能登、伊勢とアークの追跡が始まる。
もちろん最後はお決まりの「ドンパチ」の格闘戦!
アークと夏子とMKの恋の行方をお時間のある人はゆるーく一緒に見守ってあげてください!
では、よろひこー (⋈◍>◡<◍)。✧♡!
よんよんまる
如月芳美
キャラ文芸
東のプリンス・大路詩音。西のウルフ・大神響。
音楽界に燦然と輝く若きピアニストと作曲家。
見た目爽やか王子様(実は負けず嫌い)と、
クールなヴィジュアルの一匹狼(実は超弱気)、
イメージ正反対(中身も正反対)の二人で構成するユニット『よんよんまる』。
だが、これからという時に、二人の前にある男が現われる。
お互いやっと見つけた『欠けたピース』を手放さなければならないのか。
※作中に登場する団体、ホール、店、コンペなどは、全て架空のものです。
※音楽モノではありますが、音楽はただのスパイスでしかないので音楽知らない人でも大丈夫です!
(医者でもないのに医療モノのドラマを見て理解するのと同じ感覚です)
福沢時計店の思い出旅行『キ』
真
キャラ文芸
とある田舎町の辺鄙な場所に、一つの時計店がひっそりと佇んでいる。
かつて過ごした過去をもう一度見たい。
過去の自分を導いて今を変えたい。
もう一度過去をやり直して、今を変えたい。
「旅行祈」と「旅行記」と「旅行機」。
それぞれの目的を持った人々に、「旅行『キ』」は授けられる。
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
アレの眠る孤塔
不来方しい
キャラ文芸
男性同士の未来の話。
カプセルの中から目覚めたとき、俺は記憶を失われていた。なぜ此処にいるのか、自分の名前は何だったのか、肝心なことは頭の片隅にすらなかった。
突然現れた白衣を着た男は、住み心地の良い牢獄とも取れる部屋で生活するよう強いるが、世話を焼く姿は懸命で、よく皿を割って、涙が出るほど嬉しくて懐かしい。
──お前は此処から出すつもりはない。
白衣の男は口癖のように繰り返す。外の世界は、一体どんな景色が広がっていて、どんな生き物たちと生存しているのだろうか。
窓のない小さな世界で、愛情を注ぎ続ける男と今日も一日を過ごす──。
黒の騎士と三原色の少女たち
スナオ
キャラ文芸
四方院家。それは天皇を始め世界中の王族とコネクションを持つ大家である。その大家である四方院家の命令で特別相談役の水希桜夜は青森に向かっていた。そこで自身の運命を揺るがす出会いがあるとも知らずに……。
ドライだけど優しい青年と個性豊かな少女たちのコントラクトストーリー、始まります!
私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか
あーもんど
恋愛
聖女のオリアナが神に祈りを捧げている最中、ある女性が現れ、こう言う。
「貴方には、これから裁きを受けてもらうわ!」
突然の宣言に驚きつつも、オリアナはワケを聞く。
すると、出てくるのはただの言い掛かりに過ぎない言い分ばかり。
オリアナは何とか理解してもらおうとするものの、相手は聞く耳持たずで……?
最終的には「神のお告げよ!」とまで言われ、さすがのオリアナも反抗を決意!
「私を断罪するのが神のお告げですって?なら、本人を呼んでみましょうか」
さて、聖女オリアナを怒らせた彼らの末路は?
◆小説家になろう様でも掲載中◆
→短編形式で投稿したため、こちらなら一気に最後まで読めます
ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~
にくなまず
ファンタジー
今年から冒険者生活を開始した主人公で【ソロ】と言う適正のノア(15才)。
その適正の為、戦闘・日々の行動を基本的に1人で行わなければなりません。
そこで元上級冒険者の両親と猛特訓を行い、チート級の戦闘力と数々のスキルを持つ事になります。
『悠々自適にぶらり旅』
を目指す″つもり″の彼でしたが、開始早々から波乱に満ちた冒険者生活が待っていました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる